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びっくりのインド ● 17 ● 水の話し

「インドに住んだことがある」 と言うと、よく訊かれるのは

(1) ガンジス川で沐浴をしましたか?
(2) お腹は大丈夫でしたか?

である。答えは、

(1) 沐浴はしませんでした。
(2) 腹は下しませんでした。

インドにいた間、バンガロールの他に唯一行ったのはチェンナイだけだ。
バンガロールからチェンナイまで列車で6時間かかるということは、観光を兼ねて飛行機で行くにしてもガンジス川までは 「ちょっとそこまで」 という距離ではない。

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もしガンジス川の傍に住んだとしても、沐浴はしなかったと思う。
何かのドキュメンタリ番組で 『 ガンジス川には他には見られない微生物がいて水の浄化作用がある 』 と言っていた。
「 インドで沐浴をしました! 」 というのは旅の土産話しになるかもしれないけれど、年齢を考えるとガンジス川の浄化作用を自分の身をもって試す気はない。

バンガロールには大きな川がなくて、ところどころに幅が 20 ~ 30 メートルくらいの川らしきものがあるだけだ。
川らしき と言わざるを得ないのは、日本人が想像するような、河原があったり魚が泳いでいたりする川ではないからだ。
私が住んでいた辺りでは、家の前で手洗いで洗濯した水は恐らく溝を伝って川に流れていたと察するし、あちこちに大量のゴミが捨てられていた。
そのうちにゴミで川が塞き止められてダムになり、どうするのかなと思っていると、驚くことにゴミに火をつけて灰にして流した。
国が成長する過程で川は下水の代わりをする時期があることを久々に思い出した。

飲み水については、実のところ私は、インドに限らず日本やアメリカでも水道水を飲むと腹を下すことが多い。
レストランやカフェで お冷 を出してもらっても飲まない。
これまでで唯一、アメリカのオレゴン州では水道水をガブガブ飲めた。
訊いてみると、当時 (1980年代)、オレゴンではロッキー山脈から水を引いていて加熱処理しかしていないということだった。
オレゴンの水で作った紅茶は、イギリス人の友達が感心するほど美味しかった。

インドでは、最初は歯を磨くのもフルーツを洗うのもウォーターサーバーの水を使った。
2週間くらい経った頃、同僚が 「お腹は大丈夫か?」 と訊いてきたので 「いまのところ大丈夫」 と答えると、「2週間何もなければ、もう平気だ」 と言う。
この 2週間 がどこから来た数字か分からないから 「じゃあ、そろそろ水道水を飲んでみます」 というわけにはいかず、とりあえずは歯磨きに水道水を使い、次の日にお腹を壊してないことを確かめてから、フルーツを洗って食べてみたら平気だった。

飲み水に限らず、とにかく私は水に弱い。
井戸水で育ったせいだろうか。
日本でも銭湯に行くと、風呂から上がると塩素で身体が痒くなることが多い。
お陰で、掛け流しの風呂がある銭湯や温泉に詳しくなった。

インドだから気を付けたというより私は普段から水には神経質で、それがよかったのかもしれない。
とにもかくにも、どの国でも、よほどきれいな水でない限り私は川や湖に入ることはしないし、うかつに水道水を飲まずミネラルウォーターを買う。
体は決して強くないが、海外で体調を崩したことはない。

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