新サクラ大戦およびサクラ革命の売り上げが伸びなかった原因について探る

過去に私の記事で何度か紹介したサクラ革命が7月20日(火)を持ちましてサービス終了となります。

本日がサービス終了前最後の日曜日ということもありますので、いろいろ感じていたことを思うことをあれこれ書いていきたいと思います。

ちなみに過去記事はこちらから確認できます。

ずばり何が足りなかったのか

一言でいうと、サクラ大戦シリーズが愛好してくれていたターゲット層が何を求めていたのか、その理解が開発元に足りていなかったことにつきます。

ですが、上記をベースにあれこれ意見していてもお気持ち表明にしかならないので、もうちょっと冷静に客観的にみて違和感を覚えるなというところをピックアップして考察します。

ポイントは次の3点です。

SEGAのサクラ大戦シリーズの売り出し方について

物語の舞台となる世界観について

土台となるゲームシステムについて

以降、これらについて説明いたします。

SEGAのサクラ大戦シリーズの売り出し方について

まずはSEGAのサクラ大戦シリーズの売り出し方についてです。

ここで伝えたいのは要するに、宣伝と販売のシナジーが取れてないよ、っていうことです。

この記事を読んでいる方の中にはご存知の方もいらっしゃると思いますが、実は新サクラ大戦、「新サクラ大戦theAnimation」として1クール(全12話)のアニメ化しているんです。

アニメの出来に関しては・・・まぁ、ここではあえて触れずにいきますが、着目したいのは放送時期と各サービスの販売・リリース時期についてです。

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時系列に並べてあらためて考えると「新サクラ大戦theAnimation」の放送を先に持ってきて知名度や期待値をあげて、その後に新サクラ大戦の発売とつなげた方が効率良いと思うんですね。

あと、上記のようにアニメ化するということが事前に決まっているならば、資源の有効活用という観点から、スマホアプリでリリース予定の「サクラ革命」もある程度世界観を共有していた方が間違いなくお得です。

なぜなら、その要素をアニメ内で少しほのめかすことが出来ていれば、スマホアプリのリリース前記念として上記アニメをYouTubeなどで配信して無料配信キャンペーンなどにつなげることも可能になります。

こういったことを戦略的に行うことが出来ていれば、アニメ、ゲーム、スマホアプリのどれかにはまった人が他のコンテンツにも購買意欲を刺激され、売り上げが伸びるという結果につながる可能性はあったかもしれないのになぁ。

同じ美少女がいっぱい出てくる「ラピスリライツ」とか「アイドリープライド」はアニメとかでそのあたりちゃんと意識できてたよなぁ、というのが私の思うところです。(まぁ、「ラピスリライツ」はもうそろそろいつリリースされるか正式発表してもいいんじゃねとは正直思いますが・・・)

物語の舞台となる世界観について

次に物語の舞台となる世界観についてです。

持論ですが、私は「新サクラ大戦」と「サクラ革命」は同じ世界観をもとに物語を作成すべきだったと思います。

なので、「サクラ革命」については霊子ドレスというアイデアそのものを否定する気はまったくありませんが、「新サクラ大戦」の世界観と整合性が取れないのであれば、素直に霊子甲冑を使って戦闘するとすべきでしたね。炎上する原因にもなりましたし。

・・・まぁ、これに関してはおそらくスマホアプリ用に霊子甲冑のモーションデータを作成したところで、今後自社で開発する他のゲームに流用できないことを嫌がった開発元のディライトワークスが提案した結果できた産物なのではないかなぁと勝手に邪推しています。

気持ちは多少わかるんですけど、そこはユーザーファーストでサクラ大戦シリーズのファンの気持ちになって考えてほしかったかなと。

もう一つ、世界観で気になるのは「新サクラ大戦」と「サクラ革命」の物語が世界への影響度ですね。ざっくりではありますが、次のようになります。

「新サクラ大戦」・・・舞台は東京。ただし、華撃団大戦などのイベントが開催され、登場人物はイギリス、ドイツ、上海など世界中からやってくるため、物語が与える世界への影響度自体はとても高い。

「サクラ革命」・・・舞台も登場人物も日本国内限定されるので世界への影響度は低い。物語の都合上、日本そのものが地域ごとに存在する小さな州(国)が集まって、それが一つの政府に統治されているまるで連邦や合衆国であるかのように描かれている。

こんなところです。同じサクラ大戦シリーズでも全く違いますね。(公式曰くサクラ革命は外伝扱いらしいですが)

ここで私が言いたいことは、コンシューマーゲームはスマホアプリと違い、一つの作品の終わりを意識してどう終わらせるのかまで明確にはっきりさせる必要があります。

前の記事でも記載はしていたのですが、新サクラ大戦はシリーズ復活という意気込みからか、世界中の華撃団を登場させるなどあからさまに風呂敷を広げすぎており、残念ながらいろいろと収束できていませんでした。(気になる方は私が過去に記載した「ゲーム考察(新サクラ大戦)」をご覧ください。)

「新サクラ大戦」はコンシューマーゲームであることも考慮し、世界への影響度は少ない日本国内の東京でのみ完結する物語とすべきでした。

失ったものを取り戻すというベースとなっているストーリーラインは面白いと感じましたが、そのためにどのような障害があるのか、その障害の乗り越え方、その障害の達成を阻止する敵役に主人公側と対立する主義・主張はあるのかなどがあいまいすぎて何が描きたいのかがよくわからない印象を受けました。

むしろ「サクラ革命」に登場する悪役キャラが裏で操っている「大帝國華劇団B.L.A.C.K」をメンバー変えて登場させて、「同じ帝都に「華劇団」は2つもいらない。指定された期限内に実績を出せなかった方は軍部によって解散されてしまう!」みたいにシンプルにした方がわかりやすかったと思います。新サクラ大戦のシナリオは敵役の担い手が本当にころころと変わるので。

それで「サクラ革命」についてですが、新サクラ大戦と世界観を共有するという前提で、革命みたいな強い言葉は使わずにタイトル変えて素直に学園ものにとしてリリースした方が良かった気がします。

例えば、次のような形にすれば新サクラ大戦と世界観共有でいけたと思います。(ちなみに新サクラ大戦は前作キャラの扱いがひどく、その扱いもストーリー上十分機能しているとは思えなかったので、ここではすみれさんと同じように各地で健やかに過ごしている前提としています。)

・青ヶ島の位置を日本、ロシア、中国の中間地点あたりにする。

・降鬼による侵攻に対応するために日本、ロシア、中国の3国の共同出資で青ヶ島に学園が設立される。

・学園創立者兼理事長は元帝国華撃団のマリア・タチバナ

・共同出資した各国から見込みのあるものたちが学園に集められる。主人公はその1人(男女選択自由)

・学園では通常の学業に加え、霊子甲冑での訓練や平時において舞台にあがるための歌劇の練習なども行っている。

・学園内でもひときわ優秀な生徒たちは生徒会所属となり、学園内では「N12(ノーブルトゥエルブ)」と呼ばれ、あがめられている。

真新しさなんて微塵もないと思いますが、こんな感じのゲームならサクラ大戦シリーズ好きの人たちが好むポイントも押さえてますし、変に炎上することもなく、普通に受け入れられていたと思うんですよねぇ。(たぶん)

ポイントは上記の作りだと日本、ロシア、中国の3国の関係性をもとにシナリオに伏線を張りやすくなることと、従来のサクラ大戦では描けなかった帝都以外の華撃団の内情なども描けること、海外の華撃団をスマホアプリ内でお披露目しやすくなり、コンシューマーゲームの続編に登場させればスマホアプリに誘導させやすいということです。

こんな感じの世界観のゲームならいろいろシナジー取れますし、売り上げも今より好調だったんじゃないかなと思います。

土台となるゲームシステムについて

最後に土台となるゲームシステムについてです。

これは「新サクラ大戦」についてはフルボイスじゃなかったこと以外は特に気になりませんでした。

ロックオンやレーダーの見方などにやりずらさを随所に感じたアクションパートもゲーム終盤は慣れましたし、アドベンチャーパートもシナリオがお粗末だなと感じることはありましたが、システムそのものには大きな問題はなかったと思います。

ゲームシステムに問題があったのは「サクラ革命」の方です。

スマホアプリって要するに売上に貢献するのは廃課金層がメインの集金システムじゃないですか。ただ、その廃課金層からお金を引き出すには売り上げに直接影響のない微課金・無課金層をつなぎとめておく必要があるわけですよ。廃課金層が課金したくなる要素を生み出すのは自分より下のその微課金・無課金層がどれだけいるかってことなので。

今、スマホアプリの市場ってレッドオーシャンなだけあって面白いゲームいっぱいありますし、複数のアプリを継続している人って多いと思うんですよ。

だから、運営としては複数のアプリの中の1つに選んでもらうってことが非常に重要なんですが、「サクラ革命」ってそのための工夫がまったくされてなかったんですよね。

「これは強いキャラが出ないと進めないから、ガチャを回すための石を多く配れ!」というわけでなく、一番重要なのは「弱いキャラで組んでもデイリーミッションが5分程度で終わるように設定しろ!」ってことなんですよ。

この配分がうまいのはやっぱりCygamesなんですよね。最近だと。

(ちなみにCygamesが提供している大ヒット中のウマ娘は時間かかるゲームなので、あれは例外です。)

最後に

最後になりますが、セガの新・中期計画で既存IPのグローバルブランド化が掲げられましたが、その中から「サクラ大戦」がなくなっていることがネット上でいろいろな人から指摘されています。

シリーズ好きの1人として思うところはありますが、結果が伴わなかったことを受けてのことなので、悲しい気持ちもあるのと同様に仕方ないのかなという気持ちもあります。

ぜひセガには新・中期計画で既存IPのグローバルブランド化において、ユーザーが求めているものは何なのかという視点に立ち返って、「サクラ大戦」シリーズと同じ轍を踏むことのないよう、多くの人を楽しませる作品を提供していただきたいです。

ここまで約4200字にもわたる長文を読んでくださった方、ありがとうございました。

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