不動産業界におけるAI活用事例5選
1.ビッグデータとAI査定
不動産といえば、膨大なビッグデータが蓄積されているのが特徴です。物件の価格、取引履歴、周辺環境の状況など、様々な情報があります。そういった多様なデータを活用し、マンションの価格査定や賃料査定といった業務を行います。AIを活用することで、より精度の高い分析ができ、膨大なデータをもとにスピーディーに価格査定ができることで、業務効率化にもつながります。また、市場分析にかかる時間を短縮できるため、投資活動の流動化も期待でき、不動産業界の発展につながる重要なテクノロジーです。
AIによるイノベーションは、新たなビジネスモデルを生み出そうとしています。例えば、アメリカでは不動産テックのユニコーン企業が誕生しているが、AIを活用している企業があります。Opendoorは、アルゴリズムを活用して不動産の価格を査定し、直接買い取るというモデルで急成長しました。仲介エージェントの選定、査定、内見、交渉、購入という平均3ヶ月程度かかるプロセスを、AIを活用して一気に短縮した。iBuyerというこれまでにない新しいビジネスモデルです。Zillow Group、Opendoor、Redfin、Compass。この4社は、「GAFA」になぞらえて「ZORC」とも呼ばれています。AIやITを持ち込みイノベーションを起こそうという動きが不動産テックとして注目されています。
2.文章の自動生成
不動産業界というと、巨大な広告マーケットが存在します。例えば、仲介会社が、不動産取引を生み出すのに空き物件状況を広告として掲載し、買い手や借り手を集客するというモデルが一般的になっています。多くの会社が広告に費用を投じています。広告効果を最大化するためには、情報の質や鮮度、独自性や魅力的な画像やユーザーに刺さるセールス文が欠かせません。一般的には、人の手作業によって、広告のセールス文は作成されますが、物件の設備条件や特徴をもとに、自動でセールス文やコメントを生成する広告出稿システムも多く利用されています。ここでは、過度な広告表現や禁止ワードを生成しないように業界独自の観点も必要になってきます。最近の事例では、文章生成だけでなく、広告出稿の一連の業務をRPAと組み合わせて自動化する事例も出てきています。
ところで、不動産業務では、煩雑なやり取りが多く発生するのも特徴です。例えば、入居者対応、内見対応、申込対応、物件提案など、やり取りが発生します。LINEといったチャットサービスでのやりとりも増えてきています。定型的なやり取りの内容であれば、自動化することができ、AIチャットにとって替えられるやり取り業務が増えてきました。今後、ますます、やり取りが自動化されていくことが期待される分野です。
3.画像判定
画像カテゴリの判定は、最も実用的に使われているAIの事例の一つです。「外観」「リビング」「バス」「トイレ」など、これまで、手作業で画像の分類分けを行い、広告出稿行うケースが一般的でした。カテゴリを1枚ずつ手作業で設定する必要があり、多大な手間がかかります。深層学習(ディープラーニング)を活用して、物件画像のカテゴリ分けを自動化することで、業務効率化に貢献しています。この機能によって物件の画像入力業務が約90%短縮されます。
事例としては、まだ見ないですが、AI画像補正の技術によって、写真の高画質化なども期待ができます。実用化が待ち遠しいです。
4.AIOCR
「AI OCR」は、OCRとAI技術をかけあわせたものです。AI技術を組み合わせることで、機械学習による文字認識率の向上や、帳票フォーマットの設計をせずに、項目を抽出することが可能になりました。手書きの入居申し込み書をAIOCRで読み取り、基幹システムへRPAで入力を行う会社の事例が増えてきました。以前に増して、AIOCRの精度は高くなっており、不動産会社の業務では、紙を受け取り基幹システムへ入力するシーンは依然として存在します。紙でのやりとりが多い業界だからこそAIOCRの活用がますます増えていくことが見込まれます。
5.AIマッチング
物件の入居希望者の希望条件にあった物件情報の検索とマッチングには、膨大な時間と労力を必要とします。営業担当者が行う物件選定と同品質のマッチングをできると大きなイノベーションになりそうです。
また、物件情報のマッチングだけでなく、提案業務までシステムで自動化することで、AIによる物件提案を受けることができます。今後、クローズな不動産情報がオープンになっていき、ユーザーの希望条件に合った物件情報がリアルタイムに配信されるようなシステムが広がっていくことが期待できます。まだまだ、アナログだと言われる不動産業界にイノベーションが起きる日もそう遠くありません。
まとめ
AIによって、不動産テックはさらに加速し、業界が発展していくことは間違いありません。これまで煩雑な業務で手間や労力がかかっていた作業がAIによって、圧倒的な業務効率化ができ、ユーザーの安心した住まい探しにつながることを願っています。世界に遅れず、日本からイノベーションを起こしていきましょう。
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