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中国のトップKOL、李佳琦、薇婭は、株式市場の波乱要因?10日で300億元(4,540億円)の暴騰を演出

中国の直播電商(ライブコマース)の勢いはとどまるところを知らない。4月以降は、直播帯貨(有名人によるライブ)が全盛となった。それにつられたのか、従来からのトップ網虹(KOL、インフルエンサー)たちも大きく売上げを伸ばしている。彼らの活動は、株価か形成にも大きな影響を与えるようになった。最近の動向を見て行こう。

■ライブ全盛時代

1分で5万件の注文、1分で240万尾のエビを販売、5分で10万個の地球儀を販売、1時間で1億元を達成等、ライブコマースにからむ伝説は枚挙にいとまがない。熱気を帯びるばかりである。トップKOLの李佳琦、薇婭、劉涛(女優)、汪涵(MC)らに加え、羅永浩(教育家・企業家)董明珠(格力董事長)李斌(nio創業者)など有名人が続々参加し、百花繚乱の華やかさだ。李斌は40分で320台の電気自動車を販売した。

5月17日の零食(食品)節では、李佳琦の売上は3.5億元(53億円)、薇婭は3.9億元(59億円)だった。

中央電視台(CCTV)まで直播に乗り出した。5月10日、人気MC“四天王”を集めたliveを開催、3時間で5億元(76億円)を売り上げている。

■株価形成に大きな影響

ライブコマースは、上海、深圳の証券取引所のA株市場における株価の形成に、大きな影響を与え始めた。李佳琦、薇婭が登場すれば即株価高騰、という局面は明らかだ。2人はA株市場に“帯貨の風”を吹き込んだ。“一哥一姐”(一兄一姉)体制とも呼ばれている。

5月以来、A株上場企業の“網紅直播”銘柄は49に及んでいる。不完全な統計だが、李佳琦、薇婭が宣伝にからむ企業は21社である。業種は、食品、医薬品、美容・化粧品、商業貿易、宝石、軽工業、紡績服飾など多方面に及ぶ。そのうち18社が株価を上げた。さらに7社は20%以上の高騰だった。

トップ3は、(繊維)97.7%、御家匯(化粧品)71.5%、来伊份(食品)40.8%だった。梦浩股份は“一姐”の薇婭と提携すると6連騰、80%上昇した。

21銘柄全体の時価総額は、10日間で300億元(4,540億円)も上昇した。

■証券取引所が調査

梦浩股份の状況を詳しくみていこう。同社は、薇婭の所属する謙導文化伝媒公司と、計7回のライブを行った。2019年中に行われた3回の合計売上は、469万元(7100万円)だった。2020年は、最後の5月18日は未集計だが、それまでの3回で812万元(1億2300万円)を売り上げた。経費は213万元(3,220億円)かかったため、利益は599万元(9,050万円)だった。

1回当たり271万元(4,100万円)という数字は、直播女王・薇婭にすれば、むしろ不出来な数字である。梦浩股份にとっても、年間売上の0.31%に過ぎない。それにも関わらず、ここで資本の“魔手”が動く。株価を短期間で2倍に押し上げたのだ。

実は、薇婭と梦浩股份の関係は思いのほか深い。商品企画、品質管理にも参画する、C2M(Customer-to-Manufacturer)モデルである。

今回の高騰に関し、深圳証券取引所は、会社宛てにインサイダー取引の有無など、質問状を送付した。はっきりしたことは、人気の網紅が、株価形成にまで影響を及ぼすようになったことである。

■まとめ

投資会社幹部は、“網紅経済”による株価暴騰の原因として

1 李佳琦、薇婭らのプロKOLに加え、劉涛、汪涵、羅永浩、董明珠ら有名人が続々参入し、注目が集まったこと。

2 販売データが次々に新記録を更新、市場が活気付いたこと。

3 市場は常に“新しいテーマ”を求めている。それにうまくマッチしたこと。

以上の3つを上げ、網紅は誇大広告気味ではあるが、当面勢いは継続する、と見ている。ライブコマースへの注目は集まる一方だ。小さな動きまで、見逃さないようにしたい。

コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/