映画監督になろう! roll.1

映画監督を夢見て上京したのは二十数年前のこと。

バイトで貯めた100万円と、着替えを入れたラケットバッグ。

それが全てだった。

当初は上京して映画系の専門学校へ行くつもりだったけど、授業料の高さに断念。

つまりただの無職の田舎者が上京しただけだった。

アパートを契約してご飯を食べたら残高はどんどん減ってゆく。早く映画の仕事を見つけなければ、と田舎者は焦っていた。

とはいえ、当時は知識も情報も無く、映画業界への入口が全くわからない。

そんな折、ふと立ち寄った書店で見つけたのは、映画業界就職ガイド的な本だった。

うむ、これなら目的にバッチリ。買うお金は無いので、立ち読みをしてみる。

その本は先ずフローチャート式で映画業界への入り方が2通り書いてあった。

その1
映画系専門学校→コネをつくる→現場に出る→映画業界へ

ふむふむ、正攻法の案だが、前述の通り学校にいくお金は無い。したらば、2の方か。

その2
コネをつくる→現場に出る→映画業界へ

、、、

、、、

立ち読み中の本をあやうく破り捨てそうになる。なんじゃ、そら!?そのコネのつくり方を教えてくれにゃ!

、、、

、、、

田舎者はふりだしに戻った。

ヨシ、こうなったらアソコへ行こう!

なけなしのお金を持って向かったのはネットカフェ。わからなかったら検索してみましょ。

助監督 求人 検索

カンペキな検索ワードだ。端的で無駄がない。

結果。一件のプロダクションが引っかかる。

そこは某大御所映画監督の個人プロダクションだった。

早速電話して見る。

「あのー、助監督の求人見たのですが、、、」

「あー、じゃ明日履歴書持って来れる?」

電話に出たのはのちの先輩助監督だった。

こうして、田舎者はのちに人生初の映画監督と出会い、丁稚奉公の道へと進むのだった。

つづく

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