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彼の心の声を誰も知らない

今日突然に『吐き出したい』と思ったのは、どうということもない、ただのつぶやきだ。

とある営業先のお客さんが、突然その職場を辞めた、という話。

わたしが彼が辞めたと知ったのは、もう辞めてから2ヶ月は経ってからだった。

わたしが入社してこの客先の営業になってから、かれこれ14年は経つので、会う頻度が少ないものの、担当としてはわりに長い付き合いだった。

基本、月一でしか会う事がない担当の方だったのと、この営業先には他の担当の方も居たという事も重なり、彼が辞めたことを知るのが遅くなったのである。
一つ絶対的に覚えているのは、彼が止めどなく限りなくいつも笑顔だったということ。
そしてわたしのような仕入れ業者にも、少なからず世間話をしにきてくれるような、愛想のある方だったということ。

気になるのは彼が40代後半、そして記憶では3人の娘さんが居たということ。
しかもその客先は、かなり安定した公務員にも近い職場だったということ。

残された職員の方に寄れば、彼は辞める最後の2ヶ月はほとんど来ておらず、突然辞めたに等しく、今どこで何をしているか知る者も居ないということなのである。

だからといって、その事実がどうということではない。ただ、何かしら、釈然としないわだかまりを感じた、というだけである。

わたしから見える光景はただの景色。
客先の、一仕入れ業者から垣間見える、人間関係。
そんな物は想像に過ぎない。
しかしその想像でさえ、少なからずわたしの予想に寄り添っていたと思えることが、辛いのである。
つまり、彼の笑顔が、その裏返しであったに違いないと思えることが。

でもだから彼は自分に正直に生きているとも言える。
果たして自分は社会人の仮面の中で、そのように生きることはあるのだろうか、、、

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