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【販促コンペ】受賞までの思考フローまとめ

★noteの内容★

このnoteでは、主に
販促コンペで受賞に至るまでの(思考)フロー
を記載していく。
※本noteはあくまで個人の見解であり、所属企業のとは一切関係ありません


★イントロ★

宣伝会議主催の2019年販促コンペティションにおいて、
自身の企画「au県爆誕」が協賛企業賞を受賞した。
(『販促会議 10月号』『販促会議 11月号』にて、企画の一部が掲載されているので是非見てほしい。)

WEBからでも閲覧可能↓
tps://www.slideshare.net/sdkgsenden/au-178744783?ref=https://hansoku.co/awards
▼販促コンペとは?
公式によると【「販促会議 企画コンペティション」は、協賛企業から出される商品・サービスのプロモーションについての 課題を受け、解決策となるアイデアを企画書形式で募集するコンテスト。 当コンペティションでは、「販促=人が動くコミュニケーション」と捉え、2010年7月から開催を重ねてきた。】
▼結果
・提出数:  4案
・選考通過: 2案
うち、1案が【協賛企業賞】受賞であった。
(ちなみに応募総数は4,242案!!)


★なぜ書くのか?★

販促コンペ、毎年広告やメディア界隈ではそこそこ盛り上がっているイメージなのだが、ネット上には考察や、思考のフローまとめがまだまだ少ない!

今回、「協賛企業賞」を受賞した作品「au県爆誕」に着目して、自分なりの視点と思考のフローを、
・忘備録目的
・自身の思考の整理目的
・次回挑戦する人へのエール目的
で綴っていきたい。

★note作者のこと★

①就活中にcakesでかっぴーさんの「左ききのエレン」を偶然読み、広告代理店を受ける。
②2018新卒で広告代理店に入社。現在2年目。
③トビタテ留学JAPAN5期。セルビアで8か月。
④Start up weekend筑波2018 準優勝。
「世界の解像度を上げる」Pint
「初めまして」を効率化するためのプロフィール「comucamu」や、
コミュニティと企業を結ぶ「Pitaad」を作ってます。
 WEBサービスを考えるのが好き。
⑤最近は中国にはまっている。

大きくてもふもふしているものが好き。(ゴールデンレトリバーや熊など)


★一番大事なこと★

ちょっと調子のった言い方をすると、
ターゲットのペインを正確に理解できているのか?
これが一番大切。

受賞している企画のほとんどは、
「確かにそれ困ってたわ~」「あるある~」と納得できるものばかり。
ただ面白いのではなくて、かゆいところに手が届いている。
つまり、
【魅力的な商品の販促企画をつくろう!】と考えはじめるのではなく、
【ターゲットのペインを発掘して、その解決策に商品を絡ませよう!】
と考えることが、受賞できる案を生み出せるポイントかと思っている。


とはいえ、ターゲットのペインを正確に理解しようと頭の中でこねくりまわせば回すほど、よくわからないものができあがるので、
与件や、世の中にあふれる情報等、ユーザーヒアリングをしていくなかで気づくのが良いかと思う。

★そのために考えるべき要点★

①お題選びを慎重に!
 ※商品のビジネスモデルの理解が必要不可欠
②施策の広がりを予想する!


★なぜそれらが要点なのか?★

①お題選びを慎重に
 →「商品との相性」というものは存在する。
  仕事ならやりたい商材を選ぶことはタブーだが、
  今回は「受賞」が目的。案件選びからコンペは始まっていると言える。
  実際使ってるもの、契約してるもの、欲しかったもの、
  ビジネス構造が理解できるもの、売り場がリアルにイメージできるもの
  届けたい人を想像できるもの、など。
  うまく条件を絞って選ぶことが大切。

②施策の広がりを予想する
 →どんなにインサイトを捉えていても、「そこからどうなる?」
  がわかりにくい案は、正直「販売促進」として効果が薄いのでは
  ないかと思う。


★ 与件の整理①お題の理解★

まず、最初のステップとして、頂いたお題と巷に溢れている会社の情報
(IR資料等)からわかることを整理していく。


▼今回のお題▼
『家族、友人、同僚、恋人といっしょに使える会員特典のアイデア』

お題から企業の意図をくみ取る。
「家族、友人、同僚、恋人」というワードから
ハートフルなブランディング がしたいのでは?

「いっしょに使える」というワードから
会員の輪が自然と広がっていく 設計にしたいのでは?

などなど 方向性やイメージを自分の中で作る。
巷にあふれている資料とはなにか。
会社が決算期に出しているIR情報資料である。

2013年~2019年のIR資料から数字を抽出し
超簡単にグラフ化したものが以下。

販促コンペグラフ

①契約台数の伸びは一律
②auスマートパス会員の伸びは2016年以降横ばいに近い
③auスマパスプレミアム会員は2017年スタート
④プレミアム会員は2018年〜19年の伸びが前年度と比較し微妙に鈍化

がわかる。
グラフ考えられるパターンは2通り。

<パターンA>
新規契約の内、大半がスマパスプレミアム会員に加入する。
また、
スマパス会員は減少していないので、
スマパス会員からプレミアム会員へ移行が進んでいるとは考えにくい。

<パターンB>
新規契約者の内、スマパス会員になる人、
スマパスプレミアム会員になる人が一定いる。
また、スマパスからスマパスプレミアム会員になる人が一定いる。

企業側は新規のスマパス会員よりプレミアム会員を増やしたいという意向があるはずなので、オペレーション的観点からBは考えにくい。

よって、今回は、パターンAを仮説とする。



★ 与件の整理②お題の定義付け★

思考の途中で迷子にならない様、お題を細かく定義付けする必要がある。
私は以下の様に定義付けしてから企画を考えていった。

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①家族、友人、同僚、恋人というのは、非会員である
  →企業は売り上げを伸ばさなければならない。
   家族、友人、同僚がすでに会員であり、会員同士で使うのであれば、
   広がりも感じられないし、企業の利益にもならない。
   コミュニティの価値は上がる可能性はあるものの、
   まだ確固たるコミュニティができていないので、一時的なCPで
   終わる可能性が非常に高い。
②会員特典というのは会員になれば享受できる全てのものとする
③会員特典自体は自由に設定できるものとする

-----------


★与件の整理③:商材の理解★

今回のお題で扱っている商材は、「auスマートパスプレミアム」だ。
月額499円で、auスマートパスプレミアムが連携している各種サービスをお得な値段で使用できる「サブスクリプション」である。
つまり、「サブスクリプションモデル」ならではの戦略を立てることが求められる。

サブスクリプションモデルで売り上げを伸ばすには、
①新規獲得 ②離脱防止
を考える必要がある。

そこでサブスク運営で大切なことは、
 ・獲得時の理解度向上・・・解約防止のために有効
 ・コミュニティづくり・・・解約防止、新規獲得に有効


★与件の整理④:構造の理解★

企業活動の目的は「売り上げをあげる(利益を確保する)こと」
その目的を達成するため、「認知拡大やブランドイメージ向上のための施策」が実施される。

今回の対象商品は「サブスクリプション型」「auスマートパスプレイアム会員特典」であり、「契約」によって継続的に利益が発生する。
販売(接触)ルートは「ウェブからのお申し込み」もしくは「店頭での契約」だ。

今回は、サービスの現在の設計とお題のニュアンスから考えて
「ウェブからのお申し込み」を販売ルートとおく。
(※恋人、同僚、という書き方から、ある程度若年がターゲットだと理解できる。)
(※WEBからお申込みの方が工数がすくなく便利。)

つまり、
【既存会員と非会員(恋人、同僚、家族)が特典をいっしょに使った先に、
 非会員の獲得をイメージできる設計にする】
ことが条件だと考えられる。


★与件整理の結論★

上記、整理した内容から、
①既存会員が非会員を思わず誘ってしまう様な仕組み
②非会員が実際に特典を使用した後オンライン上で申し込みができる仕組み


を10枚の企画書内でうまく説明できていれば、説得力のある企画として評価されるのではないかと考え、上記①②を満たすことを企画のゴールと設定した。
目的:非会員の新規会員登録
目標:既存会員のシェアモチベーション向上


★現状の会員の整理★

▼会員・非会員・企業の立ち位置の確認
今回のターゲット(実際にサービスの利用をしてほしい人)は
【①非会員】であるが、
今回の施策に置いてのメインターゲットというのは、【②既存会員】
ではないかと思う。

なぜなら、「いっしょに使う」ためには、
【②既存会員】に「【①非会員】に何かしてあげたい」と態度変容を起こさせる必要があるからだ。
これが最初のステップであり、一番重要なステップ。

ここで、
①非会員:獲得ターゲット
②既存会員:コミュニケーションターゲット
の呼び名でターゲットを分類する。

下図が、各ターゲットと企業の距離である。

こぺ1

企業が直接コミュニケーションを取るのは、【②既存会員】
本来のターゲットである【①非会員】にコミュニケーションを取るのは
【②既存会員】である。

ここでの企業の立ち位置というのは、
「生活者と周囲の人間のコミュニケーションを促すもの」



★ターゲットインサイトの深掘り(ペインの発掘)★

当項目から初めてインサイトの深掘りを始める。
(販促コンペを考えている時に思ったのだが、自身が思うインサイトなんてものは、n=1なのであって、企業が想定しているターゲットのインサイトではない。
当てはまるペルソナに徹底的にヒアリングをして、インサイトは深ぼるべきだと考えられる。またより尖ったインサイトを探すためには、ターゲットに様々な行動に関する質問をぶつけてみるのが効果的だと思う)
ここ(参考資料が少ないので、ユーザーヒアリング)で感じたスマパスのペインは、

・割引を使いたい気持ちはあるが、なんとなく恥ずかしい(ケチっぽく見えるから)
・一人だけで割引を使うのは、はばかられる(周りに申し訳ない)
・大人数で使える特典は大げさなものが多く、日常使いではない(動物園入場など)

つまり、デートでも使えないし、仲良くなりかけの友達とも使えない。
日頃から【みんなでわいわいちょっとお得に!】といったイメージを醸成しづらい。

なので、今回はそこをカバーできる案を考えたい。
※もちろん属性に偏りはあるがそんなことをいちいち考えていると案が提出できないので、ある程度の「仮説状態」で進める。
「集団の中で一人で使うこと」
「純粋に割引だけにメリットを感じている構図」
に恥ずかしさを感じている現状をカバーできる仕組みというのは
「共犯者をつくる」
ことだと考えられる。

つまり、ペインドリブンで考えても、
①「既存会員が」非会員を思わず誘ってしまう様な仕組み
つまり、「特典を使う恥ずかしさ」を取っ払ってしまう仕組み
を考えるという方向性は正しい。


★「思わず誘ってしまう」とは?★

「思わず誘ってしまう、思わず話てしまう」
ことが大切だと述べた。

じゃあ、そんな「思わず話してしまう」時ってどんな時だろう。

3パターンあると思っている。
①自身のもつ権利により、相手にメリットをもたらすことができる時
②世の中で大きな話題になっている事象に自身が絡んでいる時


つまり...

①と②を満たす内容が、
今回のメインアイデア、「au県の会員証発行権利」であり、

また②を満たす内容が、
「au県をつくること」であった。

★アイデアの概要★

まだ見ていないかたはコチラをどうぞ

★au県である理由★

ここでは、au県である理由を記載したい。

これまで、
・「誘いやすい仕組み」を成立させるため、話題化にこだわる
・離脱防止、新規獲得をスムーズに行うため、コミュニティ化にこだわる

ということを上述してきた。

au県誕生のヒントを得たのは「秘密のケンミンショー」からである。

あの番組がなぜ、あそこまで人気が出たのか。
「それは日本中の誰もが属している県というコミュニティ単位で
競う構図であり、誰もが自分ごと化して番組を楽しめるから」
だと考えられる。

つまりテレビの前の兵庫県民の私も、同様に「主役」なのである、
「そうそう!兵庫ってこれ有名やんな!わかる!大阪人めっちゃうるさいしおし強いw京都の喫茶店で長居すると笑顔でお茶出してくんの怖いw」
と同じく「兵庫県民代表」としてテレビの前で語る。

また、
企業からのオリエンの中で、現在のスマパスプレミアム登録人数は埼玉県の人口程度だという話があった。

そこからは数珠繋ぎの様に企画が決まっていった。

そうか。スマパスプレミアム、これはもう「県」だと。
サブスクサービスを盛り上げる一つの手法にコミュニティ化があるが、
スマパスを「県」という一つのコミュニティにしてしまえばいいのではないか。

「国」でもなく、「市」でもなく「区」でもない。
絶妙なサイズ。「県」。

沖縄の様に、本土から少し離れた島であり、
「3太郎が住んでいる」そんな楽しい物語も後づけしやすい。

県知事を用意して、選挙を企画して盛り上げよう!
選挙で勝った人には公約を考える権限を付与しよう!
考えた公約「=会員特典」が1年間有効になれば話題化も十分狙える。

すでにコミュニティとして整備されている県という器に
auスマパスプレミアムをはめ込んだら予想以上にしっくりきた。

au県で会員証を発行する理由★

会員から非会員への特典シェアの仕組みをウェブ上での「会員証発行」にした理由ももちろんある。

①会員証の画面がスクショできる。面白がって拡散されやすい。
②一時会員証使った後に、オンライン上で【契約】まで運びやすい
③会員証という特別感を出すことで、会員が話題に出しやすい
④会員証を受け取った側は、すごく得した気分になる。
⑤会員証をうけとった非会員のデータを集めることで企業側の今後の獲得施策が立てやすい

などなど。
以上が思考のフロー。

以下は協賛企業の特別選考フローなので、ちょっとイレギュラー。
ですが、読んでくださるとうれしいです。

--------------

★プレゼンは全力で挑め★

協賛企業賞は、他の賞との選考とは異なり「最終プレゼン」がある。

7月中旬に宣伝会議から連絡が来る。
本社に呼ばれて、クライアントの宣伝部の皆様を前に企画をプレゼンする。ご質問を頂くので、その場で応答していくという流れだ。

実際、プレゼン参加の有無は受賞には関与しない。(という公式の見解)
(ただ、「誤解を解く」程度のことはできるとは思うので、正直絶対参加した方が良い。)
また、ナショナルクライアント様の目の付け所を知れるまたとない機会であるともいえる。

▼(一応の)必勝法
「実現可能性を重要視した質問を頂く」との前情報があったので、
私は、
・企画の実施月
・想定スケジュール
・ターゲットリーチ
・予算
・費用対効果

このあたりをまとめて提出。質問が来た際は、数字をもとに説明した。

費用対効果の出し方は、
・現在の契約者数のうち何人が企画に乗るか
・何人が契約するのか
を簡易アンケートの数値をもとに概算
(※年間キャンペーンなので月ごとの離脱率は考慮しない)
・広告費〇〇円/年間
・売り上げ〇〇円/年間
利益でますよね!といった内容。
サブスクなので出しやすい。

正直なところ、代理店関係じゃないとここまでやらないだろうし、
どうやって実現可能性を証明すればいいのか、他の人がどうやったのか気になるところではある。


★受賞して何が変わったのか?★

とりわけ、変化はなしです。
一応、大手といわれる広告代理店に勤務しているのですが、社内で声をかけてくださったのは8人程だったので、本当に誰も知らないし興味もないのだな~とちょっと悲しくなりました...。

でも、他の受賞者さんとのつながりもできて、
色々社外で企画を考えたりできているので、楽しいです!!

完。


★最後に告知★

コミュニティーと企業を結ぶマッチングアプリ「Pitad」を開発しています。
https://uchinamikana.wixsite.com/pitad

コミュニティ特化型の想定でスタートしたのですが、
二転三転、訴求迷子です。

コミュニティの価値を考えることがマイブームなので、
協力してやってもいいよ!話聞いてみたい!アドバイスしてあげる!
っていう天使がいたらご一報いただけますと幸いです。
ランチいきましょう!!!!!!!!!!


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