鬼滅の刃に学ぶ一対他戦略
漫画「鬼滅の刃」は週刊少年ジャンプで4年3ヶ月のあいだ連載され、社会現象とも言われるほどの人気絶頂の中、幕を閉じた。
単行本が書店で売り切れ「消失する」現象が起きた。出版界の救世主とも言われた。
単行本の最新刊は、初版280万部である。
ジャンプの看板漫画であるONE PIECEは57巻で初版発行部数300万部となり、現在も10年以上初版300万部以上を継続している。鬼滅の刃は4年の連載で20巻だが、それに迫る勢いだ。
火付け役となったのはアニメだ。アニメ放映終了後に、一気読みのニーズが増え、売上げが一気に伸びたそうだ。一重にストーリーの良さと、アニメーションのクオリティの高さが評価されたと言える。
作者、吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんは女性だそうで、独特なタッチの画風だ。この画風がひとつ戦略としてヒットの要因だったと思う。
私は、週間少年ジャンプをアプリで定期購読していて、連載開始時から読んでいたが、始めはこの独特の画風に抵抗を覚えた。しかし、物語の時代背景が大正時代ということもあり、画風と物語がマッチして強烈に印象に残ったことを覚えている。私だけではないはずだ。
ジャンプアプリだとめくることはあまりないが、紙版で想像して欲しい。
週刊少年ジャンプをたとえばざっとページをめくると、鬼滅の刃は独特のタッチであるので瞬間的にそのページで手を止める事ができるのだ。
他の漫画 対 鬼滅の刃
という構図が、画風だけで実現出来ていたのだ。これがコアなファンを創った一番の要因では無かったかと思う。
他の追随を許さない、一線を画す何かをこのように表現で得ていることは、おそらく編集部の戦略でもあったのではないだろうか。
勿論、アニメからファンとなった人口の方が多いはずで、そちらはアニメ制作会社の魂のこもった作画によるものだ。ここまでのヒットは予想していなかった、とは様々な記事で報じられている。
それでも、自分含めて、一対他の構図でこれだけ引き込まれるものか。このヒットに学ぶことは多い。
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