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勇気の与え方

元野球選手のイチローが、悩める子供達や社会人から質問を受け、真摯に答える動画が面白かった。

イチロー先生に扮し、質問に答えていくのだが、プロとして長年考え抜いた人生観が滲み出る、素晴らしい回答の連続だ。

・無理して友達の輪にはいるべきなのか。
・選手時代に不安を抱えることはなかったか
・他人から嫌われることが怖くないのか

など、質問自体も面白く、難しい内容だ。

なかでも、「寿司が好きで、寿司屋になることが夢」と答えた少年への言葉には、非常に共感した。それは、「好きなことを仕事として職にすると、同じように楽しめなくなることを知って欲しい」というメッセージだった。

子供の頃に野球が好きで、野球選手になる夢を叶えたが、子供の頃と同じように楽しめたかというと、その感覚がゼロになったと言う。

プロとして責任がついて回り、その多くが「失敗と向き合う」という時間になったそうだ。失敗を繰り返さないためには、その失敗にまず深く向き合わなければ原因は見えてこない。

自分の起こしてしまった失敗行為に、自分から進んで向き合うことは、非常に辛い。

時には逃げてしまいたくなる恥ずかしい、情けない失敗は、大人なら誰しもあるものだ。人のせいにしたくもなるし、自分に嘘をついて忘れてしまいたくもなる。

しかし、その失敗から逃げず、立ち向かい、反省し、自分をアップデートし続けることこそ、プロとしての仕事の姿勢だ。

そのメッセージには、覚悟を持って臨んでいたプロとしての「イチロー選手」が垣間見える。

そして、目の前の素晴らしい夢を持った少年が、将来その夢を叶えた時、「イチロー選手」と同じように楽しさを見失っても、誇りを持って働いてほしいという願いが込められているかのようだ。


大好きだった頃の楽しさを見失っても、大丈夫。
今抱いているその「好き」は、将来自分にかけがいの無い財産を築いてくれる。


瞳に力を込めて真っ直ぐ語るイチローの姿は、厳しくも優しい。

自分の心が勇気に満たされ、いつしか溢れたその分でしか、他人に勇気を与えられない。そんなことを思わせる、威風堂々とした姿であった。



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