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中国の紅白歌合戦TVCMは15秒で3億円!

平成最後の第69回NHK紅白歌合戦は、米津玄師のテレビ初出演や、サザン、ユーミン、北島三郎による華やかなフィナーレなどで意外な(失礼!)盛り上がりを見せた。NHKならではの超ワイドなターゲティングが奏功して視聴率も2年ぶりに40%の大台超えとのことで、まことにおめでたい。

■中国は「春節聯歓晩会」

中国の大晦日にも、同じような国民的娯楽番組がある。ただし、旧暦の大晦日に放映される。2019年は2月4日(月)だ。チャンネルは国営のCCTVで、番組名は「春節聯歓晩会」(春晩)。1983年に始まり今年は36回目、歴史では日本の圧勝だ。

我が家でも毎年見ていた。歌だけでなく、寸劇やマジックなどもあり、内容盛りだくさん。ただし一番熱心に視聴するのは老人世代である。若い世代の取り込みではNHKの方が一枚上手だ。

視聴率はわかりにくい。CCTVの1チャンネルだけでなく、3チャンネル、4チャンネル、さらには湖南衛視、上海東方衛視など地方の有力テレビ局でも放映され、視聴率はそれらを集計したものになるからだ。2018年2月15日の春晩では、台湾の人気男性歌手ジェイ・チョウ(周傑倫)の「告白気球」という歌とマジックの演目のときが瞬間最高視聴率で、32.5%を記録した。視聴率は僅差でNHKの勝ち。

■CCTVの莫大なCM収入

公共放送NHKと国営放送CCTVの違いは広告の有無である。CCTVは思い切り広告を取る。それも入札方式でしっかり稼ぐ。

2018年のデータによると、「朝問天下」という朝のニュース番組(6:55~7:55)では、5秒5万600元(約81万円)、10秒7万5800元(約120万円)、15秒9万1500元(約145万円)でCM枠を販売している。夕方のニュース番組「新聞聯播」の広告時間(18:48~18:55)は5秒9万2000元(約146万円)、10秒13万8000元(約218万円)、15秒15万9000元(約252万円)。これらは入札によって毎年変動する。

入札結果は「央視広告招標資源第一批広告産品目録」という形で公示される。ゴールデン(黄金資源)とその他(常規資源)に分かれており、ゴールデンのトップは、CCTV-1チャンネルの「新聞聯播」だ。政策の成果を強調するだけで日本人の目には実に面白くないニュースだが、やはり午後7時の看板番組だけのことはある。

「春晩」のCMは、この公示には掲載されていない。別の資料に当たると、2016年には、動画視聴アプリの「楽視」が7199万元(約11億5500万円)で30秒広告を打ったと判明。2017年には最高額は下落し、スマホメーカー「シャオミ」が4457万元(7億1500万円)で落札していた。2018年は、8分間の最も良い時間帯を24社が28パターンのCMで分け合った。15秒で平均2000万元(約3.2億円)、8分合計では5~6億元(約79〜95億円)の売上を計上した。

■メディアミックスの時代へ

落ち着いたかのように見えていた「春晩」広告費だが、2019年2月4日放映予定分では、淘宝(アリババ)が3億元(約47億円)分を抑えたという。BATによる争奪戦が激化しているのだ。

しかし、いまや動画視聴アプリの時代。Tik Tokだけではなく、Bili Bili、快手、斗魚、小紅書など新しい切り口のアプリが続々と登場しており、若い世代はますますテレビから遠ざかっている。CCTVは上から目線で入札を眺めている場合ではないだろう。2019年の「春晩」が大きな節目となりそうだ。


コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/