オリンピックは開催、パラリンピックは中止？

　最近の新型コロナウィルス感染症の感染拡大を受け、パラリンピックを中止するべきだと言う声が聞かれる。パラリンピック中止派の中にはオリンピックは賛成だった層も一定数いるようだ。
　あまりにも安直なパラリンピック中止論にひとこと物申したい。
　オリンピックの時には、選手の努力の成果を発揮する場を奪おうとしたと反対派が責められていたが、パラリンピックになると途端に中止やむなしのスタンスになるのは理解に苦しむ。パラリンピックの選手にも当然、これまでの努力があって出場を勝ち得ていることは言うまでもない。
　オリンピックを開催すると意思決定したなら、パラリンピックはセットであり、パラリンピックだけ中止というのは理屈に合わない。オリンピックを開催した時点でパラリンピックを中止するという選択肢は無くなったと認識すべきである。
　感染拡大の懸念はオリンピック以前からあって、今、現実のものとなっている。オリンピックの開催可否を検討した際に、その後に開催されるパラリンピックも含めて考えていた人はどれだけいたのだろう。
　オリンピックの開催とその後のメダルラッシュに酔いしれながら、パラリンピックで手のひら返しをするのは、あまりに独善的ではないだろうか。
　パラリンピックの中止を言うなら、オリンピックについてはどういう意見だったかを振り返ってほしい。その上で感染拡大に伴うパラリンピックの中止を言うなら、せめてオリンピックの時の判断の結果がどうなったかという反省に立って発言すべきだと思う。