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なぜタスクの期限を定めてはいけないのか

会社員として働いていても、個人でビジネスに取り組んでいてもつきまとうのが「タスクの期限」です。

本来自分が望んで着手した仕事なのに、「宿題」とか「タスク」と名前を付けたとたん、「何か重たいもの」に変わってしまう事ってよくありますよね。なぜなら、基本的にその裏側には納期が必ずセットでつきまとうからです。

もちろん、任されたにしろ自ら手を挙げたにしろ、やると言った仕事に責任感を持って取り組むことは社会人として基本的に大切なことです。それは「約束」とも言い換えることができるものです。

ただ、納期を意識しすぎる仕事のやり方は、どんな場合も正しいと言えるのでしょうか。

納期を設けることの弊害

よく「仕事には期限を設けるように」と言われがちです。特に上司が部下の仕事を管理するうえで「いついつまでにこれをやってきてください」と指示することはある意味常識です。

一方で、指示と納期ばかりを意識しすぎた部下はどうなるのでしょうか。たしかに、期限に間に合わせてタスクをこなしてくるでしょう。ただ、そのクオリティは果たして担保されているのでしょうか。もしかすると、「とりあえず期限に間に合わせよう」という意識ばかりが先行し、やっつけ仕事の状態でカタチにしてくる、といった状況が生まれるかも知れません。

人は追い詰められることで力を発揮できるという側面もありますが、それが常態化してしまったとき、その部下の中長期的な働き方は受け身なものになってしまいかねません。

そんな状況を打破し、納期を強調することなく仕事を推進していくための方法を、上司はいくつか持ち合わせておく必要があります。

1)内発的動機づけ

これまでは、会社の経営理念をMVV(Mission、Vision、Value)というスタイルで表現することが多く見受けられました。

会社の使命(Mission)、理想的な状態(Vision)、価値基準(Value)の3つの切り口で、会社として目指すべき状態を社員に浸透させようという手法ですね。

これが昨今、「パーパス経営」というものにシフトしつつあります。MVVに対して、PDMつまり志(Purpose)、夢(Dream)、信念(Belief)の3つを掲げる企業が増えてきています。

ひとことで言うと、MVVは与えられた使命ですが、PDMは社員ひとりひとりの内側から湧き出る志を持つことをよしとします。

この考え方を、今回のテーマに当てはめてみます。

結論、リーダーならば、メンバーに今取り組もうとしていることの意義を腹落ちさせることができなければならないということです。それもただ「こうしなさい」というトップダウンの指示ではなく、「こういう意味がある取り組みだからこそやりきるのだ」とメンバーの納得感をもたせる仕方で対話しなければなりません。会社の目指す方向性を押し付けるというより、そこに共感してもらい、内発的にモチベーションを持ってもらうよう導くのがリーダーの役割といえるでしょう。

2)楽しみ、巻き込む

「巻き込む力」はとても重要です。

つまり、リーダー自らが、仕事を楽しみ熱くなること、そして周りにその思いを伝えたうえで一緒に楽しめること。これができているチームは簡単には崩れません。

この巻き込み型リーダーがトップダウン型(支配・強権型)と決定的に違うのは、メンバーにある程度の裁量を与えることです。組織の方向性からずれないようにしつつも、目標達成のプロセスに自由度をもたせるわけです。

要は、箸の上げ下ろしにまで細かく口を出しちゃいけないってことですね。ある程度の年齢に達した子どもを育てていてもそうじゃないですか。あまり細かいことを言われたら、大人だって簡単にへそを曲げます。

ですから、「〇日までに●●の資料を用意してくるように」というより「どのくらいまでできそう?」という風に、作業者に答えをゆだねることが望ましいでしょう。あまりにもズレた回答であればもちろん修正は必要ですが、たいていの場合は自ら決めてもらったほうが間違いなく良いです。

むしろ、そんな聞き方をしなくてもメンバーの方から「じゃあ〇日までにこれを用意してきますね」と自発的に言ってもらえるような盛り上げ方が出来たら最高ですよね。

3)究極の武器は衝動

最後にひとつ。メンバーが「これをやりたい」と言ってきたことは、基本的に大歓迎したほうがよいです。

この「衝動の力」は、納期うんぬんの次元を超えた力を発揮し、仕事のクオリティを加速させてくれます。夢が叶うまでやるか、飽きるまでやるか、新しい道が見つかるか…結果はどうあれ、やらされ仕事の何倍も得るものがあります。

「衝動に任せて取り組んでいたらいつの間にか終わっていた…」という状態って、一番理想的なんじゃないでしょうか。

※とはいえ、最低限決まったやるべきルーティーンワークを後回しにして他のメンバーに迷惑をかけることだけはないように注視はしておきましょう。

部下のパフォーマンスを最大化するために、納期先行型のマネジメントで組織を小さくまとめるよりも、自発的にチャレンジする空気をうまく作り出して統率していくマネジメントを目指していきたいものです。

まずはリーダー自らが、タスクに向かう時に「納期が…」と憂鬱になるのをやめて、そもそもの意義を見つめながら前向きに取り組み、チームの先陣を切る存在であるべきでしょう。

さて、今週も頑張りましょうか。

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