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さようならにはまだ重すぎた私たち①  ー戦友

日本語を勉強してたときに、先生が「さようなら」という表現を紹介したときに、こう言った。

『さようなら』はすごくフォーマルの言い方で、これからはなかなか会えないニュアンスも込めている。

もしこれが正解だったら(正解であってほしい)、私の最近の人生はもう「さようならの嵐」を言っても過言ではない。
でも「さようなら」はまだ、私にとっては重過ぎた。

このノートを書いてた夜は、ここで出会ったすごく仲のいい友達の見送りの帰りだった。

この人は、私の友達というより、私の中では「一緒に戦っている仲間」のほうが合ってる気がする。

ここでなかなか同じ地元の人と会ったことがなくて。地元が同じでも、大体インターを通ってた人が多くて、それは私にとってはもう地元の人じゃなくて、もはや国籍が違う人と感じている。
なので、地元が同じで、しかも同じセンター試験を経験して、公立の高校から出たと知った時、私は興奮してた。

学部と専攻も全然違うから、一緒のクラスが全然なかった。でもお互い頑張って学校外で会う時間を作った。
彼女はビジネス専攻で、私の専攻の雰囲気と全然違って、毎日戦いだ。会うたびにクマがひどくなって、ずっと「寝不足」「マジで死にそう」って言ってる。
学年が同じだけど、ビジネス専攻の就活時間が私の専攻よりずっと早く始まって、そして長くてしんどい。
彼女はすごく努力してる。頑張ってる。時間かけて面接を準備してる。マーケットの最新情報を常にチェックしてる。
同じ学部の友達にもよく言ってる。「毎回ビジネス専攻の友達と会った後に就活のプレッシャが半端ないんだよね」って。

そして、今年に入ってから、私の卒業時間が決まった。
それは、彼女より一年早く卒業する予定になった。

彼女は二週間前のある夜の9時に、私に電話をかけてきた。
「今からタピオカ飲みに行かない?!」
「…あんたの精神状態を心配するよ」
とか言いつつ、付き合ってあげた。
それは、深夜9時のタピオカを待ってた時に、彼女が
「今回は私に会える最後のチャンスかもよ」
と、冗談を言うトーンで言葉を放ったから。

「え?笑。どういうこと?」と、私は戸惑った。
「実は今インターンのオファーがもらえそうな会社があってね。もしもらえたら、来年の一月から半年間ここにいないんだよ」と。

え、ガチで会えなくなるじゃん。
だって私は来年5月卒業するから。

それはそれはおめでたい話なんだけど、どこか素直に喜べない自分がいて、自分のことが嫌いになる。
これから会えなくなる、と、
私は彼女より一年早く卒業する予定なのに、彼女はもうすごくいいオファが手に入って、
私の就活状態はまだ0と同じくらい。

月曜の夜に、彼女から「オファーもらった!」というメッセージがもらった。
水曜まで期末試験がある彼女は、土曜日の今日はヨーロッパに旅に立つ。
そしてそのまま向こうに行く。
この間の48時間で全ての荷物をまとめて、寮から出なきゃいけない。

「出発前に絶対あきと会うから」と、バカ忙しいスケジュールが控えているのに、彼女は私にこう言った。
嬉しかった。

そして水曜日の昨日、「荷物をまとめるのを手伝ってー」って一通の電話がきた。
相変わらずマイペースの彼女だ。

はしゃぎながら荷物のまとめを手伝って、彼女の妹と一緒にチャイナタウンで買ったエッグタルトを食べた。

夜は二人で学校の近くのタイ料理を一緒に食べに行った。二人で昔一緒によく通ってた美味しいお店だった。
面接の内容から、これからの生活の不安まで、あと将来についても、
お会計したあとでも、二人は長くお店にいて色々語った。

よく考えたら、当たり前のように、一通の電話で「ご飯行こうよ」って簡単に会える日も終わってしまった。
互いは互いの親友ではないとたぶん二人ともわかってるけど、
同じ地元から出てるから、バックグランドが似てて、
「戦友」っていう響きが多分私たちに一番似合う。

私はこれから冬休みはここで就活して、卒業したあとは正直どこにいるかどうかは全然わからない。
彼女は、来年の9月になるまでここに帰ってこない。
「私の卒業式に来れなくなるじゃん」と文句も言ってみた。
「あなたは最初から私の卒業式に来れない予定だからよく言うね」と言い返された。

昨日ご飯食べる時もこれについて語った。
地元はすごく小さいところだから、学校で出会った友達の家庭背景や成長した環境が大体同じで、私たちと全く違う人間はあんまり出会わない。
逆に外に出て、いい意味でも悪い意味でも、いろんな人と出会って、彼らの文化や価値観を知って、驚く毎日だ。
これは海外の大学に通ういいところでもあるけど、
そんな時で、同じ地元の人と、私たちが一番言い慣れてる言語で話すと、
その懐かしさと居心地さが、たまに一人で海外で頑張ってる私の魂を救ってくれる。

最後に別れる時に、
「電話して!メッセージ送って!」って彼女は私に言った。
私は、「Have Fun!」と。
明日からのヨーロッパ旅も、これからの人生も、
全力で楽しんでほしいの気持ちを込めて。

そしてまた、二人の人生が交差する日まで。

荷物まとめの差し入れのエッグタルト
美味しい美味しいタイ料理!
「ココナッツに入ってるー!」ってめっちゃテンション上がった

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