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【詩集】想イノ欠片タチ

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つきの、のカクヨム公開詩集の中から選んだ一篇にイラストや写真を添えたものを集めました。 随時追加中。
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#私の作品紹介

「夜と語る」

もの思い眠れない夜 自分の内側にある深淵と 語り合うにはちょうどいい 静寂は心を澄ませて 小…

つきの
1年前
9

「紫陽花を探しに」

しばらくは雨が続くと ラジオの天気予報でいっていたから 今日は思い切って 街中の紫陽花を探…

つきの
2年前
11

「四角い部屋で」

伝えたいことは たくさんあるはずなのに いつも喉でつかえてしまうの わかっているけど話さな…

つきの
2年前
13

「バスに揺られて」

バスに揺られて隣町まで バスに揺られて、うつらうつら 昨日はあんまり眠れなかったの バスに…

つきの
2年前
16

「月と歩く」

少し遅くなった買い物からの帰り道 暗くなった空に、まん丸お月さま だいぶ寒くなりましたね…

つきの
2年前
23

「キミのいた風景」

もう今は無くなってしまった 路面電車の電停で 学生時代のわたしたちは よく待ち合わせをして…

つきの
2年前
33

「ニンゲン」

人間はその一生で 汚れや澱みを その身に重ねながら生きる 間違いもせずに 嘘ひとつ吐かない 傷ひとつない魂なら それは人間でなくて天使だろう そのひとが魅力的だったのは 沢山のものを背負いながら 生きてきたからではなかったか 己の消せぬ煩悩も葛藤も その胸に抱きながら祈りにかえて 人間とは綺麗事だけで 生きられるものではない 生きるということは 生臭く、時に醜くさえある そんな全部を、自分として認めて だから、その言葉には力と温もりがあった それが、人々を惹きつけてやま

「親子」

わたしはずっと 親であり、子でもあったのだけど 今はもう 子ではなくなってしまった 誰かの…

つきの
2年前
38

「みどりのこ」

もう10月も終わりかけというのに 自然の中では まだまだ緑が逞しく繁っている 踏み込む足を、…

つきの
2年前
24

「ぎんのゆびわ」

繋ぐもの 確かめるもの 想いだすもの 細かな傷がついて 色褪せて すっかり古びてしまった く…

つきの
2年前
25

「Girl」

Girl……そう呼ばれた日もあったわ 臆病をいいわけにしていたの 本当の怖さなんて知らなかった…

つきの
2年前
28

「一時離脱」

書いては消して また書いてはやっぱり違うと消して ダメな時はこんなもの この際全部、綺麗さ…

つきの
3年前
22

「最後の蝉」

最後の蝉が鳴くまでは まだ少し間があるはずの九月はじめ 一匹の蝉の鳴く声が 玄関ドアの向こ…

つきの
3年前
25

「イヴの林檎」

人が怖くて堪らなかった時があった 思いもかけない所からの不意打ちで 怒りよりも驚愕といたたまれなさ 痛みと哀しみは寧ろ後からやってきた 心的外傷(トラウマ)というのだと 知ったのはずっと後で それは今ではカサブタになっているけど 思い出したように疼いてわたしを眠らせない 心の中のことは複雑で難しい 整理できていたはずのこと 忘れていたはずのこと 閉じて鍵を捨てたはずの扉が いつの間にか細く開いている 大事にしていた鍵は 大事にしすぎて失くしたりするくせに 人の心はわから