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羽生結弦単独アイスショー「プロローグ」 prologue を見てきました!

初めまして。Twitterでnoteを教えていただき、始めました。踊る心理学生です。
今回は私の愛する羽生結弦”選手”が主催する初の単独アイスショー「プロローグ」を見てきたので、感想と考察をダンサーの私的視点から分析しつつ書き記していこうかと思います。皆さんの解釈と私の解釈は必ずしも全て一致するとは限りませんし、羽生選手と私たちの表現の解釈の違いもたくさんあると思います。そんな色々な視点を楽しめるファンの皆様にこのnoteを見ていただけたら、幸いです。
※この記事は当公演のネタバレを含みます。ネタバレが嫌な方、自分の目で感動を最初に目に焼き付けたい方は公演をご覧になった後に読んでくださると嬉しいです。

1.そんな始まり方ってある!?

いや、本当に斬新でした。サスペンションライトが羽生選手を照らし(氷の性質上、場ミリがなかったのでサスから少しずれちゃってましたね。羽生選手も照明さんも悔しかったでしょう・・・)、始まった!!最初は何のプログラムだ!?と思っていたら、まさかのアナウンスが。

「これより6分間の公式練習を始めます、選手は練習を始めてください」


〜流れ始める「天と地と」〜

斬新、斬新すぎる。冒頭からアイスショーの前例をぶち壊してきた羽生選手、さすがすぎました。私自身、生の試合を見れたことがなかったので、いわゆるショーと試合の両方の姿が見れることに喜びを覚えました。羽生結弦選手の試合のルーティーン、鼻をかむし、アミノバイタル(?)を飲むし、ジャージを脱ぐそのまさに試合のルーティンがとても愛おしかったです。本人はこの後、この場面の魅せ方が上手にできるか、何を魅せられたら良かったか・・・と仰っていましたが、集まっているのはあなたのコアなファンです。もう自由にしててください、自然な羽生選手を観れるのは逆にご褒美なんです。

そして6分間練習は終わり、一本目のプログラムは「SEIMEI」。衣装は平昌のものだろうか、インナーは紫色であった。私的には黄緑色の衣装よりこちらが好きです、皆さんはどうですか?
HANYU YUZURUチャンネルの「share practice 」で行っていた平昌五輪のフル構成ではなく、フリップ、ルッツ、ループは回避。右足に違和感があるのか・・・?と勘繰ってしまう。冒頭、4回転サルコウを見事に決め、ついで4回転トーループ。なぜこんなにも完成度が高いジャンプを跳べるのだろうか。。。そして、現在のルールでは要素に入らなくなってしまったtransitionも思う存分に使う。そう、これが羽生結弦のスケーティングなんだ!!僕はこれ大好きだ!!!
次に飛んだのはトリプルアクセル。これまた完成度が高すぎる・・・。
スピンも生で見ると回転速度がえぐいです。羽生結弦の三半規管を僕にもください。そう思ってしまうくらい早い回転とスムーズな足替え。そしてステップシークエンスもしっかり要素を抑え、競技会とやることが本当に変わっていないと思いましたね。次のジャンプは4T -1o-3S、平昌五輪では単独になってしまったジャンプをしっかり決め、次は3A+3Tとかかな〜と思っていたら、まさかの3A-1o -3S。競技ではできない(やらない?)3連続ジャンプを2つという構成。そして最後のジャンプに3A+3T。競技会とはまた違う、新しい表現を早速魅せられました。単純にジャンプの難易度は上がっているし、体力的にもとんでもないジャンプを降りているので、圧巻でしたね。そしてコレオシークエンスは思わずこちらが動いてしまうような音ハメ。僕がジャッジだったらGOEを5点満点あげちゃいますね。
全てのジャンプに高さがあり、回転速度も早く、transitionも面白く、転倒するんじゃないか・・・という不安を抱かせない素晴らしい安定感でした。近くで見ると衣装のラインストーンがとてもキラキラしていて、着てみたくなりました(?)。

2.change

SEIMEIが終わり、スクリーンにはかわいい赤ちゃんゆづが。かわいい〜!!
そして羽生結弦の人生の始まり、スケートの歴史を拝見しました。見れば見るほどヤンチャな一面があったり、ちゃんと男の子なゆづくんに僕はにこにこしちゃいまたね。へへっ。
そして聞こえる三味線の音、当たるサスペンションライト。そこには何者かが三味線を弾いているのです。えっ、音源じゃないの!生演奏なの!?やばーい!!!!
出てくる羽生結弦。衣装は赤と黒の衣装で片腕はノースリーブ。黒と真紅に白い肌、映えすぎです。三味線に合わせて、競技的な要素を組み込まないフリーなステップ表現、羽生結弦は日本の文化を大切にしていると前から思っていたが、本当にこの人は日本人であることに誇りを持っているんだなと思った。三味線の音を1つ1つ丁寧に拾うなんて、素晴らしい人だよ・・・。衣装はFaoi2022の「略奪」を彷彿とさせ、妖艶さとかっこよさが共存する世界、これは語彙力を奪われましたね。もう何も言えません。

3.羽生結弦、マイクを持ちます!

マイクを持ち、MCを始める羽生くん。喋るのはあまり得意ではないと前々から仰られてましたが、推しがたくさん喋っていてもう幸せ。質問コーナーに入り、僕のオタク的質問に答えてくれ・・・!と思いましたが触れられず・・・。ぴえん。
そしてここで入場時に渡された”光るバングル”を用いた羽生王国の国民投票が行われます。色は5色に光り、その光の色でこれからちょっとだけ滑る曲のリクエストを募ると。
僕は「青」がバラード1番、「白」がロミオとジュリエット、「水色」が天と地と、「紫」がorigin、「緑」が「SEIMEI」かな〜と公演が始まる前に予想していたのですが、大外れ。
「青」が悲愴、「白」がロシアから愛を込めて、「水色」は残念ながら無し(音楽の権利申請が間に合わなかったのでしょうか・・・)。「紫」がLet's go crazy、「緑」が花になれでした。会場は青、紫、緑で競り合い、羽生くんから観て紫が多いということで、Let's go crazyに!!
やはりこのプログラムといえば最後のコレオシークエンスからのエグい音ハメスピンのエントリー。氷を蹴るタイミングと音楽が一体化し、とても気持ちがいい・・・。

4.スパルタカス

まさかのここで恩師登場。表現者と恩師の途切れない師弟関係の絆はいつ見ても素晴らしいんです。この方はちいちゃい頃のゆづくんから、大人に向かう弓弦くん、そして今大人になり、羽生結弦さんとなった彼をずっと見てきたのです。その感動は計り知れないだろうなと、私は思いました。
羽生くん「次やるプログラムはスパルタカスって言って、皆さんあんまり知らないと思うんですけど・・・」
オタクをなめてはいけません。オタクは常にあなたの全てを知ろうとしてます(言い過ぎ)。
昔のプログラムということもあり、基礎的なスケーティング技術が多いと本人も仰っていましたが、それにしても美しい。羽生くんのいう、「芸術は絶対的技術に基づいたもの」という言葉の通り、彼はこの基礎的な部分をしっかり抑えられているから、表現が豊かなのだろうなと思うのでした。

5.ロミオとジュリエット

流れ出すGPFの映像。まだ食が細く、身体の細い羽生くん。その映像の途中から、現在の羽生結弦が現れる。いや、直してるとはいえまだロミジュリの衣装入るのやばいな・・・と思いつつ。過去の映像と現在の羽生結弦がクロスフェードで現れる演出は普通にやばい。当時のことを覚えているお姉様方は自分の孫や息子の成長を見る気分なんだろうと、若造は思いました。
このプロローグ(序章)という主題にふさわしい、自分の成長をしっかり比較して見せられている演技構成。羽生結弦という人は、本当に作品の作り方が上手で、魅せ方が上手だと思いました。
僕は羽生くんより年下ですが、なぜか懐かしく、嬉しい気持ちになり胸が熱くなりました。羽生くん、僕は君が好きです・・・!

6.スーパーオタクタイム&羽生結弦の心の中

まさかのFF10の曲を使うという。羽生くん、君はそのゲームをいったい何時間やったんだい???ここの照明とプロジェクションマッピングがかなりすごかった。あの機材を集めたこと、演出家と照明さん、照明案を考案した羽生くん、みんなのセンスが輝きすぎていた。。。本当に幻想的な世界に引き込まれていく感覚でした。
僕が特にこのプログラムで残っているのは文字。氷に映し出された言葉を見ていると、「輝いていた」「独り」など、羽生くんの抱えるジレンマであったり、心の弱いところ、強いところ。それらが氷に流れていく感じでした。そして、最終的にその流れて行った言葉たちが羽生くんの元に戻っていった。これはまるで、そのジレンマや強さ、弱さ、その全てが今の自分を形作っているのだと言わんばかりの演出でしたね。
彼のすごいところはやはり、スケートの表現だけで終わらないところ。言葉や振る舞い、衣装、照明。全てを存分に使って、一つのプログラムを完成させるあの姿勢は、表現者として素晴らしいと思います。そして何が怖いって、今回これがプロローグ(序章)であるということ。彼の今後の進化をより一層期待できるなと思いました。。

7.ちょっとゆづ〜!みんな泣いちゃったじゃ〜ん!先生に言っちゃお!!

そしてここから、SEKAI NO OWARIの「サザンカ」という曲が流れる。同楽曲は、平昌五輪の応援ソングであった。
楽曲に合わせ、羽生くんの練習での失敗の日々を目の当たりのすることになる。数々の転倒、苦悩、映像を通して彼の経験を少し追体験した。
サザンカの歌詞に出てくる「君」とは、現在の羽生くんから見た「アマチュアスケート選手だった羽生結弦」なのかな、と自分は解釈しました。当時の羽生結弦を俯瞰的に見て、今現在、プロアスリートとなった羽生結弦が過去の自分を認めて、振り返っている時間なのかなと。
「ここで諦めたら今までの自分が可哀想だと君は泣いた」
この歌詞はきっと、これまでの競技人生の中で羽生くんが苦悩するたび、何度も経験したことなんだろうなと思う。実際に、2019年のGPFが終わった後、「フィギュアスケートってなんなんだろう」と考え込んでいた時期もあったと本人は語っていましたし。
「誰よりも転んで 誰よりも泣いて 誰よりも君は 立ち上がってきた」
この歌詞の間、羽生くんは映像の中で何度も何度も転んでいました。そしてその度彼は悔し涙を流し、立ち上がってきたんでしょうね。
「夢を追う君へ」
という歌詞が同楽曲にはあります。「夢」という言葉は羽生選手にとって、とても印象深い言葉ですね。まさに彼は、「夢を生きる」ことに全力なんだと改めて思いました。
「僕は知っているよ 誰よりも君が1番輝いている瞬間を」
という歌詞が僕の勝手な願望であり解釈ですが、今、羽生くん自身が自分自身をそう思えているなら、私たちはとても幸せだなと思いました。なぜなら、私たちも同じように思っているから。
この羽生結弦の軌跡を目の当たりにした会場の皆さんは泣いてましたね、ええ、私も涙でアイシャドウが目に入り込んで激痛に悶えながら泣いてましたよ。笑
涙がじんわりと出て、一回流れた涙は止まらなくなっちゃいました。
そして彼のそんな挫折の日々をサザンカという楽曲と共に見ていき、最後には高難度のジャンプを着氷していく彼の姿が見えました。こうやって振り返ってみると、羽生くんは本当に身体がしっかりしてジャンプも安定し、しっかり指先まで綺麗になって、神経が通うようになっていて。たくさんの苦悩を乗り越えた先に手に入れたタイトルの数々、ジャンプ。その彼の生き様にみんな涙でした。
そして、最後は4Aの離氷後で映像は終わり。彼の夢はまだ終わっていない、続いていることが示唆されているのだと私は解釈しました。その夢、生きて。

8.懐かしい声がする。

そんな涙の会場に颯爽と現れた羽生結弦、流れた音楽は「春よ、来い」。もうこの時点で僕の涙腺は決壊していたので、涙は止まりません。顔とマスクは涙と流れたアイシャドウでガビガビ。個人的に僕はこの楽曲に思い入れがあったので、死ぬかと思いました。
少し自分の話になりますが、僕が羽生くんを好きになったのは多分ソチ五輪。そこから少し間があいて、もっと好きになったのが平昌五輪。そこからはもうずっと大好きでして。
自分は現在に至るまで、人生の半分くらいをアマチュアのダンス選手として過ごしてきました。なので、身体表現には元々関心があり、羽生選手を研究して自分の作品に活かしたこともあります。
自分と羽生くんは少し、重なる部分があって。幼少の頃から喘息を患い、運動は厳しい状態でのスタート。少しずつそれを克服していき、今に至ります。また、右足首の靭帯断裂なんていうところまで一緒で、それでも痛み止めを使って競技に出るなんてところも一緒。そして私も競技において多くの挫折を味わいました。笑
だんだん、そんな羽生選手との共通点が嬉しくなり、いつしか自分は羽生選手のような表現をしたいといわゆる”寄せ”るようになったのです。
私自身も、今年でそのアマチュアダンス選手を引退し、研究の道へ足を踏み入れようとしています。最後の公演で、羽生選手の使用した楽曲「春よ、来い」と「花になれ」を使用させていただき、たくさん表現のヒントをもらいました。
羽生くんと自分が重なるだなんてすごく烏滸がましい発言ですが、羽生くんからたくさん学び、時に励まされ、心を助けられてきたんです。これからは自分がさらにこの身体表現の領域を研究していき、誰かに還元したいと思っています。
そんな思いがありつつ最後に踊ったソロ演目が春よ、来いを使用したものだったので、刺さりすぎて言葉も出ず出たのは涙だけでした。
でもきっとこれは、僕が羽生くんに重なったというよりは、羽生くん自身が持つ「観客とつながるチカラ」由来の現象なのではないかと思っています。きっと、自分のように競技経験者ではなくとも、羽生くんの表現を見て自分の人生の紆余曲折と重なり涙を流したり、魂を震わせている方もいらっしゃると思いますし。皆さんが各々の経験を持っているのに、それら全てと繋がり感動させられることは、羽生さんのアスリートとして、またパフォーマー・アーティストとして素晴らしい点だと思います。
そして演目が終わると会場は完全なるスタンディングオーベーション。みんな泣きすぎです(私が特に)。ちなみにこの曲で1番好きなのは最初のスピンのバタフライを用いた足替えの音ハメです。
僕は羽生くんのことをこんなにも愛してくれているファンが7900人も同じ空間にいたことが幸せでした・・・!

9.羽生結弦、帰ってくる。

最後はアンコールがありました。
鳴り響くギター音、これは・・・!!!
羽生くんは白のグッズTシャツを着て再登場。パリの散歩道を滑りました。もう涙も出切って、ソチをお黙しながら懐かしさを感じ、彼のサービス精神旺盛なところにまた惚れてしまいましたね。ほんっとうに。
演技終了後、最後に「私は最強」という楽曲が流れました。
ええ、そうです。あなたは最強です。

最後に

ということで、羽生結弦初の単独アイスショー「プロローグ」の感想を書かせていただきました。多分追記したりすると思うので、気になる方はちょこちょこ見てください。
Twitterでは私の拙いツイートをたくさんリツイート、いいねしてくださりありがとうございます。本当にゆづくんのファンの方々は暖かく、お優しいですね。
時間ができたらまた、さらに詳細でコアな考察なんかもしたいと思うので、よろしくお願いします!!

 踊る心理学生 


踊る心理学生
Twitter@ka2dance

東京都出身、幼少期は喘息に苦しみながらも空手にサッカー、水泳と多様なスポーツに取り組む。12歳で恩師と出会い、ヒップホップダンスを始める。1年後、恩師のススメによりジャズダンスに出会う。高校生から創作ダンス・コンテンポラリーダンスのアマチュア選手として都大会に出場、大学では創作ダンス選手として、全国大会へ出場し、現在に至る。現在の関心はフィギュアスケート、羽生結弦選手、芸術を用いた社会的養護措置児童への支援。

#羽生結弦 #プロローグ #プロローグinyokohama

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