見出し画像

びっくりのインド ● 04 ● インドに着いたわいいけど part 2

バンガロールの空港に着いたときに到着ロビーに迎えの人が誰もいなかったのは、テロ対策のためだったと思う。
だから迎えの人は空港の中に入れず、みんな外で待っていた。
それに気付く事件が後に起こるのだが...

それよりも、その時の私は、どうやったらホテルまで行けるか が最優先すべき課題だった。
ちょうどその時、アメリカ映画の中でリムジンを運転してそうな、黒いスーツを着て帽子をかぶった長身の ショーファー風の人 が近づいてきた。

これ、これ、これよ。
私が待っていたのは、この人。

この運転手さんが働いているホテルなら、かなり期待できそうだ。
しかし、彼が私に訊いた「xx さんですか?」 は、どう解釈しても KEIHAKU-san には聞こえない。
一瞬で 奈落の底 に落ちた。

が、分かりやすい英語を話すこの人を簡単に逃すわけにはいかない。

「あの・・・、ホテルからの迎えを待っているんですが、来なくて。電話番号は持ってるんですけど電話がなくて」 と言ったら、その運転手さんは 「そういうことなら、私が電話してあげましょう」とスーツの内ポケットから携帯電話を取り出して、連絡してくれた。

そしたら、何と、目の前の、大勢の、迎えの人たちの、中で、電話がなったのだ。

は?
あなた、40分、ずっとそこにいた?
わたし、ここでキョロキョロしてた。
到着ロビーから出てきて...
インド人っぽくないの、ワタシだけ。
ずっとずっと、待ってたの、ワタシだけ。
「 KEIHAKU-san デスカ? 」
と訊いてくれたら...
アナタもワタシも 40 分
待たずに済んだ!

という何とも言えない感情がこみ上げた。

確かに keihaku-san と書かれた紙は持っているけれど、その弱気で小さい文字は 謎の暗号 (ヒンディー) の中に埋もれると分からない。
(しかも、惠白の本名を英語で綴ると苗字が 3 文字だから大きく書かないと...。)

いぃーーーっ となったが、電話を掛けてくれた運転手さんに苛々した顔は見せられないから、「ありがとう! 命拾いしました。 ほんとに、ほんとに、ほんとに、ありがとう!」 とお礼を言って、そして 40 分も前からずっとそこにいた、ホテルからの迎えの人には...

ここは海外だ。
何が起こるか分からない。
ここで奴に怒りをぶつけたら...
(1) 知らない街で降ろされる
(2) 荷物を取られる
(3) 殺される

かもしれないと思ってニコっと笑い、「ああ、待ってたんですよ、そこにいたんですね」 と言った、そう言うしかなかった。

スーツケースを1つ運んでくれたが、愛想笑いもできず、黙って車までついていった。

えぇぇぇぇ!
これ?
迎えの車?
ワタシを乗せるクルマ?

そこにあったのは、まさに 軽トラ
と思うが早いが、そいつ は教材が入っているスーツケースを投げるように 荷台 に乗せた。
「あっ、それ、壊れやすいものが入ってます!」 と言ったら、そやつは " OK! OK! " と軽い返事をした。
もうひとつのスーツケースは自分で荷台に乗せた。

軽トラの 助手席 に乗り、でこぼこな道路のせいか軽トラのせいかガタガタ揺れて、普段は車酔いはしないのに少し気分が悪くなりながら、そして不安で体がカチカチになりながらも、ここまできたら 教材がぶっ壊れようが 荷物がなくなろうが、「 無事に生きて、ホテルに着きますように...」 と祈った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?