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詩とか

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色んな詩。たまに短歌とか。
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#詩

Hello Hello

Hello!私はここにいます
Hello!あなたはどこにいますか?

お名前は?
性別は?
おいくつですか?
お国はどちら?
お好きなものは?
お嫌いなものは?
お元気ですか?
辛くはないですか?
泣いたりなさっていませんか?
幸せですか?
いつかお会いできるでしょうか?
笑顔で握手が出来るでしょうか?

Hello!世界のどこかの誰か
いつか笑顔で会いましょう
出来ることなら青空の下

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悲しみの中

明かりを消して 目を瞑る

悲しみの中にいる

微睡みの中
悲しみが乖離していくのか
私が乖離していくのか

微睡みの後の胡蝶の夢
ただ前を向いて生きる私は
眠っているのか
醒めているのか

微睡みが再び
悲しみと私を引きあわせ
前を向いて生きる私は
夜の彼方に去って行く

朝が来て 目を開ける

悲しみの中にいる
#詩

むかしむかし

むかしむかし

命萌える春が過ぎ
生命の賛歌響く夏との間

僅かな季節の隙間にだけ
聞こえる歌があるという

雨が洗った大気の間に間に
響き往く歌があるという

おおん おおん おおん

高く低く響く歌は

まるで子供の笑う声のような
まるで母の子守唄のような
まるで父の叱責のような
まるで祖父母の昔語りのような

不思議な響きであるという

命の賛歌響く夏を呼ぶ調

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こえ

さみしい


声がした
聞き覚えのある声で

泣き出しそうなその声を
抱きしめてあげたいのだけれど

そうしてまわした腕が捉えた温もりは

ぬくもりは

ぬくもり



さみしい


声がした

ひどく
聞き覚えのある声で
#詩

空気の底


見上げれば 
波の間に間に 



青い水面を見つめて 
波の影を追う

あの彼方の青に届かぬことを知りながら

それでも
#詩

おもい

夜空の星を集めても
月の光を注いでも
日の光を磨いても

足りることはない

風の歌を留めても
水の舞を廻らせても
土の語りを響かせても

足りることはない

あらゆるものに託し
あらゆるものに例え
あらゆるものに重ね

しかし
正しい姿はいずれにもなく

言葉にも
旋律にも
行動にも

伝える術は見つからず

抱えたまま
途方に暮れながら
天を仰いだ

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おーい

おーいと夢を呼ぶ時は
ただの『私』になるのです
他には何にも要りません
私ひとりで呼ぶのです

おーいと夢を呼ぶ時は
エエテルの中に浮くように
背筋をすっきり伸ばしたままで
遠くの星へ囁くように

おーいと夢を呼んだなら
後は目を閉じ耳澄ましましょう
かすかな星の煌めき纏い
聴こえるでしょうか
かすかな

(おーい)
#詩

くすんだ空と海との狭間で
海鳥は独り
ないている

心を掻き毟る様なもどかしさを抱え
脳の芯が冷えるような不安を感じ
涙も出ずに顔を歪め
声にならない叫びを上げながら

静かに
静かに
羽ばたく姿

孤独という名さえ知らず
鳥が一羽
飛んでいる
#詩

葦の舟

葦の舟が行くよ
澄んだ水の上を行くよ

空は快晴
日差しは暖か
風に微かにそよぐ髪

葦の舟が行くよ
澄んだ水の上を行くよ

あなたが垂らした釣り糸が
底の底まで垂れていく
澄んだ水が黒くなるほど
深い深い水の底へ

その釣り糸の先に
針は付いているのですか
餌は付いているのですか
何を釣ろうというのですか

水の底に沈んでいるのは
眠った魚でしょうか
口を閉じた貝でしょうか
開くのをやめたイソギ

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山よ
ここからは
あなたが見えない

幾重もの壁と幾重もの柱と幾重もの糸が
あなたと私を隔ててしまった

あなたと一続きであるはずの大地さえ
広く大きな蓋をされて
私とあなたを繋げない

空も
川も
海も
生も
死も
私達から随分遠くなってしまった

けれど山よ
あなたは意志を持ってあなたへ分け入る私達に
昔と同じように接してくれる

汲み取る意志を弱くしてしまった私達にどうか

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