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中間振り返り2<花束とガラケーと>

任期4年の折り返し地点での振返り第2弾です
最初の1年は、守備範囲と区役所を知る日々でした

2022年6月1日(初日)

昔の国内大企業のように、役所は基本、純血主義(新卒で入庁し、定年退職までほとんどが辞めない)ですので、転職にあたっては、相当なアウェー感を覚悟していたのですが、初日に、秘書さん(副区長3名に2名が担当)が花束でお出迎えいただき、ほっこり

肩書と守備範囲

ご用意いただいた名刺をみると、その肩書が豪華すぎて、目がクラクラ

副区長
最高情報統括責任者(CIO)最高情報セキュリティ責任者(CISO)、最高デジタル責任者(CDO)

自然と上がるテンションをぐっと押さえて、
それぞれの役割を整理していくと、いろいろと現状が見えてきました

一口で世田谷区といっても、
区役所、教育委員会事務局、区立保育園、区立幼稚園、区立小中学校、外郭団体、委託事業、議会 がありますが、
私のCIO/CISOの守備範囲は、ざっくり「区役所、教育委員会事務局、区立保育園」です
だからと言って、他は知りませんとは言えないので、副区長の一人として積極的に関わり続けております

次に3つの肩書を順に見ていくと、
<CIO>
世田谷区電子計算組織の運営に関する規則にて以下に定義されております
「情報化推進計画に基づく区の情報化に係る施策を総合的に管理し、電子計算組織の適正な管理及び効率的な運営について、これらを統括する者」

政府CIOポータルで3種類のCIOを定義していますが、世田谷区のCIOは、ITガバナンスの確立を目指す立ち位置(Chief Information(System) Officer)です

尚、個人情報を含め庁内の情報管理は、総務部が担っており、松村のラインではなく、また、全庁レベルでの情報活用による行政サービスの向上を図る役割を担う明確な部署がないことがわかってきました

<CISO>
世田谷区電子計算組織の運営に関する規則にて定義されております
CISOは「電子計算組織に関する情報セキュリティの確保を統括する者として、最高情報セキュリティ責任者を置く」
CSIRTという仕組みが世田谷区でも稼働しており、その責任者です

<CDO>
庁内の規則等に記載がないので、役割が明確にあるわけでなく、DX担当の副区長という意味かと(まあ、DXを進めるためにきているので、本人は仕事するにあたり困ってはいませんが)

ガラケーきたる

非常時用に、と渡されたのが、まさかのガラケー!
訊いてみたら、災害等の非常時には電話で連絡がくるとのこと
DXの責任者がガラケーを持つことに、相当な葛藤がありましたが、やむをえません

流石に、電話でいちいち連絡するのは、即時性にも欠けるし、伝言ゲームでは正確性も担保されないだろう、とご担当部署にお願いし、しばらくしたら、スマホ&スマホアプリでの一斉連絡となりました
台風など気象情報や、区内の重要事故・事件など、それなりに連絡がくるので、スマホアプリにしてよかった

思えば、銀行からサイボウズに転職した2007年時点でガラケー使ってました。確か1,2年ぐらいしたところで、見かねた青野社長よりスマホにするように勧められ、スマホに切り替えました

ただ、電話偏重文化には、いまだにてこずっています
本庁舎整備が進んでいるので、まずは固定電話に縛られないようにすることからかな

7月にはホワイトボードが副区長室に到着
いまだに庁内でホワイトボードをほとんど見かけないのですが、皆さん、どうされているんでしょう

区役所を知る

世田谷区の職員約1万人は、区内の約260か所の場所に分散して働いています
恐らく任期4年でお顔を見れない職員の方が多いでしょう
また、仕事の内容も、会社のように、企画管理―製造―マーケティングー販売と連携しているわけでなく、
5領域(企画総務、区民生活、保健福祉、都市整備、文教)に大きく分類され、更に、37の部/室/局に分かれております 

一応、それぞれの領域や部には担当副区長がいる形ですが、区役所の会議は合議制ですので、自分の担当以外は知りませんというわけにもいかず、また、そもそもDXの対象は全庁ということもあり、
最初の2か月かけて、「部長のお部屋訪問」と題し、部長級の50名の方々と個別に面談させていただきました
全員、初めてお会いする方ばかり、緊張しまくりでした(相手の方もどんなやつなんだ、という感じでした)

このころ「松村がこんな事を話した」みたいなことが語られていると耳に入ります
私の一挙手一投足は、興味を引いたことでしょう
今はあまり気にならなくなりましたが、当時は、ここでビクついたらダメだ、と思って積極的に話すようにしていました

部長のお部屋訪問は、その後、毎春に新たな部長級になった方とは、お時間をいただき対話させていただいております

ちなみに、松村の所管する部は、1年目はDX推進担当部のみ、翌4月より、地域行政部も加わりました

また、「お昼ザツダン」を2022年6月から開始しました
職員ならだれでもよいので、一緒にお昼を食べましょう、話題も自由、というもので、コロナ禍の時は、間仕切りを置きながら、途中、お夕ザツダン(業務時間後にお話)も加わり、これまで71組の方々と対話させていただきました

松村としては、職員を知る、職場を知る、こんなことに困っている、を知る、大変貴重な機会ですので、今も継続しています

始めるにあたり、苦労したのは、お昼ザツダンの時間は労働時間なのか休憩時間なのか?という整理です
結局は、参加される方は、休憩時間ということで進めました

また、3人いる副区長が集まってザツダンする場も始めました
今でも不定期に開催しています

DXへの期待

いろんな方と話してると、DXという言葉が独り歩きしてしまっていて、皆さん思い思いのDXがあるんだと感じましたし、いつのまにか“変革できる”便利な魔法と捉えられている人も多いと感じました
そこで、2022年7月、8月で、全区議会議員さんと世田谷区が目指すDXに関する意見交換会を何回かに分けて開催させていただきました
そこで強調したのは
・DXとは区のミッションの効率達成の為、業務プロセス、ツール、体制を見直し続けること
・区役所のミッションは、区民(含、在勤在学者)の幸せを極大化すること
 *区の基本構想や基本計画を見ても、これだ、という分かりやすい記述がなかったため、松村が作りました
・チームワークあふれる世田谷区を目指したい
でした

*その後、区役所のミッションは、2024年4月スタートの世田谷区基本計画にて、
区政が目指すべき方向性として
「持続可能な未来を確保し、あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷をともにつくる」
と、素晴らしい言葉を定めていただいたので、今はもっぱらこちらを使っています

また、2022年8月、区職員向けにDXの勉強会を開催、それを動画にとっていただき、全職員が見れるところにおいてもらいました
そこでは、区議さんとの意見交換会の資料に加え、DXに関する3つの誤解を説明し、
・夢のようなITツールが導入され、楽になる
・DXで仕事がなくなり、職場が冷たくなる
・DXはDX推進担当部がやってくれる
二つのお願いをしました
・非効率な、目的がない仕事を減らし、ペーパーレス、FAXレス、ハンコレスに挑戦すること
・安全安心な職場を作って対話を増やすこと

2022年12月からは、全庁向け掲示板に、原則週次で「松副のDXだより」と題したコラムをスタート
内容はDXに関し、組織風土や、マーケティング、ICTツールの話など多岐に亘り、現在#75号まで出しております
区職員からちょこちょこフィードバックが来るのがモチベーションとなり、継続しています

1年目を振り返ると
・現状把握と対話による世田谷区のDXに対する共通理解づくりに一生懸命取り組んだ
・縦割り組織の大きさと、役所の強固な文化に対し、どうDXを芽吹かせるかを模索したが、なかなか道が見つからなかった
という感じでしょうか
当たり前ですが、DXは、ツール導入だけでなく文化を変えることなので、そんなに簡単にはいかないですね

~長くなったけど、おまけ

先日、東京オープンデータディ2024が開催されました
インターナショナルオープンデータデイに呼応する形で、10年前に、当時の都と23区の情報システム担当者、そしてオープンデータを研究されている学者さんらが立ち上げたオープンデータの認識と使用を促進するイベント(アイデアソン/ハッカソンなど)だそうです

今年は、7チームがアイデアソンに挑戦することになり、その1チームを担当させていただきました
我がチームは「シン・コミュニティ」と称しコミュニティの活性化アイデアをプレゼンし、幸運にも越塚研賞を、東大の越塚登教授からいただきました
武蔵大学庄司研究室の学生さんや、駒沢大学の先生、ベンチャー企業の経営者など、チームメンバーに感謝です

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