坂ランの負荷と水流の負荷
「坂ラン」開始
PLANETSCLUBランニング部で走り始めて1年が経過しました。年が明けてそろそろまたメンバーとも走りたいなと感じていたやさき、クラブで参加予定だった3/1三浦国際市民マラソン大会は中止となり、今も集まることができない状態が続いています。
しばらくは状況の改善を願いつつ、また再開できることを楽しみとしている次第であります。
三浦国際市民マラソンは中止となりましたが、自分は昨年末から大会中止が決まるまで、この大会に向けてのランニングへ変化し、普段のコースとは違うコースを走り始めていました。(今ではそのコースも普段のコースの一部となっております。)
まずはその変化の原因である三浦国際市民マラソンの特徴を大会要項と合わせて説明します。
大会要項
種 目:ハーフマラソン 21.0975km (三浦海岸~城ヶ島 折返しコース)
制限時間:180分
ハーフマラソンで制限時間180分、走り慣れてる人であればゆっくりペースでも余裕を持って完走できる感覚なのですが。ここにこのコースの特徴が現れております。
それが ↓こちら↓ 「マラソンコース高低図」
“高低差が半端ない” のであります。
日常のランニングは基本的にフラットなコース中心なので大会要項文の情報だけなら制限時間に余裕があって優しい大会となるのですが、この大会はきついコースだからこそ制限時間が長いのです。
そこで大会に向けランニングに取り入れることになったのが「坂ラン」です。
坂ランの負荷と水流の負荷
ここでちょっと自身の釣り遍歴をザックリ紹介させていただきますと。
まず10代後半から20代中盤までバス釣りをゆるくやっておりました(一時は4級小型船舶免許まで習得しハマりそうになったが、今は免許と共に失効)。
20代中盤から約8年渓流釣りを、中でも最後の2年間は並行して鮎の友釣りにどっぷり浸かる。今回はこの最後の鮎釣りの世界と重ねて「坂ラン」を振り返りたいと思います。
※写真(宮崎県五ヶ瀬川カンバの瀬)ANA釣り倶楽部より
鮎釣りは絶対ではないがほぼ川の中で流水抵抗を受けながら釣りをしている。当然水深や水の増減によって体への負荷は変わるし、川によっても押し(流れの強さ)が違うので負荷も変わる。(ちなみに宮崎県なら五ヶ瀬川、熊本県なら球磨川、九州では東西の横綱と呼ばれ、景観、押し、共にごついので怖いが魅了される)
まずは体にかかる負荷を考えると「坂ラン」を始めた昨年末の1発目、途中あまりの苦しさに心が折れて歩いていました。その後は前回の反省や、クラブメンバー兼ランニング部コーチである阿川さんによる皇居での「坂ラン」解説動画や写真を参考に徐々にアップデートしてゆきました。
・目線を走る先へ向ける。
・上半身は股関節に載っているものとしてバランスをとる。
・足回りはリズムよく股関節を稼働させるイメージで。
・自分の脳天に力が抜けていく垂直方向もイメージしながらテンポよく。
・左右の足の空間が平行四辺形になるように膝を前方に出す。
といった感じを意識しました。苦しいながらも徐々に登り坂を走れるようになってゆくかんじであったと思います。
対して鮎釣りでは引き釣り(瀬釣り)と言って川の流れを逆向して釣り上がる釣り方があります。当然、最初は流水抵抗を切って釣り上がる事ができずにバランスを崩しこけてしまい、自身で釣り場を釣れなくしてしまうという本末転倒な事になっていました。そこで大事になってくるのが事前の川見と体のバランスとテンポです。
・川に入る前にどの筋(流れと石の色)を釣り上がるのか事前確認する。
・どのコース(石が上流にあって流れがゆるい部分など)で自身は流れを切って登るのかも見ておく。
・竿9メートル、仕掛け9メートル、おとり鮎を生かし続けるための引き船とタモと自身が受ける流水抵抗を考えて、姿勢(流水抵抗面積を減らす)と道具とのバランスを取る。
・おとり鮎が目的のポイントに入ったら約1分待つ。
・上流へ約1メートル登りまた違う角度やポイントで掛かるのを待つ。
・鮎が掛かれば素早く寄せる(抜き上げタモで受ける)。
・釣れたて鮎を素早くおとり鮎として発進させまた次の鮎を掛ける。
・上記の繰り返し(循環)を途切れさせないようにテンポを維持する。
当然そのようにうまくはいきませんので常に修正しながら組み立て直しですが。
同時にランニングコースや釣り場も一緒です。いつも同じコースを走っていると飽きてきてルート変更やコース変更を考えるように、鮎釣りでも釣れなくなって飽きてきて川の区間や川を変更します。
このようにラン、鮎釣り共に少しずつ繰り返しながら徐々に感覚的にも身体にも覚え込ませてゆきます。
ではなぜ、自分はそのようにしたいと考え行動したのかを考えると。この「坂ラン」、「鮎釣り」ともに、よりいっそう「うまくなりたい」という思考が働いています。
双方とも「うまくなりたい」から考え、実行し、より難しいコースや川への憧れを実行に移してゆく。このサイクル(ゲーム性)が自身の行動に結びついているということだと思います。
競技思考もたまには取り入れてみる
さて、そのように考えると自分にとってのランニングを走るきっかけはオンライン・ランで楽しく走れればと始まっていますが、今回の三浦国際市民マラソンは自分にとって制限時間内に完走するという極めて個人的な意識ではあるとは思いますが、競技的目的意識として捉えていたとも言えると思います。
きっかけは至ってゆるい動機なのですが、ここで大会という競技的な感覚に支配されると同時に、よりランスキルを上げたい(「うまくなりたい」)というスイッチが入った時に、きっかけであったスタンスはどこか消えてなくなり、より難しくて体にも負担の大きい「坂ラン」へとスイッチングして行き、このミッションを成し遂げたい欲望からよりきついコースを求めて、早朝ランでの起きる時間も5時から4時へと早まったりするのです。
結局大会は中止になったので意味ないのではと感じるかと思うのですが、実は案外そうではありません。
・競技思考で走ったコースが自分のランニングコースへプラスされます。
・坂を走るというスキルも身に付きます。
・坂を登り終えればそこには高台から見下ろす景色が広がります。
高台から見下ろす景色は山登りと一緒で壮観です。時節によっても変わりますのでオススメポイントです。
対して鮎釣りにも競技スポーツの面があります。それも毎年各釣りメーカーの日本一を決める大会や新聞社の名人戦など、釣った数で競うスポーツです(その他にもありますが)。
鮎釣りへのきっかけは「一生に一回は鮎釣りをやりたい」と思っていたのと毛針の作り方を教えてもらった師匠が鮎釣り中毒だったこともあり、それならと教えてもらいました。もれなく自分も2シーズンという短い期間でしたが取り付かれてしまった訳です。
各メーカーの大会は九州予選、次に西日本セミファイナルを勝ち上がらなければファイナルに出場することはできません。ですので各メーカーの九州予選を突破できなければそのシーズンの大会はその時点で終了となります。
九州では5/20に大分県日田市の三隈川周辺で鮎漁が解禁します。解禁した次の週末には各メーカーの予選が始まります。それまでは大会モードでの釣りなのですが、全部敗退すれば解禁して1ヶ月も経たない内に大会モードは終了します。もちろん他にも各地域の大会はシーズン中にいろいろありますが、基本全国規模のメジャーな大会はその時点で終了となります。それからは10月終盤まで鮎釣りを楽しむ事になります。
ですが、楽しむモードに競技の視点も入ると、より楽しむジャンルが広がります。(もちろんただ何も考えずに鮎とたわむれる日もあります。)
・大会モードで縛りを設けることでゲーム性が増す。
・大会開催河川で釣りをするという特別感を得られる。
・鮎に負担を掛けずに、常に水に浸けた状態で素早くより丁寧に扱うようになる。
そんな中でも競技思考からの副産物としてすぐれているのが、鮎自体をより丁寧に扱うことを覚える事です。
鮎釣りはおとり鮎の状態に左右されます。おとり鮎が元気なうちはしっかり泳いでくれるのでいろいろなポイントを攻めることができるのですが、元気がなくなると泳がなくなり、表層に浮いてきたりして循環が途切れ釣りにならなくなるのです。
鮎自体を丁寧に扱うことは基本ではあるのですが、競技思考のシビアな状況ではより一層大事になるので、結果としてより普段の鮎釣りの楽しむ時間も増やす事に繋がります。
自分にあった適度な距離感
自分の鮎釣り人生が2年という短命で終止符をうっているのは一言で言えばオーバードーズです。鮎釣りだけでも魅了的なのにさらにそこには競技の世界もありました。そこで「うまくなりたい」が加速します。すると経験が浅いのに高望みをして精神的にも肉体的にもすぐに黄色信号が点滅します。例えるなら鮎が年魚であるように、盛期は体側の追い星(黄色)がギラギラの状態が秋にはだんだん消えてゆき、産卵したあと一生を終えます。
オーバードーズするほどのめり込めるという事は最高ではあるのですが、そこにはそれ相応のリバウンドがあることもあります。自分にあった距離感を保てればさらに長く楽しむことができると思います。
現在大会は全て中止されてしまい、競技スポーツに挑む環境がありませんが、その分アプリ(Stravaなど)でのオンラインで今月は何キロに挑戦などに参加したり、自分に軽い目標を設定しそれを達成するみたいな事に挑戦するのは、代替えとしてもこれからのランスタイルを充実させるのに良さそうな気がします。
競技思考から身についたスキルによって、よりいっそう普段のランニングにも幅が広がり楽しめるなら、たまには競技に挑むという縛りを設けることはあながちというやつかもしれません。
書くこともより「うまくなりたい」という回路が働き、毎月25日までに書くという軽い強制力を設ける事もそうだと思います。
ついでに次回は早朝ランについてもう少し掘り下げる為に、音との関係性などを通して考えたいなと目標設定も宣言してみます。
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