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DEEP IN MODULAR #モジュラーシンセ 備忘録④ DIYキット製作メモ

モジュラーシンセに手を出して、はや半年。完成品のモジュールもいろいろと買いましたが、DIYキットも結構買いました。最初はフルキットという必要な部品が全部入ったものを買っていて、半田付けさえきちんと出来ていればたいてい問題なく動いたし、DIY欲も満たされて(半田付け大好き)これはこれで良かったのですが、キットを販売しているサイトを見ていると、DIYキットには基板とパネルのみというのもあって、これがまた非常にお安い。もちろん基板とパネルだけなので、「部品表公開してるから諸々電子部品は自分で集めてね」ってことです。まぁ、抵抗とかコンデンサとかぱぱっと買えばいいんでしょ?って軽く考えてたんですが、この部品表(英語)を見ながらの部品集め(選定)っていうのが雑な知識しかない素人にはなかなか難しく壁にぶち当たりまくりでした。

というわけで、いちいち頭を悩ませてくれた各部品ごとに選定の際の注意事項やどこで入手すれば良いか等々書いていきます。今回はちゃんと備忘録っぽい!

抵抗(Resistor)

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各種、国内で容易に入手可能。モジュラーシンセキットで一般的に使用するのは1/4Wのもので、精度が高くない(±5%)「カーボン抵抗」と、高精度(±1%)で低ノイズの「金属皮膜抵抗」がある。その他にも「酸化金属皮膜抵抗」とか「セメント抵抗」とかいろいろあるが、モジュラーキットで使うことはほぼない。1k/10k/100kあたりは多用するので、安くなる100本単位でのまとめ買いがお得。±5%カーボン抵抗という指示の所に±1%金属皮膜抵抗を使っても抵抗値さえ合っていれば問題ないはず。逆は問題ある気がする。画像はアマゾンで買った安物アソートセットの金属皮膜抵抗10Ω。

サイズは通常のものと小型の物がある(上画像は通常サイズ)。BOM(部品リスト)にサイズの記載がない場合もあるので基板を見て判断する必要があるが、たいてい使用するのは通常サイズ。基盤のスペースさえゆるせば小型の抵抗を2個連結して任意の容量にすることも可能。

金属被膜抵抗は高精度、低ノイズ、温度変化による抵抗値変化が少ないなどのメリットがあり、温度変化による抵抗値変化で特性が変わる可能性があるオシレーター周りなどは多くの場合金属被膜抵抗を利用するよう指示があると思うのでそれに従う。

コンデンサ(Capacitor)

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 これもほとんどは国内で容易に入手可能。一般的に使われるのは電解コンデンサ」「フィルムコンデンサ」「セラミックコンデンサ」の3種類。容量が同じでもそれぞれ特性が違うので、BOMで指定されている種類のものを使う。また、フィルムコンデンサには、樹脂で四角い形状に固められているものと丸っこいものがあるが、フィルムコンデンサの種類まではBOMに書いていない場合があるので、その際は基板を見て判断するしかない。ただ、どちらを使っても一般的には機能的に変化はない(音が変わる可能性はあり)。画像左から電解、フィルム、セラミック。

電解コンデンサについては極性があるもの(2つの端子のうちいずれか片方に-(マイナス)表示があるもの)と、極性がないものがあるので購入時には注意が必要。オーディオ用、電源用などの種別があるが、どれを選んでも容量・種類さえ正しければ問題なく動く。なんとなくオーディオ用を使いたくなってしまうのは言うまでもない、けど、音の良さを感じられるほどかは微妙。同じ容量・定格電圧・種類のものでもサイズがいろいろある。キットによっては小さい(背の低い)ものを使用しないと高さ的に収まらないというケースがあるので要注意。

コンデンサの選別で注意したいのは定格電圧サイズ。定格電圧については、基本的にはBOMの指示に従えば良いが、大きい分には問題ない(たとえば16Vという指定の場合、25Vや50Vのものを使ってもかまわない)。ただし、定格電圧が大きいほどサイズが大きくなる傾向があり、基板に収まらなくなるという問題が起こる場合があるので注意が必要。基本的には同じサイズのものを使えれば良いが、より小さいものを使う分には問題ない。

それと静電容量の単位がBOMによってまちまちで悩みましたが、一覧にすると以下の通り。

コンデンサ

ダイオード(Diode)

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これも国内で容易に入手可能。汎用整流ダイオードに加え、一定の電圧を得る目的で使用されるツェナー、オン状態からオフ状態になる時間 が短く、順方向電圧が低い特徴を持つショットキー、古くから使われ今でも歪系エフェクターなんかに使用されているゲルマニウムなどの種類があり、それぞれに特性が違うので基本的には指定された型番のものを使う。ただしツェナーダイオードについては電圧が指定されたものと一致すれば別のものに置き換え可能。また、1N4001〜1N4007は定格電圧が異なるだけで基本的な特性は同じなので、より定格電圧が高いものを代わりに使っても大丈夫(たとえば1N4001と指定されているところに1N4003を使うのはOK)。1N5820〜1N5822も同様。画像、左が1N4148、右が1N4001。

IC/オペアンプ(IC/OP Amp)

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オペアンプについては、モジュラーでよく使われるTL072/TL074は日本でも容易に入手可能。ロジックICについては、海外ではCDシリーズが一般的のようだが、日本では互換品のTCシリーズのほうが容易に入手できる。たとえばCD4093、CD40106、CD4017は、それぞれTC4093、TC40106、TC4017が使える。

それ以外のICについては(私程度には)いろいろややこしいので、キットの通販サイトで同時に購入できるのであれば一緒に購入するのがおすすめ(基板+パネルに入手しにくいICだけセットに入ってるキットなんかもある)。もしくは大人しくマウザーを利用する。

トランジスタ/FET(Transistor/FET)

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基本的にはBOMに記載されている型番のものを使う。日本で入手しにくいトランジスタなどは特性が似た別のもので代用するという方法がある。たとえばBC547・BC557は2N3904・2N3906に特性が似ているので代替えも可能。画像は、2N3904。


LED

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3mm/5mmサイズ各色日本で入手可能。ただし、2本足の2色LEDは日本では入手が困難。日本で売られている2色LEDはほとんどが3本足。2色LEDについては基板と一緒にキット販売サイトで購入するか、これもマウザーさんか。

半固定抵抗(Trimpot)

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トリマー抵抗器とか単にトリマーとか呼ばれる。実装後、最初に設定したらほとんど動かさないから「半固定」。大きく分けると四角いタイプと丸いタイプの2種類があり、四角いタイプは日本でも各容量入手しやすいが、丸いタイプは容量によって入手しにくい。画像が丸いタイプ。秋月さんで売ってる10KΩ。

可変抵抗(Potentiometer)

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モジュラーシンセのキットでは、多くの場合基板に直接ハンダ付けするタイプの可変抵抗が使われている。ボディ部分が9mm角のタイプが多く使われていて、端子が軸に対し垂直に出ているもの(Right Angle)と、平行に出ているもの(Vertical)がある。このうち平行に出ているもの(Vertical)は日本で入手しずらいのでキットと一緒に購入した方が良い。モジュラーシンセのキットではこの平行(Vertical)タイプを使うことが多い。画像はVerticalタイプのBカーブ100KΩ。

ポリスイッチ(Resettable Fuse)

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定格以上の電流が流れた際に電流を止めるヒューズのような部品。PTC、ポリスイッチ、リセッタブルヒューズ等呼び方はいろいろ。ほとんどは日本でも入手できるけど、まれにある変わった容量指定のものだとマウザーに頼るしかない。

フォーンジャック

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基本的には3.5mmのモノラルジャックが使われる。縦型と横型が多く使用されるが、縦型は日本ではほぼ売っていないので、ThonkやSynthrotekでキットと一緒に購入するのがおすすめ。横型はマル信無線電機の「MJ-352」がほぼ互換品。画像左が縦型、右が横型。この横型はアリエクで大量に買いました。特に問題はないけど品質は怪しい。

まとめ

以上、思い出せた範囲で主要な部品について列挙してみました。

自分が今まで使ったことのある海外のキット販売サイトは、イギリスのThonkと、アメリカのSynthrotekのふたつ。Thonkはキットだけでなくポテンショメーターやジャック、ツマミ、IC等々も色々売ってるので何かと利用してます。Synthrotekはオリジナルのモジュラーキットが充実していてリーズナブルにモジュールを揃えられる感じですかね。あとSynthrotekにはErica Synthsのキットが売っていてテンション上がります。

あとメーカーのサイトから直でキットを買ったのがElectro-SmithCavisynth。あと日本の電気美術研究會Nonlinearcircuitsの基板パネルキットを買ったかな。

ThonkやSynthrotekは、それぞれの商品ごとに丁寧な作業手順のPDFが用意されてたりして初心者にも優しいです。今回は基板とパネルだけのキットを買って、自分で部品を集めるって前提で話しましたが、基板+パネルキットにもちゃんとBOMのリンクがあって、さらにそのBOMの中にMouser部品一覧直リンクなんかがあったりして、そこからまとめて買ってしまえばそんなに苦労はしません。が、だったら初めからフルキット買った方がいいんじゃない?って感じかもしれない。

まぁいろいろ紆余曲折しながら部品を集めるのも楽しいですよ。で、キット作りをいくつかこなしていくと、自然と余った部品が充実してきて、新しくキットを買おうとBOM眺めていると7〜8割すでに持ってるな、なんて感じになってきます。というわけで今回はこんなところで。皆さんも是非エンジョイDIY。

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