見出し画像

技術士(論文試験)合格を最短ルートで

本記事を執筆しているのは、GW中である。論文試験まで、残すところ二ヶ月を切っている。一般的には二次試験合格には500〜1000時間の学習時間が必要とも言われているが、焦る必要はない。遠回りすることなく、最短距離での学習に集中すれば、十分間に合うだろう。

最小の努力で最大の結果を得るには、出題者の意図に的を絞ることが極めて重要である。以下に、私が実践した学習方法を紹介する。

学習の3本柱

以下の3つが学習の柱である。

  • 知識のインプット

  • 論文構成力の強化

  • 出題範囲の分析

このうち、知識のインプットに対する割合は1、論文構成力の強化は2、出題把握の分析は1で注力した。通説では、知識のインプットに重きを置く。それが膨大な学習時間を必要とする所以である。

しかしながら、この論文試験を分析する限り、知識に偏重した学習方法が効果的であるとは判断できなかった。なぜなら、近年の論文試験は必ずしも、知識の深さや有無を問う試験ではないからである。
代わりに、クライアント(試験官)に対して「適切な説明力(論理性)」を問うている試験である。そのため、私は論文構成力の強化こそが必要不可欠だと考えた。

知識のインプット

では、三本柱それぞれをどのように学習していったのか。まず、知識のインプットから説明を行う。

<教材>
ものづくり白書、専門図書(便覧や技術書)、日経ものづくり、月刊誌(私の場合、日刊工業新聞社の工場管理)、など。
専門家レベルではなく、概要が理解できる程度で良い。

<学習方法>
キーワード(重要な課題や技術)をピックアップし、"問題→課題→解決策→メリット/デメリット/副作用"をまとめる。

<留意点>
学習において、深い知識よりも広く浅い知識を身につけることが重要である。例えば、2分野の図書をそれぞれ3冊読むよりは、3分野の図書を2冊ずつ読むべきである。
また肝心なのは、"問題→課題→解決策ーメリット/デメリット/副作用"、といった要素が互いにどのように関連しているかを理解することである。私は、これらの要素同士を結びつけたマインドマップを作成し、それらの関係性を視覚的にも理解できるようにした(下図参照)。
間違っても、400字でまとめたキーワードノートを作ったり、丸暗記をすることは避けるべきである。

問題と課題の整理(2019年度ものづくり白書より)


問題→課題→解決策のまとめの一例

ところで深堀りを不要としたのは、私なりの根拠があるのだ。技術士に求められる能力は、単なる知識の習得ではなく、論理的な説明力であると、私は考えている。最新の技術も、次々に進歩し陳腐化する中、知識量よりも、幅広い知識を持ち、論理的思考でクライアントに説明することが重要だ。

これは思いつきではない。もなく、論文試験の設問を観察する限り、技術士に求められるのは、深い知識の理解よりも、問題と課題を明確にし、解決策を論理的に提示できる能力であるということが分かる。

日本技術士会は技術士に求める能力の軸足を変えたのだ。代わりに最新知識の吸収にはCPDを課し、鮮度維持を促している。

論文構成力の強化

<教材>
・筆記試験問題・合格答案実例集(APEC-semi & SUKIYAKI 塾)
・書籍:考える技術・書く技術(山崎康司著 ダイヤモンド社)
 ※この書籍は論文試験には役立たなかったが、極めて良書である。

<学習方法>
設問のパターンの分類、及び、それに対応する回答パターン(フレーム)を作成し、身につける。
また合格論文を参考にし、文量と記載の深度を把握する。

<留意点>
回答パターンを習得する理由は、試験本番での混乱を防ぐためである。論理的な文章構成が最も重要な本試験において、それを短時間で考え、組み立てることは非常に困難であり、致命的なミスを犯す可能性がある。
回答パターンは試験前に練ることができるため、準備しておくべきである。更に、回答パターンには、項目立てだけではなく、文量についても考慮しておくことを勧める。
ところで話題が脱線するが、合格論文はぜひ目を通してほしい。「この程度の内容でA判定か!」と驚くものが多くある。私は偉そうに行っているが、私の論文も、「この程度」に属するレベルであることは言うまでもない。

出題範囲の分析

<教材>
過去問(過去5年程度)

<学習方法>
出題分野の分析。なお出題分野については、大中小項目に粒度を分けること。また問題Ⅱ−1、2、問題Ⅲのどこから出題されたのかも把握すること。(下図参照)

項目分類と出題傾向の分析

<留意点>
これは出題予想を目的としたものではない。論文試験において、合格を目指すためには、どの分野のインプットを捨てるかを選ぶことが重要である。

本論文試験では、各設問において選択方式が取られているため、したがって全く分からない問題ばかりでも、一問でも通じている分野があれば、合格論文を書くことができるのである。
つまり、選択問題で選ばなかった問題についての知識は不要であり、あくまで選択する1問について合格論文を書くだけの知識があれば良い。

これはリスキーな手法であるが、学習する分野の優先順位を決めることで、限られた時間で効果的に学習できる。もし時間が許せば、習得分野を広げれば良いだけである。

最後に

私の合格はまぐれかも知れないが、100時間程度の学習時間で論文試験を一発合格し、すべてがA評価であった。私が取った学習方法がどの程度効果的であるかは別として、最短ルートで合格するためのヒントになることを願っている。

技術士資格は一般的には認知度が低く、また業務独占資格でもない。この資格を目指す人々は、必要にかられてではなく、実力を試したいとか、技術者の最高峰資格取得を望むといった、純粋な意欲に基づいていると言える。
今回、こうして本記事をお読みいただいている方々も同様の気持ちで、この試験に挑戦されていることであろう。

技術士試験は、7月の折角の3連休に行う試験である。5時間30分というマラソンのような試験である。満足できる結果を残せることを祈っている。そして合格したら、家族に対する感謝の気持ちを忘れずに表現していただきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?