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中国の試験区ビジネスは曲がり角、ビッグデータ研究はベンチャーの活躍に期待するしかない?

都市空間を分析するベンチャー企業が紹介された。位置情報に加えビッグデータ利用しようというものだ。ビッグデータの新しい使途として注目される。

中国では、有望な新技術は、各地に試験区を作り、成果を競わせるのが常套手段だ。有名なものは下記の通り。

自動運転試験区…主要なものだけで20カ所以上
大数居(ビッグデータ)試験区…国家級8カ所
越境Eコマース試験区…105カ所
自由貿易試験区…18カ所
区塊鏈(ブロックチェーン)試験区…26カ所

このうち自動運転とビッグデータ試験区に関するニュースは、最近減少している。しかし、自動運転は公道試験等、新たな段階へ関心が移り、ニュースがないわけではない。これにくらべビッグデータ関連は、発信そのものが減った。ブロックチェーン関連ニュースに押され気味だ。

国家大数居試験区は、貴州省、京津翼、珠江三角州、上海市、河南省、重慶市、瀋陽市、内蒙古にある。

最初の試験区は2016年3月、貴州省に開設された。現在もビッグデータ試験区を代表する存在である。アップル、マイクロソフト、インテル、アリババ、ファーウェイ、テンセント、百度など国内外のトップ企業が集まり、最貧省の1つだった貴州省の発展に貢献した。地元からもトラック配車アプリの貨車帮(現・満帮集団)、クラウドコンピューティングの白山雲、法律、規定等データ庫の易鯨捷などの企業が高成長を遂げた。

また行政のデジタル化も進んだ。「貴州政務服務網」の登録ユーザーは2370万人、人口の66%に達している。基本的に行政手続きのオンライン化実現したという。このように先端のIT産業が、貧困からの脱出をもたらした好例として、全国的に宣伝されることが多い。

その他の試験区も研究を進めている。例えば重慶は、2016年10月に試験区を設置した。60億元(900億円)を投資し、139万平米のオフィスを建設、680社のハイテク企業を導入した。ビッグデータによるイノベーションエコシステムを作るという。

しかし最近、メディアへ露出する機会は少なくなった。デジタル経済に貢献しているのは確かでも、具体的な目を見張る成果は、明示できないようだ。試験区という手法自体の限界が近いのかも知れない。ベンチャー企業が新しい可能性を発見してくれるのは、大歓迎だろう。


コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/