2015.7.12 「余命2ヶ月です。」

 混乱する母に看護師がつきそい病室へ戻る。残された私に医師が「非常に厳しい状況です。」と告げた。余命は2ヶ月とみており、抗がん剤が効いたとして延命できるのは2ヶ月であること。高齢で体力がないため、とくに点滴の抗がん剤による副作用に耐えられない可能性が高いことが告げられた。

 「楽に死ぬつもりが、苦しむというのではおかしい。何のために治療をするのかわかりません。残された時間を穏やかに過ごすために、抗がん剤をしないという選択肢もあります。」

 母は、そしてつい今までは私も、抗がん剤という治療法に小さな希望を感じていた。けれどそれは儚いものだった。新しい主治医が、残された時間をどう過ごすか、最も良い判断ができるよう率直に情報提供して下さるのを感じた。

 あと2ヶ月。あと60日。母がどう生きるか、決めなければならない。この時、私は、母が死を迎えるまでのたくさんの決断とその責任とを、自分が背負うことを覚悟した。