あれから半年 「お墓参りに行ける?」

 うららかな春の陽射しのなかで、長女が中学校を卒業した。息子の卒業式も間もなくである。

「もう半年なんだね。早いね。」と息子がポツリと言う。小学校6年生の息子には、死にゆく母と向き合うことは難しかったと思う。怖くてどうしていいかわからなかったのではないだろうか。それでも心のどこかで母を想っている。

 春休みをのんびりと過ごす娘に「明日、おじいちゃんの家に行くけれど、一緒に行く?いろいろあって忙しく過ごすことになるけれど」と聞くと、「お墓参りに行ける?」と答えた。母に受験合格と卒業の報告をしたいのだろう。

 退院してからの辛い日々、母は自分の人生を呪うことがあった。人のために苦労ばかりして何も楽しめなかったと。母の全てを知っているわけではないが、苦労を側で見てきたので、そうだね、と思う。でもね、お母さん。あなたが可愛がった孫達は、今でもあなたのことを想っています。それが、あなたの人生に確かに幸せがあったことの証ではないのかと、思うのです。