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0からの文学フリマ東京35 ③当日レポ・買ったもの他
文学フリマ東京35にはじめて参加した当日譚と後日譚です。
淡々と記すつもりが、こってり系の長いレポートになってしまいました。
1. 当日レポート
2022年11月20日。
10:30ごろ車で東京流通センターに到着しました。
夫とふたりの家内制文芸部coppia101 としての出店です。
われらのブースは第2展示場。
ガラゴロと荷物を運び、いざ出陣です!
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ガランとした会場に入ると、見渡す限り長机&パイプ椅子。これ、朝早くから準備されるの大変だったでしょうに。担当の皆さまに頭が下がります。
ブース番号を見ながら、自分たちの【え-41】を探す。
noteさんがブースにもトートバッグを配ってくださいました。え、嬉しい!
すでに到着されていたご近所さん方とごあいさつ。
今日はお互い良い日にいたしましょうね! と、ともにこぶしを握って気合いを入れました。
感じの良い方たちです。
緊張がホッと解けました。
さあ、設営だ!
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1ブース=長机半分(第2会場は90×60㎝)の大きさ。
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それにしても、設営って意外と時間がかかるものなのですね。
私たちが慣れてないだけなのだろうか?
10:30過ぎに会場入りしたはずなのに、お昼を買いに行く暇がありませんでした。
センター内のコンビニやカフェはお昼どきには長蛇の列だったので、食べ物は用意していくか、買うときは時間をずらすなど工夫が必要だな。
準備の合間に、目の端にネオンイエローの人影が見えました。
あれ? もしかして、noteでおなじみの小柳とかげさんでは?
Twitterで、目立つ蛍光イエローの服で来られると言ってた!
果たしてご本人でした。
気になっていた短歌集を開場前に購入し、少しおしゃべりもできました。
出店者の役得だなぁ。
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怖くて素敵なポストカードもいただきました。
12時になり、いよいよ開場。
一般のお客さんが流れ込んできます。
朝早くから列を作って待っていらした方々もいて、文フリへの熱い思いが伝わってきました。
さて。われらがへっぽこ文芸部coppia101。
夫婦でSNSが得意ではなく、事前の宣伝や準備も思うようにできなかった私たちの本は、いったいどのくらい手にとってもらえるのでしょうか。
だって、夫氏がTwitterを始めたのは文フリの3日ほど前。
ハッシュタグってなんだ? からのスタートですからね。
お値段は迷いに迷って、おうちコピーの夫本は100円に、印刷した私の本は200円にしました。
安い? 高い? わからない!
夫氏の販売目標は1冊。
私は、うーんと、5冊くらい売れたらうれしいな。
とはいえ、無名な私たちブースに足を止めてくれる人はなく。そりゃそうよね。
しばらくは気張って2人で声かけをしていたのですが、まあ、長い目でのんびりいこうじゃないかと。
順番に文フリを見て楽しむことにして、まずは私が繰り出しました。
出店はもちろん、文フリ自体が初めてだったので、周りを見回すだけでうっひゃあ! とテンションが高まります。
なにこれ、ブースからしてまずおもしろいじゃないの!
それぞれが趣向を凝らして、個性がダダ漏れていらっしゃる。
縁日みたいだなぁ。見飽きません。
そして、本の置き方やPOPの設置の仕方、センスの良いフリーペーパーや名刺類を見るにつけ、感心することしきり。
そうかぁ。文フリって、作品だけ用意すればいいわけじゃないんだね。
作品を効果的に届けるための、工夫や努力や熱量。
そういったものを目の当たりにして、非常に刺激を受けました。
その後、夫氏とゆるシフトで店番を交代しながら、合間にnoteやTwitterで見知った方々に会いに行ったり来ていただいたり。
高校時代の友Mもわざわざ来てくれて、売り子を手伝ってくれました。
ありがとうなMよ!
右も左もわからない私たちでありましたが、右も左も素敵なおとなりさまで、おかげで居心地良く過ごすことができました。
右隣のブースは、ホテル暴風雨さん。
『心しか泊まれないホテル』というコンセプトだそうです。
なんて粋で素敵なんだろう!
暴風雨さんでは、かわいいブローチを購入。
次女がカメ好きなので、おみやげはこれしかない! とTwitterで見かけたときから決めていました。
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カメも黄色も好きな子なので、またとないおみやげ。
とっても喜んでおりました!
左隣りはイラストレーターChaiさん。
小学生のお嬢さんのMahoさんと参加されていました。
ブースには、イラストだけでなく手書きの文字も美しいZINEが並んでおり目を奪われました。値札や本の配置も素敵なのです。
どれにしようか迷いながら、旅のZINEと、Mahoさん作の小さなZINEをいただきました。
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『A to Z in travel』は、緻密な絵がおしゃれ。Chaiさんの感性がきらりと光る旅のお話に、あちこち出かけたくなります。
『my ABC Book』は、Mahoちゃんの7歳の今しか描けない絵の魅力が満載!
Mahoちゃんの新刊が出たら、絵の変化も一緒にこれから楽しめるのかと思うと、今後も楽しみ。
「お母さん、これは宝物だね」と、子どもたちにも言われました。
5時間の開催を終え、17時に終了アナウンスがかかると、場内からは自然に拍手が。
ちょっぴりジーンとなりましたよ。
この日の参加は、
1304出店 1461ブース
来場者数 7445人
文学フリマ史上最多人数だったとのこと。
あー。
文学フリマ東京35のこのデータの中に、私たちもいたのだなぁ。
感慨が深いです。
それでわれらの売上げはと言いますと、ブースとして
ふたりで 15冊 でありました。
どうなの? 相場がわからない。
でも、私たちにとっては驚異的な売上げでした。
だって15冊だよ?
こんな何者だかしれない人たちの、おもしろいかどうかもわからない本を、よくぞ買ってくださったものです。
ご購入いただきありがとうございました。深謝。
2. 買った品々
さて、私の文フリ戦利品はと申しますと、
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嬉しくって、15冊も買っていましたよ。
15冊売れたとて、15冊買うとは。
これはお財布が軽くなるわけよね。夫氏に2000円借りましたわ。
いくつか紹介させていただこう。
【umineko】 ウミネコ制作委員会さん
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散歩がしたくなるような、かろやかな雑誌です。
特集は『ねことそうさく』。
小説やコラム・エッセイ、写真・イラストの他、4コママンガやテーマ曲まで!?
猫をテーマにした作品がわいわい並んだ、お子さまランチみたいな創刊号。
これ、2号も楽しみだなぁ。
ウミネコ制作委員会の皆さまとも実際にお会いできて嬉しかったです!
【五年後に小学六年生になるキミにおくる物語】 柚木library
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11名の書き手による、S(すこし) F(ふしぎ)なアンソロジー。
編集の柚子ハッカさんによれば、ザワザワと落ち着かない世の中だからこそ手にとってほしい、〈キミにおくる〉作品を企画されたとのこと。
そのスピリットがお出汁のようにどの作品にも染み込んでいて、しみじみ美味しい、おでんみたいな作品集だなと思いました。
優しさやおもしろさや驚きなど、具材は違えど、どれもすこしふしぎな味付けが◎。それぞれ楽しませていただきました。
ハッカさんとお話しできたことも嬉しいできごと。
【ELIETES vol.5】エリーツ
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5人の作家たちによる最強の文学系ロックバンド、エリーツの同人誌をGET。
嬉しい! 前から気になってたんだ!
最新刊の『短歌VS小説』特集もめっちゃ気になったのですが、後ろ髪引かれながら今回は『ゲームセンター』特集号を。
おもしろいなぁ!
ゲーム好きの中坊息子もこれなら読むかな? とさりげなくこたつの上に置いておきましたら、案の定、手に取っていたよ。しめしめ。
読んだ方がいいよ、これおもしろいから!
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【りぼんメモリアル】 神保町クラブ
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Twitterで見たときから、これ絶対買お! と決めていました。
当方、小・中から高校にかけてりぼんを愛読したクチ。
『ときめきトゥナイト』にときめき、『お父さんは心配性』で変態の概念を知り、『ちびまる子ちゃん』の連載開始を見届けた世代です。
『星の瞳のシルエット』のコピーが「200万乙女のバイブル」だった頃。
あの頃は、りぼんVSなかよし2強時代だったよなぁ、としみじみ。
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とにかく、とことんやってらっしゃるの。
1000人アンケートによる世代別の人気連載分布と考察とか、なにやってんの!? 論文なの!?(褒)
時空を超えたりぼん愛に、もう胸がいっぱいです。
ネット検索でも情報は出てくるかもしれないけどさ、愛は検索できないじゃん?
こういうお作に出会えることが、文フリの醍醐味なんだろうな。
【Vicke Viking collectibles Ⅲ】 海賊印刷
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『小さなバイキングビッケのグッズを世界中から集めましたVol.3』。
観てましたよ、ビッケ。あれは幼稚園の頃でしょうか。
家族や仲間たちとちっちゃなビッケが冒険に出かけるTVアニメを、ワクワクしながら観ていました。
そのビッケグッズをひたすら集め、ギネス記録まで取得されたという海賊印刷さん。美しいレイアウトで、ビッケグッズの数々を紹介してくれます。
これもまたweb検索では出てこない、情報以上の愛にあふれたご本。
世界のビッケグッズたちは、ちょっとずつお国柄が反映されていて、可愛くっておもしろいの。
これ、収集にどのくらい手間ひまががかかっているんだろう。ホント愛よな。
私、小さなころにビッケのお箸かなにかを持ってたんだ。思い出したこともなかった思い出の扉がギイーと開きましたよ。予測のできない良き出会い。
3. 祭りのあとに
最後に、雑感をつらつらと。
はじめての文学フリマを終えて1週間。
あれはいったいなんだったんだろう? と少し冷えた頭で考えています。
月並みだけどひとことで言えば、文フリとはやっぱり、出会いの場なんでしょうね。
作品との、人との、発見との、思い出との、刺激との、感動との、出会い。
文フリってめぐりあい。めぐりあい宇宙。
連れ添って20年以上になる夫氏とも、この後におよんで、よもや共通の新しい趣味が持てるとはね。
それも、今回の収穫のひとつでした。
けれど、たくさんの嬉しい出会いや気づきに紛れて、思いがけず苦い気づきもありました。
それは、私が自分の作品を推し切れていなかったということ。
せっかく手に取ってくれたり、お金を出してくれる方が現れても、「え私の本でいいんですか? っていうかあれ本当にお値段分の価値ある?」などと、あわあわと躊躇してしまうシーンが自分にあったの。
私はいったい売りたいわけ? 売りたくないわけ?
お値段200円。
印刷代や送料を除いたら、ほとんど利益はないのです。
だったら、堂々と売ったらよかったのに。どうにもたじろいでしまった。
それは謙虚さではなくて、どちらかといえば卑屈に近い思いから。
華やかな他のブースや、面白そうな本の数々に当てられてしまったんだろうか。
それもあるけど、いちばんは私が自分の作品を信じ切れていなかったからでしょうね。
1年近くかけて、何度も書き直した大事な短編だったのになぁ。ごめんね短編。
次に出店するとしたら、値札はこうして、チラシはああしてと、思うことは色々あるけれど、まずは胸張って人に薦められる作品を書くことだな。
それしかない。
もう、いいかげん長い記事になってしまったが、あとひとつだけ。
最後に、私の出会いの話に付き合っていただきたい。
それは、私が別のブースを回っていて席を外していたときのこと。
その人は一度通り過ぎたあとに、あれ? って感じで戻ってきてくれたそうなんだ。
それでブースの張り紙を見て、
「え、樺島ざくろさん? 聞いたことある。もしかして『マジ勇者』の?」
と言って、本を買ってくれたと聞きました。
『マジ勇者』は公募ガイドの賞をいただいた私のショートショートのタイトルです。私は、作品をいくつかしか公開していません。その中のひとつを覚えていてくれた人がいたなんて。
これがどういうことか、ものを書く方ならきっとわかってくださると思う。
作品を心に留めていてくれた人が、いたんだ!
来場者7445人中たったお1人の人だけど、私の作品を覚えていてくれて、まだ読んでいないこの本の内容も信じて、買ってくれた方がいた。
じわじわと喜びが駆け巡りました。
嬉しいことなのね、作品を信じてもらうということは。
心の背筋がピーン! と伸びましたよ。天使のはね級に。
その人の名はヨシダケイさんという。
夫氏が名刺をGETしてくれていました(夫、GJ!)。
ありがとうヨシダさん。
勇気をいただきましたよー!
人にも自分にも信じてもらえるような、信じさせるような作品を書こう。
今回の文フリでもらってきた、私のいちばんのおみやげです。
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