異世界転生者殺し-チートスレイヤー-について

唐突にnoteを始めようと思ったのは、題記の漫画の連載中止のニュースを見て。
公式のコメントはこちら
https://dragonage-comic.com/news/editor/entry-10698.html
本稿は、ネットニュースで見てこの件を知り、まだ試し読みが残っていたので、そちらも読んでみての記事です。
(本稿を書き始めた時点ではまだ試読可能であるが、あの醜悪な作品を私が紹介するのはあまりに忍びないので、どうしても読みたい方は自己責任で検索してご覧ください。)

世に異世界転生モノが氾濫し、似たような設定ばかりで食傷気味という層がいるのはわかるし、それを逆手にとったパロディをやってみようという着想も、まああるだろう。
しかしながら、本作での異世界転生者の悪行の描写は不愉快極まりなく、唾棄すべきもの。
悪行の質が極めて下劣(文章にしたくない)で、転生チートキャラにヘイトを集める目的は(浅はか極まりないが)一応理解できるが、その役を借りてきたキャラクターに行わせるのは本当に卑怯だし、クリエイティビティのかけらもない。
創作に対して正しさを求めるポリコレ的な言説はあまり好まないが、ここでの悪の描写は最悪級に下世話なもので、全年齢の商業誌で発表されるにふさわしいとは到底思えず。
明らかに有名なキャラ(のパクリ)に悪事(およそ品性のかけらもない)を働かせることが面白いと思っているなら、創作者としては致命的。
せめて悪は自ら生み出したキャラクターによって行わせるのがクリエイターの矜持ではないだろうか。

編集部のお詫びは白々しいのひと言。
元の作品へのリスペクトのかけらもない、出版人として最低の振る舞い。うけると思って世に出したものの通らなかったので、知らない顔を決め込んで謝っている体を装う厚顔無恥を、私は心底軽蔑する。
文化の普及滲透を任務とする出版人の責任を放棄した敗北というほかない(角川源義「角川文庫発刊に際して」参照)。

本稿は漫画を愛する者として、この嘆きをどこかで吐き出しておかないと、自らの中の不快な気持ちを消化しきれないという切迫感で書き上げた。
拙い文章ではあるが、そこに込めた思いを感じていただけたら嬉しい。

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