オーストリア独自ドイツ語試験「ÖIF」 A2 ほぼ独学 合格体験記
Guten Tag, かぬしゃいです。
今週のウィーンはそこそこ暑いです。ゆえに、昼間は部屋にこもりっきり。夕方になったらいそいそと出かける日々を送っております。
標題の件をなぜNOTEに書こうと思ったのか。
それは、オーストリア人のファミリーメンバーとしての在留資格延長の際に必要なÖIF(Österreichische Integrationsfonds)のA2試験の詳細がネットで調べてもいまいちわからなかったので、忘れないうちに少しでもこれから試験を受ける人のために…と思い、本日に至ります。
今回は目次を付けましたので、必要な項目だけをサクッとみていただければ幸いです。
ÖIF(Österreichische Integrationsfonds)とは?
ドイツ語の試験で有名なのは、Goethe Institute(ゲーテ インスティテュート)ですが、これはドイツの機関。もちろん、Goethe Instituteの試験の合格証書はオーストリアでも有効ですが、オーストリアの在留許可の延長申請には、Goethe Instituteの試験ではなく、オーストリア独自の組織であるÖIFのA2合格証書が必要になります。(初回申請はゲーテでOK)
ÖIFはÖsterreichische Integrationsfondsの略で、サイトには以下のように定義されています。
大切なのは、この統合というところ。
単なるドイツ語の機関ではなく、移民の統合を目指す組織です。つまり、ドイツ語は統合の要素の一つであり、それ以外にも教育などを提供し、移民のオーストリア社会への統合を目指しています。
ÖIFと呼ばれているドイツ語のテストは、この組織が作成しているテストのことであり、在留許可の更新に必要になります。
どいういうことかというと、初回の在留許可が下りてから2年以内(3年?)にÖIFのA2試験に受からなければ罰金があるのです。
再掲:初回の在留許可申請にはゲーテのA1合格証書でもOK。
ただし、ここで厄介なのがÖSDと呼ばれる、これまたオーストリア独自の試験が存在していること。この違いを次の項目で説明します。
ÖIFとÖSDどちらを受ければいいの?
ÖSD は“Österreichisches Sprachdiplom Deutsch”の略で、オーストリアのドイツ語の試験という感じです。
ÖIFは統合を目指していますが、こちらはdiploma、つまりアカデミックな要素が色濃いのが特徴。また、ÖIFの試験のレベルがA1からC1までしかないのに比べ、ÖSDはA1からC2まであります。
最も大きな違いは、ÖIFの試験においてはドイツ語の他に「Werte und Orientierung(オーストリア的価値感とオリエンテーション)」という、オーストリアに住む上で必要な基本的知識のテストも実施されるのですが、ÖSDにはそれがないこと。
よって、オーストリアの大学の入学を目指す人は、ÖSD試験ないしはゲーテの試験を受けるのが一般的で、オーストリア国内に住んでいる外国人でオーストリアの大学の入学を目指す人は、基本的にはÖSDを受けます。(ドイツ語が必要な学科のみ)
また、仕事でドイツ語の合格証書が必要という人もこちらを受ける人が多いです。
在留資格延長申請にはÖIFがお勧めされています。
その理由は、在留資格延長の条件には、ドイツ語のA2レベルとWerte und Orientierung(オーストリア的価値感とオリエンテーション)」のテストの両方に合格しなければならないというものがあるのですが、ÖIFであれば、1つの試験で両方がクリアできるからです。
なお、在留資格延長のために、ÖSDのA2試験を受けて、別途「Werte und Orientierung(オーストリア的価値感とオリエンテーション)」を受けるという奥の手もあるようです。とはいえ、そういった面倒なことをすると何が起こるかわからないので、在留資格延長の場合はÖIFの試験をお勧めします。
難易度ですが、ドイツ語の先生曰く、どちらも変わらないとのことです。
ですので、繰り返しになりますが、在留許可延長のための場合は、ÖIFのA2試験を受けておいた方が無難かと思います。
ÖIF A2の試験内容
試験は、Lesen 、Hören、Schreiben、Sprechen、Werte und Orientierung(読解、聴解、ライティング、スピーキング、オーストリア生活基礎知識テスト)から構成されています。
下記のサイトから情報を持ってきました。無料の模試もあるのでおすすめのサイトです。
なお、スピーキングに関しては、模試を見てもよくわからないと思うので、この項目にて詳しく説明します。
ÖIF 読解と聴解 Lesen und Hören
Lesen: 20 Punkte; 読解 20点満点 試験時間 40分
Hören: 30 Punkte; 聴解 30点満点 試験時間 約12分
Mindespunkteanzahl Lesen+Hören: 25 Punkte
合格ラインは読解と聴解で25点
読解時間は40分
内容:過去問参照
ÖIF ライティング Schreiben
Schreiben gesamt: 20 Punkte; Mindestpunktzahl: 10 Punkte
ライティング 20点、合格ライン 10点
試験時間 25分
内容:与えられる2つのテーマのうち1つを選択。
予定調整・謝罪・物を買うなどの内容のメールや手紙を送るのがほとんど。
50文字~100文字が目安。
A1よりも長い文章かつA2の文法をしっかりと使う必要があります。
(次の項目で、参考の回答文を記載します)
ÖIF スピーキング Sprechen
Sprechen gesamt: 30 Punkte; Mindestpunktzahl: 15 Punkte
スピーキング 30点 合格ライン 15点
試験時間 10分
内容:試験官2人に対して1人の受験生。試験官一人との会話。3部構成。
第1部:自己紹介
最初に下記のような紙が試験官から配られ、ここに書かれている単語に沿って自己紹介をします。
はじめは真ん中のName名前から。そして時計回りの順番に話をしていきます。
途中の色付きのボックスの単語に関しては、自分について語ったあとに、試験官に質問をしていきます。例えば、上記の場合、Haustiereが色付きになっていますので、自分のHaustiereについて語った後に、試験官に対して
Haben Sie Haustiere? (ペットを飼っていますか?)
などの質問をします。
全部で3分くらいになるかと思います。内容が少ない場合は、試験官がさらに質問をしてくれますので、流れに任せれば大丈夫です。
第2部:3~4枚の絵のうち1枚を選び、その絵について説明する。
例えば、下記のカードを選んだとします。受験者は、この写真について、誰がいるのか、どこにいるのか、登場人物はどんな服を着ているのか、どんな髪の毛なのか、何をしているのかを語ります。
もし、受験者のコンテンツが足りない場合は、試験官がフォローをしてくれますので、基本的なことを言えるようにしていれば、なんとかなるでしょう。
上記の絵だと、例えば、
Auf dem Bild sehe ich 3 Menschen. Ich glaube dass, sie auf dem Markt sind.
(この絵において私が見えるのは3人の人間です。彼らは市場にいると思います。)
その後、人の描写に移ります。例えば、
Im die Frau links trägt einen gelben Schal. Sie hat lange, gelockte, braune Haare.
(左の女性は黄色いスカーフをしています。彼女は長いカールの茶色い髪の毛を持っています←変な日本語ですが…💦)
こんな感じで一人一人の描写をしていき、最後に彼らが何をしているのかを語れば軽く1分は超えます。
Ich denke dass, die Frauen eine gute Bluse kaufen möchten.
(私は女性たちが良いブラウスを買いたいと思っていると思います←やっぱり変な日本語💦)
第3部:選んだ絵をもとに試験官と架空の会話をします。
選んだ絵の裏側には下記のように先ほどの写真+なんらかの言葉が入った絵があります。試験官と架空の会話をするのですが、特に何を話していいかわからない場合は、それをヒントとして会話をします。
ですので、別にこの単語は無視してもOKです。
むしろ試験官が質問をしてくるときにこの言葉を使わないこともあるので、参考程度と思っておけばよいかと思います。
もちろん試験官によって質問内容だったり、こちらに質問してほしい内容が変わると思いますので、一概に何を話せばいいかという答案はありませんが、
Wie kostet, Wie lange, Um wie viel Uhr…, Haben Sie…
などの基本的な疑問文が言えて、答えられるのであれば問題ないかと思います。
ÖIF Werte und Orientierung
全18点 合格ライン 15点
試験時間 40分
内容:下記サイトの中の問題から18問が出題されます。
質問や回答は至極当たり前のものになりますので簡単ですが、A2にとっては少し難しい単語がありますので、そこだけはしっかりと学んでおいた方が良いと思います。
ちなみに40分は絶対にいりません。だいたいかかっても15分で終わります。
Schreiben TIPS
題名に「ほぼ独学」と記載したのは、実は、sprechenのテストがどのように行われるかが調べてもよくわからないので、3日間のA2試験準備コースに行ったからです。
3日で70ユーロ。安くはないですが、学校で授業を受けると300ユーロするし2か月程度の時間もかかるので、それに比べれば安いし早いと思い、受講を決断しました。
LesenとHörenに関しては準備コースでも特に勉強せず、もっぱらSchreibenとちょっとSprechenを集中的にやりました。やはりこの2つ、特にSchreibenが肝のようです。
Schreibenの例文
Schreibenについては、ある程度定型文を覚えると良いです。
ネットを探ればいくつか例文が出てくるので、パターン分けして書き写してみるとよく覚えられます。
例えば、予定変更の依頼編、友達の家に訪問する日程の調整編、自分の家に誰かを呼ぶ編、旅行会社・不動産会社などに問い合わせをする編、学校の先生に子供についてメールをする編 など。
これでだいたいは網羅できると思います。
また、A1でもありましたが、手紙の最初と最後、公式か公式じゃないかはA2でもそれ以降でも必須です。
それでは、先生の回答と、ギリギリで合格した私の回答を載せておきます。最低限、私レベルの回答ができていれば合格すると思われますが、スペルミスなどの凡ミスがほぼないレベルにしておかないとそれだけで点数が削られて不合格になってしまうので、要注意です!
B1受講を終えた今、この回答を見ると、かなり恥ずかしいレベルですが、でも、合格したのでなんでもありです。
独学で合格するための教材と勉強方法
あくまでも私の場合になりますので、全員にあてはまるわけではないということをご了承ください。
Lesen対策
私の場合、ドイツ語版のドイツ語教科書をひたすら勉強しました。
そして、試験を受けようと考えたときに一度模試をダウンロードしてやってみました。
寸前まで模試を解いてみない方もいらっしゃるのですが、私は、テストは内容よりもテストの形式を覚えることが重要だと思うので、とりあえず一度早い段階で模試をやってみて、テストの形式を確認し、同時に自分のできない部分を確認すればよいと思います。
私の教科書はこちら。かなりおすすめです。
この中のA2レベルのページに関しては、不安がないレベルまで一人でコツコツ繰り返し解きました。
そうすると、気づいたらLesenはA2のレベルに!
ただし、単語は別途覚える必要があるので、単語帳などを使うのもお勧めです。私は、日本の単語帳&英独辞書を読んでました。
単語帳はこちら。
Hören対策
Hören に関しては、下記2つで乗り切りました。
1,ドイツ語のpodcastを寝ながら聞く
2,youtubeでGoetheのA2のリスニングの練習問題を解きまくる
リスニングは慣れしかない、というのが私の考えです。
また、形式が少し独特でもあるので、少なくても3つの模試を解いた方がいいと思います。
Schreiben対策
Schreibenはこちらのサイトなどを参考にしました。
ÖIFに限定するとかなり例文が少なくなるので、ゲーテやÖSDまで広げて探すのがベストです。
前述しましたように、上記内容をある程度定型文として覚えると良いです。
Sprechen対策
Sprechenは、事前準備で大方乗り切ることができます。
まず、第一部の自己紹介は事前に紙に書いておき、実際に何も見ずに言えるようにしておければ問題なしです。
自己紹介すべき内容はほぼ変わらないので、2~3個の模試のSprechenをネットから拾ってきて、その解答を紙に書いて、覚えておけば対策としては十分です。
第2部に関しても、いくつかネットから拾ってきて、紙に話すべき内容を書き、定型文を覚えておくようにすればいいと思います。
例えば、こんな感じの内容です。
・人の洋服(er/sie trägt 形容詞+ブラウス、形容詞+シャツ etc)
・眼鏡の有無(er/sie trägt eine Brille)
・髪の色(er/sie hat 形容詞+髪の色+Haare)
・背景にあるもの(In Hintergrund sehe ich ---)
・ここはどこで、登場人物は何をしている
すらすらと言えるまで頑張って独り言を言うのがお勧めです。
第三部に関しては、架空の会話を作るにあたって、質問されたときの回答と自ら質問を言えるようにしておかなければならないのですが、基本的に5W1Hの質問が聞き取れるようになっていること、そして、5W1Hの質問ができるように準備しておけば問題ないです。
やはり、ここでも架空の会話を一度紙に書いて、しっかりと読み上げてみると良いと思います。
また、どんな会話をしなければならないのかいろいろと不安だと思いますが、試験官がかなり助けてくれるので、安心して大丈夫です。
そして、独学の最大の問題点はこちら。
SchreibenとSprechenの自分の回答がちゃんとしているかどうかのチェックができないということ。
ですので、確認したいという人は、ドイツ語のできる知り合いや、ドイツ語先生にネット経由で添削をお願いをするしかないです。
ただし、今は、tandemなどのlanguage exchange アプリなどがありますので、そこでドイツ語ネイティブの人を探し、添削をお願いすると安上がりです。
もちろん、language exchangeですので、こちらはその方に日本語を教えてあげる必要があります。
最後に
以上が私がA2を語学学校に行かずに合格した方法でした。
試験に受かるという目的だけであれば、A2は独学でも問題ないと思います。ですが、独学だとどうしてもスピーキングが上達しません。
現在はB1+のクラスに通っていますが、スピーキングの上達が自分でもわかるくらい早いです。
ですので、やはり独学でドイツ語を話すようになるのは厳しいなと思い知らされました。
よって、スピーキングを強化したい方は、個人レッスンなり語学学校に行くことをお勧めしたいと思います!
それでは、Tschüss!
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