見出し画像

価値観は自分では変えられない

別解力とは

どこか、正攻法でなにかやらなければという感覚が抜けないものですが、その感覚を外すためには読書が最も手軽だなと改めて思います。

例えばこちらの一冊「起業家の思考法(平尾丈 著)」は、他人が当たり前に出すであろう答えに対して「別解」を導き出す力こそ起業家に必要だと解説しています。

誰もが思いつく「正解」を仕事としても、すでに競合が多くいてビジネスにはなりません。なったとしても、苦しい戦いになりますし、実績のある他社が勝利することでしょう。

起業家の思考として、これまでの常識では得られなかった「別解」を導き出すことが重要になります。新技術やこれまでゴミだったものに価値を見出すなど、その手法は本書で解説されています。

脳は状態維持を優先する

何も起業家ではなくとも、「別解」を導き出すというのは、日々の生活を充実させるためには重要な行いです。

どこか周りに合わせて無難な言動を心がけるのが社会において求められてきましたが、「別解」による判断基準によって「自分らしさ」を発揮することで無理のない精神状態におくことができます。

悩みを抱えている人、ストレスを抱えている人は、おおよそ固定観念や古い価値観に縛られている状態のように見えます。

そうであったとしても幸せな人はいますが、それはそれとして。

例えば、会社を辞めたい、上司が嫌いだ、仕事に行きたくない、といった文句を聞くことがあります。

これは、それぞれ以下のような固定観念があるため悩みに発展しています。

・「会社を辞めたい」
 ↓
 「会社に行かないと生活ができない」という固定観点
 ↓
 辞めて、自分に合った仕事や職場環境に身を置いた方がパフォーマンスが上がり、結果的に社会全体に貢献しやすいため、むしろ良いこと。辞めて雇用保険をもらって生活するのも正当な権利。

・「上司が嫌いだ」
 ↓
 「上司が嫌いだが、仕方なく付き合っている」
 ↓
 無理に合わせることはなく、「その考え方は好きではない、こういう理由で」と合わないことは伝え、その上でお互い仕事上の役割をそれぞれこなせばよい。

このように、固定観念は冷静な思考を奪い、思い込みによって自分の行動を限定させます。もっと楽な選択肢があるのに、その選択ができる判断基準を脳が認めないため、辛い状況に身を置き続けるのです。

脳は「状態維持」を優先します。繰り返せば繰り返すほど、その「毎日」を脳は優先しますので、行動を変える、価値観を変えるというのは自分との大きな戦いになります。

あえて逆方向のストレスを発生させる

自分の中の固定観念というのは、何度も繰り返し刷り込まれた結果、常識であると認知する脳のネットワークが出来上がってしまっているためです。

固定観念から脱却するには、脳のネットワークに「異常」を発生させ続けなければなりません。その異常は、それまでとは「逆方向のストレス」となります。

例えば、私は昨年にサラリーマンからフリーランスに転身しましたが、今まで黙っていても会社が仕事を降ってきた状況から、その仕事を全部自分で生み出さなければならない状況になりました。

これが不安すぎて吐きそうで寝れない日もありました。

これまでのぬるま湯につかったような状態から、サバンナに放り出された訳ですから(自分で飛び出したのですが)脳が危機感を感じて拒否反応を示していたのです。

これまでのストレスから解放された結果、「逆方向のストレス」が発生していました。縛られた環境で感じていたストレスとは逆方向の「自由すぎて苦しい」というストレスです。

1年以上たった今ではすっかり慣れて、不安はどこかへ飛んで行きました。

異常事態が繰り返されることで脳が学習し、この状態が危機を抱くべきでない状況であると記憶されたのだと考えられます。

脳が「異常」を「異常」だと認識しなくなった時こそ、価値観が変わった状態です。

他人の力を借りる

このように、脳に刻み込まれた「行動を支配する価値観」を変えることは時間がかかります。これまで生活の中で日々判断してきたその基準を変えることになるからです。

一度や二度、非日常を体験しただけでは、それは単に一時的な刺激に留まってしまい、価値観を変えるには至りません。

遊園地に行って「すごく楽しかった。また来よう」という感想を抱くのと同じで、それによって自分の価値観や判断基準が大きく変わることはありません。

遊園地に行った翌日には、これまで通り学校や仕事に行き、同じような食事をして、いつものスマホアプリをながめて寝るという生活をしている方が大半です。

連続して非日常を体験するのは経済的にも難しいと思います。そして自分一人で継続するにはかなりの意志力が必要です。できるならやった方がいいのですが、そういった方は意志力が高いため価値観を変えることは難しくないでしょう。

私は読書が価値観を変えるための手段に適していると考えています。

それは「この一冊を読めば価値観が変わる!」というわけではありません。なかにはそういう運命的な出会いをする本もあるかとは思いますが、私は読書を数多くこなすことが手段となり得ると考えています。

読書もそうとう時間がかかってしんどいと思うかもしれませんが、読書は時間をかける必要はありません。

一冊あたり30分、長くても1時間が良いと思います。人はそれ以上の集中力を発揮することができませんし、2〜3時間かけて読んだ新しい知識を端から端まで全て覚えておくことは不可能です。

せいぜい印象に残った文章や、考え方を覚えている程度ではないでしょうか。

それは多くの場合、自分とは異なる考え方が示された内容のはずです。

なぜなら知っている内容は印象に薄いため記憶に残りません。印象に残るのはより衝撃的な内容であり、最も衝撃を受けるのは「未知」です。

人は「未知」に強いストレスを感じます。「知らないこと」に対して人類は歴史の中で多くの武器を生み出してきました。宗教や科学がまさにそれで、経典やインターネットは「知らないこと」に答えをくれる人類の偉大な発明品です。

読んだ本の中に「未知」があれば、脳はそれを強くストレスとして認識します。

これまでの日常を脅かすかもしれない、とは大袈裟ですが、「異常」として認識する可能性が最も高いのが、自分にはない他人の考え方です

他人の頭の中は見ることができません。育った環境も教養も何もかも違いますし、同じように育った双子も考え方は違います。

自分だけでは得ることのできない考え方が凝縮されているものが「書籍」です。

体系的にその著者の思考がまとめてあることに加え、動画とは異なり視覚から得られる情報が省かれ、ネット記事のようにWebライターによるバイアスがかけられていないというメリットがあります。

価値観を変えるためのツールとして「思考のパッケージ」として書籍ほど整理されたものはありません。整理された他人の考えを自分の脳に「異常」として認知させるツールとして、書籍は適しています。

本を使って価値観を変える方法

本屋さんや図書館に足を運ぶことで、価値観を変えるトレーニングを簡単に行うことができます。

気になったタイトルを手に取り、目次をながめます。目次からとんでもよいですし、パラパラとめくって気になったワードを少し読んでみます。

そしてもう一度タイトルと目次をながめて、閉じます。この間2〜3分くらいでちょうど良いと思います。

ある程度その著者の考えがざっくりわかった段階で本は閉じて良いです。そしてまた別のタイトルを手にしていきます。このループです。

・気になったタイトル
・気になった目次
・気になったワード

本棚に向かって、この3つを見つける作業をします。

脳が「異常」を認識するまで、本の中に他人の考えを探すのです。目的は読書というよりも「脳にこれまでにない考え方を体験させる」ことです。読書はその手段です。 

じっくり読むよりも、このように「本を調査」していくことが継続的に脳に逆方向のストレスをかけ続けることに適しています。

もし手に取った本が「面白い」と感じたら続けて読み耽っても良いでしょう。読書は自由です。

また、話題の本ほどこうした傾向が強いです。多くの人に認知されているのはその本の異常性です。

「この本はなんかおかしなことを言っているかも」と思ったら、固定観念を壊す良い機会と思って是非手に取ってみてください。

本屋さんにいくと、書店員さんのおすすめが平積みされていますので、そういった本はこのやり方でざっと「知っておく」ようにするというのも手です。

読破する、と考えてしまうとこのやり方はできません。おすすめは、このトレーニングをしつつ「読破したい本を探す」ことです。

自宅でゆっくりと本を読みたいな、という時のために私も積読本が机の周りに20冊ほど置いてあります。これらはこのやり方で一度ざっと目を通した本ばかりです。

おわりに

この記事があなたの何かの助けになれば幸いです。

悩みの多くは一人では解決できないことばかりです。

周りに相談できる人がいなくても、たくさんの著者が本に姿を変えて、あなたの味方になれる日を待っていることを思い出していただければと思います。


創作意欲の支えになります!