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スポーツジムにある風景

 スポーツジムに通うことが生活習慣化されてから、およそ20年の年月が経とうとしている。その間、幾つかの施設に入会する機会を得てきた。現在通っている施設は、自宅から徒歩で通える利便性の良さに加えて、地区の様々な自治活動を介して職員の皆様との交流があることが主な理由としてこの春から利用させてもらっている。
 現在の利用施設に関しては、最新のトレーニング器具、健康管理におけるサービス体制のあり方、またトレーニング後のケアに至るまで、これまで通っていた施設とは比べようのない充実した内容にとても満足できている。どうしてもっと早くにここに入会しなかったのかな?と思えるほどだ。
そのような環境の中、最近になって「おや?」と気づかされる場面に遭遇する機会があった。
 ジムにチェックインして、トレーニングを開始する前には、筋肉の緊張を解す為にどこのジムでもストレッチを行うことを推奨している。ストレッチを行うためには、大概の施設では専用のマットを設置するスペースを設けてくれているものだ。
 マットでは仰向けになったり、直立したり、様々な動作を用いてストレッチを行う。その間、個人差はあるが、10数分もの時間を要しながら、これからトレーニングで酷使する筋肉をリラックスしてあげるのだ。
そして、ストレッチを終了し、マットから離れる際には、次に使用する人のために専用の消毒液をマットに散布し、用意されてあるタオルでマット表面をきちんと拭いてその場から離れることがジム利用者における一般的なマナーであり、エチケットでもある。その「常識」が、最新施設が売りの現在の施設では、全く徹底されていないことに気付かされてしまった。
「そうか、マナーが置き去りにされているのか」
 いくら最新ハードの機材を並び揃えても、ソフト面がそこに比例していなければ、充実した施設であるとは評価されないだろう。ただ、それを嘆くだけではいけない、と私は一考する。
 この状況を見て、その場にいる者は2種類の行動を選ぶ機会を与えられるだろう。

①この施設はそれをやらないのが常識なのだから、自分もそれに巻かれてやらない。
②エチケット、マナーを守るのは社会の常識。たとえ他人がやらなくとも、これまで同様にやり通す。
 
 私は、最近ややオーバーアクション気味にストレッチ後には「常識」の儀を行っている。そうすると、たまにではあるが隣でストレッチを行っている人が、私の振りを習ってきちんとマットを拭いてその場を去ってくれている。
その光景を目の当たりにできることが、今の自分のささやかな喜びだ。
 このように世に一歩出れば、いろんな気づきに遭遇することができる。ジムの常識については、たまたま自分の中で気づきを見つけることができたのだが、もしかしたら他の分野で自分が見過ごしている「常識」があって、他者が不快な想いをしていることがあるのかも知れない。
 だからという訳ではないが、こうした場合には、否定の論調で直接的な指摘を行うよりも、実際に我が身が範となれることを行ってみせること。
 自分には、この手法が性に合っていることを、改めて知る機会にもなってくれた。
 さて、またジムに行こう。ジムは、肉体だけでなく、精神も鍛錬し、そして浄化できる場所なのだ。

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