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「母子保険はぐ」のブランドづくりにかける思い

こんにちは、Finatextグループで保険事業を推進している河端です。

先日、弊社グループのスマートプラス少額短期保険(スマートプラスSSI)でお客様対応や保険金請求業務を行う若手メンバーと1on1をしていて、こんな相談をされました。

他のメンバーが担当している顧客獲得業務がスマートプラスSSIのビジネス成長に貢献しているのはわかるんですが、正直、既契約者向けである自分の業務が会社の成長に貢献できている実感が持ちにくいんです。お客様にとっての保険の価値って「保険金の支払い」なのかなあと思うと、自分がお客様対応の技術を磨く意味が腹落ちしきれないのが悩みです。

そこで私が「『母子保険はぐ』のブランドづくりをしていきたいんだ、お客様対応もその重要なピースなのだ」という話をしたところ、「その話を聞けてよかった。励みになった」というフィードバックをもらいました。

母子保険はぐ」は2020年8月24日に募集開始し、先月1周年を迎えました。これを機に、私の考える「母子保険はぐ」のブランドづくりについてnoteを書いてみたいと思います。

サマリ​

まず、私が思う「ブランドづくりのために大事にしたい考え方」を整理した上で、「『母子保険はぐ』で私が大事にしたいこと」をまとめていきます。
サマリとしては以下の表の通りです。

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1. ブランドづくりのために大事にしたい考え方

私が仕事で実現したいことの一つに「ブランドづくりをしていきたい」というものがあり、自分たちでイチから開発したプロダクトである「母子保険はぐ」にもこの思いを強く持っています。

時は遡りますが、私は大学3-4年の時、片平ゼミという自主ゼミに入り、日本におけるブランド論の第一人者である片平秀貴先生からブランド論を学んでいました。新卒で就職した広告会社での経験も影響していますが、私のブランド観はこの大学時代の片平ゼミがベースになっています。

注:「ブランド」と聞くと日本ではいわゆる「ブランドもの」を連想しがちですが、ここでの「ブランド」とは「人々から認識されようと意図するエンティティ(人、組織、企業、事業体、都市、国など)によって行われる、あらゆる表現の総和」を指します。(参考:インターブランド社の定義)

以下、私が片平ゼミで学び、今もブランドづくりのために大事にしたいと思っている考え方を紹介します。


■考え方1: 売上 = Σお客様の
Happiness

片平ゼミに参加した初日、先生が新ゼミ生に投げかけた質問をいまだに覚えています。

「売上 = 市場規模 × シェア」、この等式は正しいと思うか?

等式としては、もちろん正しいです。しかし、ブランド論的な観点では正しくない、というのが片平先生の答えでした。

ブランドをつくろうとする者は、市場の何%を取ったかという数字上の思考ではなく、「売上 = Σお客様のHappiness」すなわち「一人ひとりのお客様に届けたHappinessに対する対価の積み上げが売上である」 という考え方を持つべきだ、と教えられました。

私も、お客様を傾向値や平均値で捉えるだけでなく、人格と背景と思いを持った生身の人間として捉えて向き合っていくべきだと考えています。


考え方2:「驚き」や「感動」で心酔してくれるファンを育てる

片平先生は当時、ブランドのファン化のモデルとして「AIDEESモデル」というものを提唱していました。Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)までは従来のAIDMAモデルと同様ですが、その先にExperience(体験)、Enthusiasm(熱狂)があって、Share(共有・推奨)に至ります。さらに、ShareからDesireへと戻りループすることで、ファン化が強化されるというモデルです。

このモデルに照らすと、ブランドに心酔してくれるようなファンを育てるためには、「体験→熱狂」をつくること、すなわち、お客様の期待を越える「驚き」や「感動」を届けることが重要なポイントになります。また、「驚き」や「感動」の一つ一つは小さなものでも構わないので、何度も積み重ねてお客様に届け続けることが大事です。


考え方3: ブランドづくりは「体質」づくり

「ブランディング」という言葉が「表面を彩って取り繕うこと」を指して使われている場面をしばしば目にします。しかし、表面を彩るだけではハリボテに過ぎず、短期的に輝いているように見えても長続きはしません。逆風が吹くとすぐに吹き飛ばされてしまいます。

お客様に驚きや感動を与えるような強いブランドの輝きは、内側の体質から滲み出てくるものであり、万が一市場の逆風やトラブル・不祥事があっても挽回する力を持つ、ということを学びました。

また、そのような強いブランドは一朝一夕にはつくれず、日々の事業活動の一挙手一投足の積み重ねによって出来上がります。つまり、ブランドをつくるとは、お客様からは見えない部分や、活動の方向性を決める判断基準・価値観も含めて、自身の「体質」を磨くことにほかなりません。


2. 「母子保険はぐ」で私が大事にしたいこと

私が開発・運営に携わっている「母子保険はぐ」は、「ママに寄り添う医療保険」を標榜しています。この「ママに寄り添う」を具現化するために、どのようなことを大事にしたいと思っているのかを、上のブランドづくりの考え方に対応するかたちで書いてみたいと思います。(以下の番号はブランドづくりの考え方の番号に対応しています。)

関連情報:「母子保険はぐ」についての紹介資料 

■大事にしたいこと1:  「n = 1」にこだわる

「売上 = Σお客様のHappiness」という考え方を土台に、「母子保険はぐ」においても「n=1」すなわち「一人のお客様の声」を大事にしたいと思っています。

問い合わせ、申し込み、請求等の場面でコンタクトされるお客様に対して、「この方はどんな思いや期待で、弊社のページにたどり着いたのだろうか?」と、お客様一人ひとりの人格を尊重しその背景や思いに想像力を働かせながら対応するような感覚です。「お客様」という漠然とした抽象概念で複数人をまとめて傾向値として捉えるのではなく(もちろんそれが必要なケースもありますが)、「Aさん」という人格を持った生身の人間として捉えることで、その機微に触れるおもてなしができるようになると考えています。

お客様を「n = 1」でとらえるため、「母子保険はぐ」では例えば以下のような取り組みをしています。

お客様インタビューの徹底
商品開発に着手するにあたり、まず数十人の妊婦さんにインタビューすることから始めました。それもなるべくグループインタビューではなく個別のデプスインタビューで、妊娠・出産への思いや不安を掘り下げて聞きました。もちろん現在も継続的にお客様インタビューを行っていて、お客様の生の声を聞くことで、「母子保険はぐ」が選ばれた理由や期待されていること、戸惑ったポイントなどを把握しています。

申し込みのSlack通知
保険契約の申し込みがあると、その都度社内のSlackチャンネルに通知が飛ぶようになっていて、「母子保険はぐ」を見つけていただけた、選んでいただけた喜びや感謝を絵文字で表現して皆で共有しています。些細な取り組みですが、個人的にはこれが、皆がお客様一人ひとりに思いを馳せるきっかけになっていると思います。(ちなみに、保険金請求についても同様に通知が飛ぶようになっています。)


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KARTEで一人一人に向き合う
プロダクト改善のために利用しているPLAID様の「KARTE」というツールも、お客様一人一人に向き合うのに役立っています。「ページ上でのお客様の行動を知り、気持ちを想像し、よりよい体験を作るためにはどうすればいいかを考えて、試す」という一連のプロセスを推進していくことができます。


大事にしたいこと2:「プラスの体験」にこだわる

「驚き」や「感動」で心酔してくれるファンを育てるためには、お客様の体験や行動をデザインすることが大事です。CXの重要性が叫ばれている中で当たり前の話ではあるのですが、保険というのは何かを失うリスクを金銭的に補填する、つまりマイナスをゼロにする金融商材なので、驚きや感動などの「プラス体験」がなくてもサービスとして成り立ってしまいます。

しかし私は、保険の「金銭的補填」(マイナス→ゼロ)という役割を越えて、「母子保険はぐ」を暮らしに何かしらプラスの影響を与えられるような存在にしたいと思っています。

ここで少し、保険の仕組みを説明させてください。お客様からいただく保険料の内訳はざっくりいうと、

 保険料 = 保険の原価(保険料のうち保険金にあてられる割合)+ 事業費

という構造になっています。つまりお客様は、もしもの時に「金銭的補填(保険金)」を受け取るために、保険会社の事業費分のプレミアムを払っていることになります。「金銭的補填」が個人では到底賄えないほど高額であればプレミアムを払う価値はありますが、個人で賄える額ならば保険に頼らず個人で備えたほうが合理的(期待値計算で考えた場合)です。

「少額短期保険」という枠組みにおいては医療保険の保険金上限は80万円/年と定められているので、「個人で賄った方が合理的」という状態の人も多いはずです。そうなると極端な話、「金銭的補填」だけでは「母子保険はぐ」の存在意義はありません。

「母子保険はぐ」が存在意義を持つためには、保険金という金銭価値以外の価値も届けていく必要があるのです。「保険会社なのにこんなによく対応してくれた」というレベルの親身な対応や、保険という枠にとらわれない予防行動や周囲の協力・ケアの呼びかけ・それを促す仕掛けの追求など、お客様がちょっと嬉しい気持ちになるような「プラスの体験」 を届けていきたい、この小さな積み重ねで心酔するファンを育てていきたいと思っています。

ここでも「母子保険はぐ」における具体例を少し紹介します。

「母子保険」というカテゴリーネーム
見ての通り「母子手帳」から一部借りてきた言葉です。商品名の検討会議でこの案が出た瞬間に「これだ!」と決まった記憶があります。この「母子保険」という言葉には、「母子手帳を受け取るタイミングで妊娠・出産・子育て用の保険のことも考える、という習慣をつくりたい」という思いが込められており、「プラスの体験」を意識したネーミングになっています。

ちょっとした不安や悩みを解消するための相談サービスの提供(検討中)
もしものトラブルを金銭的に補償するだけでなく、もっと手前の段階で、ちょっとした不安や悩みを専門家にオンラインで相談できるようなサービスを契約者様向けに提供することを検討しています。トラブルの兆しが現れた際の早めの対処と悪化予防を支援するとともに、保険金を受け取るようなトラブルに見舞われなかったとしても「この保険に入ってよかった」と感じていただけるような機会を増やしたいと思っています。

■大事にしたいこと3: 「言葉遣い」にこだわる

最後に、ブランドのいい「体質」をつくっていくために、日々の言葉遣い・言葉選びには気をつけています。なぜなら、言葉遣いはその人の価値観や思考プロセスを示すものであり、また「言霊」という言葉があるように逆に言葉が実体をつくる効果もあるからです。

保険を提供する側にいると、どうしても「保険会社目線」での思考や言葉遣いに慣れてしまいがちですが、これを「お客様目線」の言葉遣いに変えることでお客様の側に立って考える癖をつけ、お客様本位を追求したいと考えています。

例えば、「引受条件」という言葉です。私はこれは保険会社目線の言葉だと考え、お客様向けの文章では「ご加入条件」に修正してもらいました。「始期前発症」などの保険用語も、お客様向けには「ご契約開始前から発症していた」等のより一般的で平易な表現に変更するようお願いしています。

お客様に対しての言葉遣いだけでなく、社内での言葉遣いも同様に大事にしたいと思っています。

以下、「母子保険はぐ」における具体例です。

お客様へのメール文面への細かな添削
問い合わせや保険金請求をいただいたお客様とはメールでやりとりをしますが、サービス開始当初は、私が自分で文章を書いたり他の人が書いた文章をレビューしたりして、目線や言葉選びについてとても細かく添削しました。

Slack請求通知への「お大事に」「ご自愛ください」絵文字
申し込み時だけでなく保険金請求時にもSlack通知が飛ぶのですが、そこには弊社のメンバーから「お大事に」「ご自愛ください」といった絵文字がつけられることが多いです。「保険金を請求する = 身体に何かしらのトラブルがあった」というお客様の状況を想像し思いやる姿勢が、小さな絵文字にも現れている事例だと思います。

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おわりに

冒頭でご紹介した若手メンバーに私が話した内容をまとめると、以下です。

・新規顧客獲得だけでなく、既契約者向け対応や直接お客様には届かない業務も含めてすべての営みが、「母子保険はぐ」のブランドづくりとその結果としてのビジネス成長につながっている
・強いブランドをつくるには、お客様への応対一つでも気配りを忘れないことが大事

数人で立ち上げた「母子保険はぐ」ですが、今はより多くのメンバーが事業推進に携わっています。このnoteに書いた内容はごく当たり前のことではあるのですが、それを組織として当たり前にやり続け、進化させていくことで、一人でも多くのお客様に少しでもたくさんのHappinessを届けていきたいと思っています。

お知らせ

Finatextグループの保険チームはまだまだ小さな組織ですので、今なら守備範囲広く、ダイナミックな事業成長が経験できると思います。お客様との対話を通して保険の本質を追求した商品・オペレーションづくりをしたい方、ぜひ一度お話ししましょう。まずはカジュアル面談からでもご連絡をお待ちしております!

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