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身幅のゆとり(前後ぐるり)

 前2回のNoteで、腕を動かしやすくするために、前身頃、後身頃それぞれにゆとりを確保するリフォームを紹介しました。今回は、身幅のゆとりが果たすもうひとつの大切な役割「脱ぎ着のしやすさ」に注目したリフォームです。

 かぶりのシャツの脱ぎ方もひとそれぞれ。
 腕の動きに不自由がなければ、腕をクロスして裾をつかみ、そのまま頭まで持ち上げて脱げますね。このときには、肩幅ぐるりがするっと抜けるだけのゆとりが必要です。

 先に腕を抜いてから、肩→頭の順に抜いていく方法もあります。この時には、曲げた腕が服の中で自由に動くだけのゆとりが必要です。いずれの方法も、アームホール(袖付けの穴)が大きい方が、腕を抜きやすく(通しやすく)なります。

 今回「みんなに優しい介護服」からご紹介するのは、タイトなTシャツの身幅を広げ、アームホールを大きくするリフォームです。
 Tシャツやポロシャツは「布の伸縮性」が動きやすいゆとりをつくりだすので、タイトなシルエットでも着やすいのですが、そもそも寸法上でゆとりを確保しておけば、より楽に、より小さな動きで脱ぎ着することができます。ですから、このリフォームはかぶりのブラウスなど、伸びにくい生地でも活用したい方法です。

(リフォーム前)

(リフォーム後)

(リフォーム後 アームホールも広がっています)

 ここでは、Tシャツの裾をカットして、脇に足しています。着丈をどれだけ残すか(裾をどれだけカットするか)は、ご本人の希望に合わせるとよいと思います。車いすで過ごす時間が長ければ、座ったときにお腹やお尻に裾がもたつかない長さにカットするとよいと思います。背中が丸くなっているなら、後ろは長めに残して、裾のラインを決めるとよいと思います。

 裾をカットできないときには、好みの布やレースを足して、おしゃれを楽しむのもいいですね。今回はリバティプリントをプリーツにしてみました。必要なときにはプリーツがぐーんと広がって、動きやすいゆとりを確保することができます。

 せっかくのリフォームですから、自分のお気に入りになるよう、あれこれ布を選ぶのも楽しみたいと思います。