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地球持続の技術

ビジョン2050は、①エネルギー効率の向上、②人工物の飽和と循環、③自然エネルギーの開発の3点を基本原理としながら、それらを具体化したものである。このビジョンは、地球上のすべての人々が現在の先進国に匹敵する生活レベルを達成し、同時に環境と資源の問題を解決することを前提としている。効率のよい循環型社会が実現できるなら、それはけっして夢物語ではない。なぜなら、本書でくわしく見るように、エネルギー効率の大幅な向上も、自然エネルギーの大規模な開発も可能であるし、また20世紀が負の遺産ばかりを残したわけではないからである。建物や鉄道や高速道路や家電製品など、身の周りにあるさまざまな人工物は、場合によっては、「正の遺産」と考えることができる。こうした基本的な人工物が地球上のほとんどの人々にいきわたる「人工物の飽和」という状態が21世紀半ばにも訪れるであろう。そのときに、効率よく廃棄物を再生してリサイクルさせることによって、天然資源からの人工物の生産をゼロに近づけることが理論的にも技術的にも可能であることを明らかにしたい。

もし、ビジョン2050を実現することができるならば、石油の枯渇、地球の温暖化、廃棄物の大量発生という三重苦から逃れることができるし、人類は持続的発展のための物質的基盤を得ることができるだろう。

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