【ストーリーがあるモノは劣化しない。 #343】
確か、小学校5年生になるタイミングだったと思う。珍しく父親が提案してくれた。
嬉しくてワクワクして電車に乗り大阪へ。
阪神百貨店の時計売り場に行くと、見たことのない色々な時計が並んでいた。
壁掛け時計を買う約束だったのに、志村けんの声で起こしてくれる「バカ殿の目覚まし時計」がどうしても欲しくなり、「やっぱりこれが欲しい」とねだった。
でも父は頑として、「今日は壁掛け時計を買いに来た。シンプルでずっと長く使えるものにしなさい」と。
帰り道、拗ねて拗ねて一言も話さなかった。
父はどう思ってたのかな。めんどくさい、しょうがない奴だと思ってただろうな。
あれから30年以上が経った。
あの時言われた「シンプルでずっと使えるもの」。
3.11の地震で表のガラスは割れたけど、父の年齢を超えた今でもちゃんと家のメインの場所に。
ストーリーがあるモノは劣化しない。
小学校3年生の上の子が、この時計が欲しいと言った。
「これはパパがじいじに買ってもらった大事な時計だから、君には君の時計を買いに行こう」と。
パッと嬉しそうにはにかんだ。キャラ物が欲しい欲しい!とねだってくれないかと期待している。
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