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アンパンマンに宿る魂、ものがたりの起源について

あんパンに魂を見る子どもの感性に驚く。

ある調査によると、アンパンマンの人気は0〜2歳がピークで、どのキャラクターよりも圧倒的人気だという。3歳を超えると、子どもの関心は急激にドラえもんやプリキュア、機関車トーマスなどに切り替わる。「食べもの」から「動物」「機械」「妖精」へと移行する。

あんパンは食べものである。子どもは、アンパンマンに乗車することで、あるいは、あんパンを象徴的に食べることを通じて、消化し取り入れているのである。アンパンマンが、究極的には自らの頭を食べさせることでお話を締めくくるように。食べものの否定によって、あるいは自己の否定によって、心理学的なステータスが根本的に、かつ正確に移行することが示唆される。

『アンパンマン』は、食べものの語り、つまり「ものがたり」そのものである。「ものがたり」の発生の中心には、こうした「否定」の作用が見て取れるのかもしれない。同時に3語文の世界に移行するのも印象深い。

「ものがたり」を得る代償として、アンパンマンカーは、赤ちゃんという入れ物は、ただ打ち捨てられる日も近いのであろう。そうして「子ども」が誕生する。

あるアンパンマンカーの近影


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