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社会人サッカークラブの監督に就任してやったこと

この度、J7相当にあたる社会人サッカーチームの監督を務めることになった。自分自身のための記録として、また多くのサッカー指導者の方や監督を目指している方の参考になればと思い書き残すことにします。

自己紹介

1993年生まれの29歳。現在は会社員/高校サッカー部ヘッドコーチ/ZION FOOTBALL CLUBの監督/の3つの顔を持っている。

サッカー歴としては立教大学卒業後、関東社会人リーグ2部と東京都1部リーグでプレー。指導者としては2018年ごろから高校の外部コーチとしてキャリアをスタートさせた。

監督就任の背景

昨年度、高校サッカーの指導者をしていた経験から選手という立場ながらも練習メニューや戦術の部分について少し意見を言わせてもらい、その貢献が認められての監督というオファーだった。

去年までは選手としてほとんどの試合に出ていたしまだやりたい気持ちもあったが、オファーを受けることにした。理由は単純に、選手で1年間プレーするよりも監督という立場で挑戦する方が難しそうだなと感じたから。

就任1ヶ月目でやったこと

監督に就任してから最初に行ったのはチームとしての目標、またその目標達成に向かってどのように向かうのかイメージを合わせること。

まずはチームと個人の「視点」(何を見るか)を合わせて、そこから各選手たちの「視座」(どこから見るか)を少しずつ上げて揃えていこうと考えた。

チーム目標の共有

チーム目標の共有にあたって意識したことはその背景にある目的と目標の解像度を上げること。

目標は、目的を達成するために設定するものであると考えている。

個人的には社会人サッカーというカテゴリではチームの目的として「選手やファン、スポンサーなどクラブに関わる人たちが、サッカーを楽しみ私生活に熱狂と興奮を与えること」が目的だと思っている。

その目的を達成するために【関東リーグ昇格】という目標を設定した。ただ目標を設定するのではなく、目的を設定することで目標達成の手段が変わってくる。どのように関東リーグ昇格を目指すかを考える上で重要な要素である。

また、目標の解像度を上げて少しでもイメージを持ってもらえるように、必要な結果を今年度とレギュレーションが近い年の昇格圏内の勝ち点や得点数、失点数などを共有した。

コンセプトやプレーモデルの提示

全体に向けて提示したのは下記の4つ。

  • シーズンを通したチームとしての戦略

  • 共通言語の設定

  • コンセプトの共有

  • 4局面の原則

チーム活動規則の策定

チームとしての活動に関する規則を定めた。
練習への出欠入力や遅刻時の罰則、その他もろもろの社会人として当たり前のルール。当たり前のことでも言語化して残しておくことは大切だと思っている。

プレシーズンのスケジュール

シーズン開幕までのTR回数やTRMの試合数や対戦相手を考慮した上で、いつ、何を、どのように行うかを設計した。

ここに関しては試合でどんな課題が出るかはわからないので柔軟に変更する予定。

TR設計の考え方の整理

チームのTRの回数は平日2回(火曜、水曜)の1時間半のTRと日曜のTRMや公式戦。

この限られた時間の中でチームを作っていく中で、TRの基盤とした考え方はこの二つ。

エコロジカルアプローチ

エコロジカルアプローチとは非線形学習方運動理論の一つで、端的にいうと、問題解決のソリューションの詳細まではこちらで規定せず、TRのルールや環境、各選手に与えるタスクなどの「制約」を規定することで、選手自らの解決の探索を促していくアプローチである。

そのためメリットとしては、TR中にフリーズして何かをコーチングしなければいけないことが少ないのでプレー時間を確保しやすいこと(もちろんTRの開始前に重要な要素やテーマは伝える)。もちろんタスクの難易度や複雑さのコントロールはかなり重要で難しいという側面もあるし、コーチングも制約の要素の一つなのでかなり気を使う。

また、プレーモデルもひとつの「制約」として考えている。TRMで様々な制約の中で選手に現れてくる変化を見ながら、チームにあったプレーモデルを設定していきたい。

詳しく話すと長くなるのでまた別で記事をまとめようと思う。

戦術的ピリオダイゼーション

戦術的ピリオダイゼーションとは、以下二つを軸とした考え方である。

  • フィジカルコンディショニングのためのピリオダイゼーション

  • プレー原則やゲームモデルなどの戦術的要素

詳しい詳細は割愛するが、プレーモデルに沿った練習の中で、筋肉にかける負荷を「ストレングス」「持久力」「パワー」のどれにフォーカスしているかを意識している。

現在は火曜日に「ストレングス」「パワー」、水曜日に「持久力」をテーマにトレーニングしている。

最後に

シーズンを通して大切にしたいのは「いつ」「なにを」「どのように」伝えるかということ。

選手が求めていないことをこちらが提示しても意味がない。

シーズンを戦っていく中でチームや各選手が求めている時に、求められているものを、適切な方法で伝えられる人間になりたい。

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