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昔ながらの暮らしに学ぶ

 我が家では、調理の際に出る野菜の皮やりんごや桃などの果物の皮は極力コンポストへ入れて再利用するようにしている。
 なぜそのようにしているのかという理由はわからない。
 ただ、幼少期から当たり前のように野菜くずが出たら、コンポストへ放り込む行動をしている。
 ここに入れたものは時間をかけて発酵していく。微生物やミミズ、小蝿がそれを後押ししてくれる。そうして出来上がるものが腐葉土だ。
 腐りかけているものの上に、新しい野菜くずを入れる。コンポストのフタを開けると小蝿がたかっている。開けた瞬間のもわっとした温かい空気や虫による黒点の気持ち悪さに、はじめは嫌な気分になる。しかし、段々と慣れて来る。
 その経験が、生命の営みの中で育まれる食物連鎖のひとつを感じ取り、受け入れられるようになるきっかけを与えてくれる。
 腐葉土は作物を育てる際に、栄養分のある土として利用される。作物が育ち、実がなる。その実は収穫され、食卓へ並ぶ。
 臭いを気にしなければ、残飯や魚介類の殻・骨、肉類から出る生ゴミも入れられるのであるが、我が家の場合は、食卓へ並ぶまでに廃棄されるものはほんの一部である。そのため、野菜くずしか、循環システムの中に組み込まれることはない。そうであったとしても、ほんの少しの行動が地球を守り、自然を感じ、環境保護につながっている。自然科学的な言葉にすれば、循環と還元というシステムの中で、人々は暮らしているのだ。
 そこで、私は先人達の知恵と技術の凄みを思い知らされる。彼らは当たり前のように、自然の力を信じ、利用してきた。いただいた恵みを享受し、いらなくなったものは土へ還す。そうして、人々の暮らしを守り、未来へとつないできたのだ。
 2020年代の今日コンニチ、SDGsという言葉で改めて、環境について見直されようとしている。それはつまり、産業革命以後、物質的に豊かになり、おろそかにされてきたものを見直す時期に差し掛かってきたことを意味するのではないかと感じる。
 そして、私たちが未来のためにできることは、日頃の行いをカエリみ、身近なところから地球環境を守るアクションを起こしていくことだと考える。

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