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劇評

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#岩松了

舞台に吹く旋風(つむじかぜ)の正体は……。明後日プロデュース『青空は後悔の証し』

舞台に吹く旋風(つむじかぜ)の正体は……。明後日プロデュース『青空は後悔の証し』

久々に、頬がしびれるほどの疾風に打たれる感覚を持った。理解しようと足に力を入れ、必死に目を凝らすが、突き放すように強い風が絶えず吹いてきて、点が見えてもなかなか線にならない。
戦争や災禍など、大きな社会問題を作品の中心に置き、現代との接続をわかりやすく見せた、ここ数年の岩松了はここにはいない。
ひたすら個人の心にフォーカスし、それも、心の闇に分け入って謎を解くのでなく、奥を覗けば闇しか出てこないの

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ニナガワの子供達をイワマツの養子にという夢は叶わないですか? さいたまネクスト・シアター『雨花のけもの』

ニナガワの子供達をイワマツの養子にという夢は叶わないですか? さいたまネクスト・シアター『雨花のけもの』

故・蜷川幸雄が2008年末に立ち上げたさいたまネクスト・シアターが、この公演を最後に解散する。

蜷川は、芸術監督を務めていた彩の国さいたま芸術劇場で、演劇経験を問わない高齢者を集めたさいたまゴールド・シアターと、プロの俳優を目指す若者を集めたネクスト、2つの俳優集団の育成に取り組み、晩年は双方を混ぜて海外の複数の劇場から招聘される作品づくりに至った。けれどもその死から5年、どちらの集団も継続が難

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