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お隣さんシリーズ 保証人編(スリランカ)

 お裾分けをしてくれていたお隣さんだが、彼から頼み事をされた。それは「日本へ行きたい」と言うものだった。その時はぴんと来ていなかったのだが、少し調べると、スリランカ人が日本へ行く場合、観光であってもビザが必要であり。ビザを出すために保証人が必要なのだそうだ。保証人は日本人もしくは、長期滞在ビザを持っている外国人との事だった。なかなかハードルが高い。

 さらにお隣さんは日本に会社を作って、ビジネスもしたいそうだ。「保証人になってくれないか」と言われたが、知り合ってから間もないし、当然断った。「翻訳とか、日本語で困ったら聞いてもいいか」と聞かれたので、「それくらいならいいですよ」と答えた。そして、「エージェントを使った方がいいですよ」と勧めた。

数日後、お隣さんがスマホを片手に訪ねてきた。何やら電話に出てほしいとの事。電話の向こうはエージェントの人だった。
「お隣さんがビザを取るために手続きを始めていますが、知っていますか。」
「はい。知っていますよ。」
「あなたが、保証人になってくれると聞いていますが、書類等の作成をお願いしてもよいですか。」
「いえ、私は保証人にはなりませんし、お隣さんにもならないとはっきり伝えましたよ。」
「それでは、書類は作成できないですか。」
「できません。保証人にはならない旨をお隣さんに伝えてください。」
そして、スマホをお隣さんへ返した。

 エージェントから、お隣さんへ説明しているのか、彼は残念そうな顔になった。
「保証人にはなれないんだね」
「なれません。この前も言いました。」
「僕が信用できないのか。」
「保証人を負うことができるほどの責任を持てません。」
納得はしてくれなかったが、お隣さんは肩を落として、部屋へ戻って行った。

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