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意外と早いぞ、中国の自動運転社会幕開け

12月20日、警視庁は「レベル3」道路交通法の改正私案を発表したが、自動運転と言われても、日本にいると今ひとつピンとこない。弊社役員の一人は、中国でも免許を取って毎日ハンドルを握っていたので、感想を聞いてみた。

■中国にはEV自動運転がピッタリ

「まず、中国で運転しても楽しくないから、EVでOK。そもそも街中は渋滞だらけ。高速は、大陸なのでずっとまっすぐでつまらない。覆面パトカーはいないので飛ばせるはずなのに、のんびり走行。郊外にも箱根や伊豆のような場所はない。だから、『エンジンの吹け上がりがいい』だの『ハンドリングがシャープだ』などと言う人はいない。運転がつまらなくても没問題」

「車線合流の時の割り込みはすさまじい。クラクション鳴らしまくりだ。自動運転で勝手に合流してくれたらストレスが減る」

「駐車する時にも自動運転は便利だろう。保有台数が急に増えたため、通路際などに停めさせられる場合も多い。勝手に駐車してくれたらありがたい」

「そもそも、EVに対しては日本人よりも抵抗感がない。というのは、電動スクーターが年間2,000万台も以上売れていて、電動の乗り物で移動したり、自分で充電したりという経験があるからだ」

「しかも、いま大都市では、簡単にナンバーを取れるEVが売れていて、『EVを買う』という行為が身近になってきている。ただし、『中華EVカーはカス。突然すべての電気系統がイカれたりする。国からの補助金目当てで製造しているのが見え見え』と言われているが...」

たしかに、北京、上海、広州といった大都市は平原にあり、ワインディング・ロードなどは見たことがない。しかも、道中にオシャレなカフェがあるわけでもない。完全自動運転モードにして映画でも観ていた方がよさそうだ。

■国が強力にプッシュ

こういう素地の上で、日米欧のクルマ覇権を崩そうと、中国政府が躍起になっているのはご存知の通り。たとえば、

・特区政策 ― 北京、雄安、上海の他に、華中、西南、東北地区の自動車産業の盛んな都市に自動運転測定試験区を設置している。上海だけでも、2017年には1000台だったが、2019年には5000台、最終的には1万台にする計画。全国だと途方もない規模だ。

・EV後押しの諸政策 ― 取得税も免除されるが、それより重要なのはナンバープレート。上海市は競売制で平均落札価格は8万7374元(約140万円)。北京は抽選制だが数が少なく「何十年(!)待てば当たるのか」と言われている。しかし、EVなど新エネルギー車ならナンバープレートを無料ですぐに取得できる。強引に普及させようとする狙いだが、確実に功を奏している。

・自動運転車後押し諸政策 ― クルマだけではなく、大都市の交通インフラ全体を改造しようという、より大掛かりなもの。さらに、スマートホームなどの周辺産業も盛り上がっており、特需待ちの雰囲気。しかも、オリンピックや万博とはケタが違う特需だ。

■大丈夫か、ニッポン?

機を見るに敏感なお国柄なので、広州汽車などの老舗から新興EVメーカーまで量産型EVを次々発表しており、すでに戦国時代の様相を示し始めている。

方や日本では、冒頭の警視庁私案では「2020年から施行」とされている。しかも、その時点で「レベル3」だという。そんなに悠長なことで大丈夫なのだろうか。



コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/