2015.8.27 「何を食べたいって聞かないで」
重い食器を持ち上げることができなくなった。自力で起き上がれなくなった。座位が不安定になり、背もたれが必要になった。痛み止めが増え、ウトウトとする時間が増えてきた。
順番に来るヘルパーたちは、日々の変化を把握し、都度工夫して対応した様子をメモに残してくださった。その中にこんなメモがあった。
−「何を食べたいか」と聞くのは負担になるとのことです。冷蔵庫にあるものをお伝えし、選べるように聞いてほしいとのことです。−
考えることがおっくうになってきたのだろうか。それとも、薬を飲むために何かを食べるという行為にうんざりしたのだろうか。
私が冷蔵庫に準備した作り置きは、定番のおかずばかりで目新しいものはないし、選ぶと言っても種類は限られている。そもそも飲み込みがしづらくなり、食べられるものが少ない。
それでも、「家のご飯が食べたいから入院したくない。」と言う母のために、何を作ったらいいだろうか。なかなか答えは浮かばなかった。