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バルカン室内管弦楽団~世界をつなぐ日本人~

バルカン室内管弦楽団とは

バルカン室内管弦楽団は、日本人指揮者の柳澤寿男さんが2007年にバルカン半島の民族共栄を願って設立したオーケストラだ。
2009年には、常に軍隊が警備し民族を隔てる「対立の橋」が存在するミトロビッツァで開催されたが、たった14人の団員のたった50分のコンサートを開くのに、多くの国連職員や軍隊、警察の協力のもとで行われた。これは、南北対立約20年ぶりにもなる両民族の共演であった。(今では世界史の教科書にも記載されている。)

ミトロビッツァでの公演
引用:http://www.marscompany-balkan.com/

そもそもバルカン半島とはどこか。
ヨーロッパの南半島のうち最東端に位置する半島であり、構成要素についての意見は世界的に確定していないが、一般的にはアルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、コソボ、モンテネグロ、北マケドニア、ルーマニア、セルビア、スロベニア、ギリシャで構成される。

バルカン半島と周辺地図

楽団を知るきっかけ

私がバルカン室内管弦楽団を知ったきっかけは、大学受験の浪人時に傍聴した国連会議だ。この記念公演がバルカン室内管弦楽団の演奏だった。
演奏はもちろん、特に、団員の方のお話や柳澤さんが演奏会を行うきっかけとなったお話などを聞き、「何十年も家族や親戚に合うことができない複雑な民族問題を抱える方々を、1人の日本人指揮者がつないだ」ということに非常に感銘を受け、自分でもびっくりするくらい涙が止まらなかった。

松本市での国連会議記念公演の様子
引用:http://www.marscompany-balkan.com/

バルカン地方の民族問題

バルカン半島は地理的にも他民族が形成されやすい地形で(ヨーロッパ諸国と大きな山で分断されることはなく、一方で谷ごとの独立性が高いため)、ヨーロッパ・アジア・スラブ世界から、異民族の移動の回廊としてさまざまな文化や宗教が混在することとなった。
これによって「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれ、第一次世界大戦の発端になったほど紛争が絶えない地域になっている。

バルカン室内管弦楽団にはこの半島の国々の方が多く所属しており、まさに”平和な”バルカンの縮図ともいえる楽団である。

芸術で世界をつなぐ

バルカン室内管弦楽団を知ってから、大学時代はセルビア語や国際関係学を学び、プライベートでは音楽やダンス・日本の文化等の芸術・創作活動をつつけてきた私の将来の夢は「芸術で世界をつなぐこと」になった。
社会人になり、芸術から少し離れていたが、昨年、10年ぶりにバルカン室内管弦楽団の演奏を聴き、この夢を改めて認識し、いまこの筆を執っている。

昨年、10年ぶりに聴いた演奏会

一度、同じ地元出身で、バルカン室内管弦楽団指揮者の柳澤さんにご連絡を取らせていただいた際、いつか一緒にお仕事をすることを楽しみにしているとおっしゃってくださった。
この言葉を胸に、私も柳澤さんのように芸術で世界をつなぐ人間になることを目指して進んでいこうと思う。



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