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「メモリーズ・オブ・ロスト・ユニバーシティ」あとがき(関西コミティア69)

1/21(日)に開催された関西コミティアにて販売した作品「メモリーズ・オブ・ロスト・ユニバーシティ」について、少し書きたいと思います。
制作スケジュールがかなりギリギリになってしまったので、本にあとがきを入れられませんでした。(スケジュール管理の甘い僕が悪いのですが…)
そこで、あとがきに代わるものをここに入れておこうと思います。

あとがきですので、作品の内容及びバックグラウンドについて触れます。
マンガにそんなの求めてないよ!という方は目次から「あとがきのあとがき」まで飛ばしてお読みください。


あらすじ…

2019年の大晦日。
寮暮らしの大学生、加納は実家に帰らずバイト三昧の日々。
大学寮の管理人凪子は、年末にも関わらず帰省しない加納を疎ましく思っている。
新年も迫った夜9時、バイトで不在の加納宅に、同期のカップル、シューヤとサヤがやってくる…。

・セルフライナーノーツ「メモリーズ・オブ・ロスト・ユニバーシティ」

映画「アメリカン・グラフィティ」のような作品にしたかったんです。
ジョージ・ルーカスが「スター・ウォーズ」の前に作ったのが「アメリカン・グラフィティ」なんですけど、これは自分の学生時代をベースにベトナム戦争前の「古き良きアメリカ」を描いた作品なんだとか。

「メモリーズ・オブ・ロスト・ユニバーシティ」は、それをなぞらえて自分の学生生活の経験も交えた作品を作りました。
宅飲みでダベる日々や、お金がないなりに物事をなんとかしようとする姿、課題の締切ギリギリになんとか滑り込み提出したり…。
大学生って、時間はあり余っているけれどお金はない。
成人しているけれど社会人ではない。
そういう、今しかない特別な自由さがあると思っています。

そしてそれは、コロナ禍によって過去のものになりました。

僕は2021年から大学で働いていますが、いま学生たちを見ていると、コロナ禍の爪痕を感じずにはいられないのです。
入学早々に緊急事態宣言が発令され、授業のほとんどがオンラインで行われていて、サークル活動も制限され、学生も友達作りのきっかけを失っているように見えました。

授業はオンラインツールの導入により効率化された側面もありますが、代わりに授業中のノートの貸し借りや、徹夜明けに授業に出て寝ているだけの講義などは姿を消したように見えます。(オンライン授業では、それを観測することすらできませんが)

孤独や言い知れぬ不安と闘いながら、画面の中の講義を受ける。
課題を通してのみの大学生活、SNSでしか知らない同期。
そして素顔を見せることは、「感染のリスク」を超えた関係性であることが求められる。
それがコロナ禍の大学生活でした。

今まで世間で言われていたような「人生の夏休み」としての大学生活は、もはやファンタジーになったような感じさえしました。
今でこそ新型コロナウイルスが5類感染症に分類されたことで大学もほぼ以前の通りの姿に戻りましたが、この数年を学生として過ごした人々はまだ大学に大勢います。むしろほとんどがそうだといってもいいです。
「コロナ禍」を基準に大学生を始めた人は、やはり大学生としての「当たり前」が僕のような「それ以前」の人とは違うのです。

だからこそ、今作は失われたそれを描きたかったのです。
これまでの日常は過去のものとなり、上の世代にとっては懐かしく、若い世代にとってはむしろ目新しいものとして見えるのではないかと思いました。
なるべく、平凡な日常を楽しく読めるように描きました。
ただつまらないと思ったらそれは僕の実力不足です。すみません。


あとがきのあとがき

この作品を描けたのは、少なくともコロナ禍の収束の後だったからだと思います。
リアルタイムで描くのは、僕にとっては難しかったです。
だからこそ、今描く必要のある作品でした。

またこれは完全に言い訳ですが、今年は年初から今年一番の忙しさだったため、結果的に印刷所への入稿は間に合わずコピー本で販売することになりました。
次回、何かのイベントに参加する時には印刷所で印刷し直して出したいと思っています。
その際は、今回コピー本を買っていただいた方にはお安く販売したいと考えていますので、その際は改めてお知らせします。

今日関西コミティアに参加されたみなさん、お疲れ様でした!

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