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西野亮廣さんの「やってくれないスタッフ」が身に覚えがありすぎた話

とあるスタッフとのやりとり

最近になって投稿され物議を醸し出している、キングコング西野亮廣さんとそのスタッフのやりとり。オンラインサロンの中で詳しく発信されているので、真意を知りたい方はぜひ覗いてみていただければと思う。

このやりとりは、吉本興業の配給として上映している映画「えんとつ町のプペル」のプロモーションで、西野亮廣さんの吉本社外のマネジメントとして働いている田村さんと、吉本興業のマネージャ長澤さんのやりとりに、西野さん当人がキレ気味に突っ込んだという構図。

これ、かなり僕のいたシステムエンジニア業界でもあるあるで、この西野さんの気持ちには激しく共感してしまった。

要は、「電話をする」ということに自分の時間を使うという選択をしなかった、ということなのだが、僕もこういう「逃げ」というか、「自分のタスクにできるけど、他人の時間を使わせる」という手をよく使う人物と、よくやりとりが発生したものだ。

おそらくこの方は、タスクに忙殺されていたのか、言い方に気遣いが出来なかっただけなのだと信じたい。

けれど、本心を想像するに、自分の時間をその電話確認の時間に投資したくない、ということだったろう。

なぜなら、その時間投資の意味や価値が分かっていないからだ。

この場合に、仮に田村さんが「じゃあ電話してよ」といえば、してくれたはずだ。ただ、「自分がやる」という意思決定をしない。「時間をその作業に投資する」という動機を、自分で自分に与えることをしないのだ。

このように「仕事への自分の時間投資を他人の責任にする」という選択基準を持っている人が一定数いる。サラリーマンに多いと思う。

そしてその多くは「言われたことをやっていれば良い」という感覚で仕事をしていて、「タスクを生み出して、取り組む」と言うことを極端に嫌う

タスクを生み出す時間も意味を感じないし、それに取り組んで自分が無駄なことをしてしまっては「失敗」の責任の所在が「自分」になってしまうからだ

すなわち、「その仕事に責任を取りたいとは、思えない」という意思表示を暗にしてしまっているのがこのLINEのやりとりだ。

責任感の温度差

西野さんは今、一人でも多くの人に自分の作品を届けるために毎日必死に行動されているが、このメッセージには大変寂しい思いをされたかと思う。

僕もプロジェクトのリーダーを務めていた際に、似たような事が沢山あった。少し考えれば、少しやってみればわかることも、誰かが「やれ」と言ってくるのを待ってしまう。

業務委託として請け負ったプロジェクトを失敗させるわけには行かないし、参加してくれたメンバーを不幸にするわけにはいかないと、寝る間も削って必死にマネジメントに精を出していたのだが、「そんな簡単な作業もしてくれないんだ」と心底寂しく思ったものだ。

一番の問題は、作業をしてくれないだけならいいのだが、このLINEと同様に、その作業を僕にやらせようとしてくるのだ。「分からないのでやってもらっていいですか」的な趣旨のことを、それも随分と軽い感じで要求してくることがよくあった。

仕方ないので肩代わりしても、僕が終わらせたその作業時間には目もくれない。その結果をチェックしてくれたりもするのだが、「間違ってるから直した方がいいですよ」とまで教えてくれる始末だ。

返す言葉は「やって?」である笑

西野さんと全く同じ気持ちだ。君の仕事をやってくれんだよと。しかも数倍仕事を抱えている人が、である。

元々ふられたその作業を、ブーメランで投げ返した挙句、軽微な修正すらしようとしない。仕事に責任を持てないと暗に意思表示をしているということに他ならない。僕は大変に寂しかった。

その寂しい、という一次感情は、次の瞬間、二次感情として「怒り」に変わることもあった。結果的に僕は、そのアンガーマネジメントにも多く自分の時間を投資することになり、より一層寝る間が削られていく。

そしてそのメンバーの態度を改善させるためにとったあらゆる行動は、多くの場合、一緒に過ごしている時間の中で成果を生み出すことはなかった。あれから2年ほど経って彼らが成長しているのであれば報われるのだが、もはや知る由もない人物がほとんどだ。

分かるんだけど、看過することはできない

今回、西野さんはその担当者をマネジメントから外されたようだが、それはこの一件があったからではないとのことだ。イエローカードが数十枚堆積した上での決定だそうなので、吉本興業側も文句の言いようもないだろう。本名名指しで公開したことぐらいは指摘するのかもしれないが、火に油だ。

パワハラだなんだと騒がれている意見もあるが、一部の切り取りはそのように映るだろう。ただ僕には、その背景が自身と重なって、苦しいほど分かる。

彼らを「治療」することは出来ると思うが、年単位で時間もかかることだし、そもそも所属会社がそこに手を打つべきであることも。

仕事に対する動機を生み出すためのマネジメントを、組織的に出来なかった仕組み的な背景がこの発言の裏にあるから、当人だけの責任ではないことも。

西野さんは本当はそういったスタッフにも手を差し伸べたいはずなのに、高品質な作品を死ぬ気で生み出してくれた仲間達のためにも、「映画を届ける」という重大なミッションと天秤に掛けて今回の判断をしていることも。

そういった別の側面にも想いを馳せて分かった上で、それでも感化することなく、辛い取捨選択をしなければならない立場にいる人物がいるのだということは、当人には伝わらないものだ。

大変寂しいやりとりだし、少しでも減るといいなと思う。

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