見出し画像

日本語指導ボランティアの研究1「eye love youから学ぶ二語の差」

今、話題のドラマ「eye love you」を見ていると、
ユン・テオが日本語台詞で頻繁に「もし」と言っています。
韓国語で直訳すると「혹시(ホクシ)」なのですが、
日本語の意味としては、
「もし」
「もしかして」
の両方の意味で使える単語だそうです。

この日本語二語の違いをどう説明すればよいでしょうか?

先日の日本語指導ボランティアでも似たようなことがありました。
ある学習者さんに「そもそも」と「もともと」の違いがわからないと
言われたのです。

「そもそも」は前提条件
「もともと」は元来の状態

言うならこんな感じでしょうか。

広辞苑で調べると、
「そもそも」=物事を説き起こす時などの文頭に用いる。元来。
「もともと」=得も損もない。もとから、もとより。元来。

と出ました。
ふむ。今欲しい答えではないようですね。

私はよく例文を頭の中で組み立てて、
どこに違和感を感じるかを検証します。
似た単語が存在するには、意味があると思うのです。

①そもそも君の言うことには違和感がある。
②もともと君の言うことには違和感がある。

③そもそも私は日本人だから、英語は苦手だ。
④もともと私は日本人だから、英語は苦手だ。

⑤そもそもこんなはずじゃなかった。
⑥もともとこんなはずじゃなかった。

文頭だけ入れ替える

「そもそも」は直近の話題の前提条件を示し、
「もともと」はもっと前の段階からそうであった、
原始的な前提条件を示しているのが浮かび上がってきませんか?
さらに言うと、談話ベースの時間軸であって、
実際の24時間軸と相対する訳ではありません。

では冒頭の「もし」「もしかして」もやってみたいと思います。
ついでに、似た単語の「もしも」も含めて検証します。

a.もし私が若ければ、留学していただろう。
b.もしかして私が若ければ、留学していただろう。
c.もしも私が若ければ、留学していただろう。

d.もしあなたは有名人ですか?
e.もしかしてあなたは有名人ですか?
f.もしもあなたは有名人ですか?

結構違いが見えてくるもんです

これより、下記のように説明できるますね。

「もし」=Aと仮定した場合Bかと問う。
「もしかして」=仮定を確信的に問う。
「もしも」=「もし」とほぼ同等。「もし」よりかしこまった表現。

b、d、fは完全に違和感があるので、日本語文法的に間違いと言えます。
韓国語では全て「혹시(ホクシ)」で解決できるかもしれません。
(ここは専門外なので、正しいかどうかは不明ですが…)

また韓国語での「혹시(ホクシ)」は、何かを訪ねるときの
ワンクッション的な役割も果たすそうです。
たとえば、店員さんに「空いてる座席はありますか?」と
尋ねる時などがそれに該当するのかなと思います。
これでユン・テオが頻繁に「もし」と言うことに納得がいきました。

ただミーハー気分で視聴していたドラマにも学びのネタが転がっていて
思わず検証してしまいました。ここまでくるとオタクですね。
今日の放映も、とても楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?