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問題と課題の違い

試合や練習で、選手に対して問題提起をしているだけの人が多すぎるのではないか?と最近思う。

例えば、「セカンドボールが拾えていない!」や「パスを繋げ!」などの指示がそれに当たる。

選手をやっていた自分からすれば、当然セカンドボールは拾おうとしているし、パスだって繋ぎたい。でもそれができない。それに対してそんなことを言われたって「そんなことはわかってる」という話で終わってしまうし、そもそもそんな指示に耳を傾けている時間が無駄だとすら感じてしまう。

このような指示が起きてしまう根本の原因は指導者が「問題と課題」の違いを明確にできていないからではないか?とふとおもったので書いてみる。

問題と課題の違い

問題とは表面化している「理想の状態と現状の差分」であり、課題とは「問題を解決するためにしなければいけないこと」である。

例えば、「セカンドボールが拾えていない」は問題である。この問題レベルで解決しようとしても何をしていいかわからずなかなか難しい。大事なのはその問題を分解して行って、課題を特定することだ。

この場合、課題は「ロングキックが蹴られた際のアップダウンの遅さ」、「最終ラインのラインアップ」「SHの絞り」などが課題としてあげられそうで、その中から一番問題の解決に影響がありそうな課題を特定する。

もし仮にセカンドボールを拾えていないのが、「ロングキックが蹴られた際のアップダウンの遅さ」であると課題特定した場合は、「自分達がロングパスを蹴った時や、相手がロングパスを使った場合は、キックモーションに入った時には準備をしてプレスバックやラインアップを早くしよう」といった声かけを行うことができ、問題をただそのまま伝えるより、アクションプランが明確で行動に起こしやすい。

このように、問題をそのままぶつけられるのか、課題を特定した上でアクションプランを明示されるかでは、その後の結果にどのような影響が出るのかいうまでもないだろう。

課題の見つけ方

課題を見つけるために有効な考え方は「分ける」ことだ。
問題の構成要素を分けて、その中の課題を5W1Hで分ける形が今自分の中ではしっくりきている。

例えば、チームが「中盤での守備がうまくいかない」という問題が生じていたとしよう。
その場合、中盤の守備に必要な要素を洗い出し、その要素のなかで一番問題を解決するためにしなければならないこと、つまり課題を特定してアクションプランを導き出す。

  • 中盤の守備の構成要素

    • 「コンパクトな陣形」「スライド」「プレスバック」「ラインコントロール」などなど、、、

  • 課題:スライドが遅く、そのせいでボールサイドにフリーができている

    • どこで:ミドルサードで

    • いつ:相手のSBにボールが入った時に

    • だれが:ボールサイドではないSH、SB、VOが連動してスライドできていない

    • なぜ起きている?

      • ①逆サイドのマークへの意識がまだあり、捨てきれていない

      • ②ファーストの制限が甘く寄り切れない

    • どうやって解決する?

      • ①ファーストディフェンダーの決定、予測、準備を徹底して距離をつめる

      • ②ボールと逆サイドの相手SBや相手SHは捨てる共通認識を徹底させる

このように問題を分解していき、いまどこができていないことが問題につながっているか、そして一番影響が大きい課題を提示してあげることが重要である。このように指導者が試合中や練習の設計において、問題を分析して課題の特定とアクションを明確にすることで選手の動きは変わり問題は解決されると思う。

まとめ

試合中の指示はどこまで伝えるかは難しいが、時間がない中ではこのように課題を特定してアクションまで明確にして選手に伝えてあげて欲しい。なぜなら選手は「問題」自体は身をもって実感していて指導者から言われなくてもわかっている。だからどうするの?って部分を伝えよう。
まあ練習試合なんかではハーフタイムでヒントを与えながら選手に考えさせるのも良いと思う。

参考書籍


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