見出し画像

日本の風景・西欧の景観―そして造景の時代

野生の自然の風景や農村風景とまったく同様に、都市風景もわれわれをとりまく客観的な環境との関連においてのみ存在するのではなく、われわれが環境に対して持っている主観的な表像との関わりにおいても存在する。したがってわれわれが都市風景を観賞するときも、また当然都市計画者が開発を行うときも、都市や都市性というものについて多少なりとも抽象的な観念に特に影響を受けることになる。一方こうした観念自体もわれわれの知覚する風景に影響される。

このように複雑にもつれあった関係は、なかば現実的で、かつ観念的、なかば生態学的で、かつ象徴的という性格をもっているが、少数のモチーフとして明確な形をとることになる。これらのモチーフは時代によって変化するが、ある時代の都市計画の思想や都市に関する世論を協力に規定している。たとえば近年の日本では、緑や水辺というモチーフがそれにあたる。

この記事が参加している募集

推薦図書

新書が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?