同窓会@ひろしまへ行こう【2日目】

2日目、今日がやっと同窓会の日である。しかし、同窓会の集合時間は昼で、午前は開いている。私は東横インの朝食を食べ、部屋に戻ってトレインビューの部屋からぼーっと広電を眺めながらコーヒーを飲み、その合間にコインランドリーで洗濯をした。

東横インから広電を望む

東横インの朝食には当たり外れがあり、店舗によってはおかずが3品しかなく、避難所の炊き出しのような状態になっている場合も散見される。
ただ、今回泊まった店舗は6品くらい出ており、ちょうどいい塩梅であった。シティホテルにありがちな種々の朝食バイキングもいいものだが、あれこれ食べて宿を出ると昼食が入らなくなることが多々あるので、これくらいがいい。

広電のウォッチングもそこそこに、9時頃に宿を辞す。広島駅から山陽線にのり、瀬野へ向かう。ここは谷あいのニュータウンの麓の町で、鉄道趣味の人たちの間ではここから隣の八本松駅までの通称『セノハチ』と呼ばれる山越えを控えた場所であることで知られている。
私は『セノハチ』を見に来たのではなく、この街にある『スカイレール』という珍妙な乗り物を見に来た。これについては別途記事を起こすから、そちらをご覧いただきたい。


スカイレール

スカイレールの見学を1時間ほどで終え、そこからまた列車で広島駅へと戻る。車内は立客も相当出る程度に混雑していて、広島におけるJRの利用が意外と盛んであることを知らされた。

デラックス地方百貨店『福屋』

広島駅についてからも時間が余っていたので、路面電車に乗って八丁堀へまた移動、私のライフワークの一環である全国百貨店めぐりの一環として、『福屋』八丁堀本店を見学することとした。

店舗はさしたる広さこそ無いが、一通り百貨店に望まれるような売り場は完備されていて、なおかつ変にテナントだよりな雰囲気もなく、正統派百貨店といった佇まいであった。いろいろな百貨店に行ってきたつもりだが、流石に100万都市以上の百貨店はそれ相応の風格を兼ね揃えている印象がある。ここで全国共通百貨店商品券を包んでもらい、コレクションがまた一つ増えた。地下に降りるとお好み焼きの「みっちゃん」が入店しており、これは広島らしいな、と思う光景の一つであった。


むすびのむさしでの昼食

その後は百貨店の裏にある『むすびのむさし』で早めの昼食とする。ここでは元気うどんというあんかけうどんのようなものと、おむすびを頂く。
ここのおむすびは塩の加減と結び具合がちょうどよく、唯一無二のものといっていいくらいうまい。広島グルメの代表格と個人的には思っているくらいだ。店舗で頂くのは初めての機会だったが、温かいおむすびに温かいおうどんと、ほっと心が解けるような時間を過ごすことが出来た。また元気うどんはにんにくの入ったパンチの聞いた和風だしで、これは新鮮な味わいであった。

店を出て大通りに出るとちょうど広島駅行のバスが停まっていたので、それに乗って広島駅へと戻る。
路面電車は橋の関係で広島駅へ回り込むようにアプローチしているのだが、バスはそれを無視してまっすぐ駅へ向かうため、正直なところ八丁堀から広島駅であればバスのほうが早く着くようだ。
ただ、バス降り場が駅から200メートルほど離れたところで、これを駅前のバス停というのは乱暴じゃないかと思うくらいには歩かされることになる。

私はバス停の前にある広島駅前の福屋にも立ち寄った。書店が上にあるということなので、ちょっと覗いてみたかったのだ。エレベータで10階に上がって書店を散策、ほしい本が見当たらなかったのでそのままエスカレータで下って、商業施設にありがちな吹き抜けの底にある広場で行われた公共広告展をなんの気無しに見ていると、あれ、と思うことがあった。

というのもここ、10階から3階分しか降りていないので、6階なのである。
てっきり広場があるから地平階だと思っていたのだが、どうも中間フロアに吹き抜けの底を作っているらしい。では5階より下は――? と思ってエスカレータを降りると、また高い吹き抜けが現れた。

――なんとこの福屋広島駅前店、『大きな吹き抜けが9階から6階と、5階か1階の2つある』というとんでもない構造の建物なのだ。

大阪のフェスティバルホールを作るとき、高層ビルの下に柱が一本も入らない大ホールを作るのは構造上大変苦労が多かったと聞くが、このビルもなかなかの構造である。流石は中国地方の首都広島、立派な建物があるものである。

その後集合時間が近づいたので駅へ向かう。ところが自分で決めた集合時間を15分勘違いしており、乗るはずの電車の到着ギリギリに駅にたどり着いてしまって、申し訳なかった。

ここからは電車で宮島口駅へ向かう。久しぶりに会うのであれやこれやの話をしながら宮島口に到着、そこからは広電のフリーきっぷを持っている者が一人いたので、松大汽船で宮島へ渡ることとする。


宮島行の松大汽船

宮島へ行く手段は2つある。一つはJR西日本フェリー、もう一つが今回乗る松大汽船である。前者読んで字のごとくJR西日本が、後者は広電が経営に参画している。
両者とも運賃は一緒、全国共通ICも利用でき、違いは使えるフリーきっぷが違うくらいのもの。乗り物に明るくないサークル仲間などは2つ並んだ乗船口を見て『何が違うのかよくわからん』と言っていたが、私も会社が違う以上の差を説明できない。

私が乗ったときはJRも松大汽船も出航時間まで一緒という始末で、同時にタラップを上げた両船がぶつからないかヒヤヒヤする。

JRのフェリーは鳥居の近くを通ってくれるらしく、宮島へ直行する我々の船から遠ざかっていき、鳥居の前を通って宮島へと向かう。一方で直行しているはずの我々の船は対向する船の出港の都合なのか宮島に着くと速力を落とし、ゆっくりと宮島港へ着岸する。JRの船もそのうちに宮島港へ入っており、両船ともタラップを下げたのはほぼ同時であった。

この光景を『これは紳士協定があるに違いない』なんて友人同士で噂しながら眺めていると、ちょうど下船のする旅客の波が生まれていた。

宮島港から宮島の厳島大社までの参道はしばらくある。奈良の鹿よりかはいくぶんかおとなしい鹿と触れ合ったり、道中にあるレモン系のサワーやハイボールを売りとしたお店でお酒を飲むなどして厳島大社を目指す。本来この手の参道は参拝した後に楽しむもののようなきがするのだが、まあたまにはよかろう。

厳島神社

私は宮島には来たことが会ったのだが、厳島神社には入ったことがない。というのも、高校生の頃に青春18きっぷで小倉から大阪に帰る途中、18きっぷで乗れるからと宮島航路に乗ったはいいのだが、時間と金がなく入るのを断念することになったのだ。神社というのは参拝料を取らないものだとすっかり思っていたから、有料であることに尻込みしてしまったのもある。

改めて入ってみると、なるほど不思議な神社である。寝殿造りのような回廊を歩いて本殿に行く形で、このときは干潮だったから下に水はなかったが、満潮になれば水がひたひたに張るらしい。この床板は多少浮き上がるように設計されているらしく、台風の時は床板が浮いている様子がよくローカルニュースに取り上げられていると広島人が教えてくれた。
この水の上に建っているという都合上、維持管理のコストも莫大であろう。なので、参拝料が必要であるというのは頷けるところもある。

ちょうど干潮であったから、神殿の前にも降りることが出来た。こちらはカニや小魚などが水たまりに生息しているのが観察でき、ちょっとした自然観察にもよいところであった。有名な大鳥居はちょうど改修中ということで覆いに囲われており、すこしでは残念であった。

改修中の大鳥居

その後は山の方へ向かい、豊国神社本殿へ向かう。この建物はどう見ても寺なのだが、廃仏毀釈の関係で神社に改装されたという建物で、中は大変広い講堂のような作りになっている。この日は天気が良かったからちょうどいい日除け場所となっており、多くの観光客の休憩スポットとなっていた。

しばしの休憩のお陰で体力も回復し、参道に戻って焼き牡蠣を食べたり、先程の店で地元のジンである『桜尾』を使ったジントニックを頂いたりしながら、あれやこれやの話に花を咲かせていた。

夕食は広島で取ることになっていたから、時間もそろそろと宮島航路で戻る。宮島口から広島まで電車で帰り、『エキニシ』と呼ばれる雰囲気のいい飲み屋街で会を催した。

それにしてもこの『エキニシ』は雰囲気の良いところである。前にも広島に来たときに飲みに来たことがあるが、店も比較的ウェルカムな雰囲気で、駅からもほど近く来やすい。広島駅近辺でちょっと飲みたいな、と思ったときには勧められる場所である。

そのあとは二次会でもあれやこれやの話をしていると夜も深まって、お開きとなった。私はどうも飲み足りない気がして、一人でエキニシにもう一度向かってしまった。



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