妄想:与野党女性党首のタタカイ

202x年10月 新たに選出された与野党の党首討論が開催された。
前年、アメリカ合衆国大統領が副大統領へ禅譲されて以降、世界では女性の政治家がリーダーとなる出来事が増え、国連でもその流れが加速した。
自由民主主義を標榜する国々の7割を女性リーダーが占め、彩度の高い映像が世界をカラー化した。白黒に近いグレーの映像は、男性リーダーの国や国家資本主義の国々から流れる事が多く、硬質な表情に変化がない。
世界は、自由民主主義市場と国家資本主義市場に分断され、グローバル経済の覇者を巡って政治対立がはげしくなっていた。

2020年9月、大方の予想を覆し、与党党首に女性が選出された。複数の男性党首候補で票が割れたためだ。決戦となった時、投票権者は政治的感を働かせ「世界は女性リーダーを必要としている」と判断したのだ。
同様に、あたらしい野党第一党の党首も女性が選出された。「世界で戦えるあたらしいリーダー」として、次の総選挙で勝って与党になろうとしていた。連鎖は止まらず、日本で最も古い政党もその外の政党も党首は女性となり、国会は彩りが増していった。

一足早く自治体で女性リーダーを勤める首長たちも応援し、「あたらしい日本のかたち」政策協議会が開催され、政官財学の女性リーダーたちで様々な課題に果敢に挑戦し解決策を見出そうとしていた。その提言は世界から注目を集め、「日本が本気に変わろうとしている」と評価された。

日本を取り巻く情勢は厳しさを増していた。気候変動に伴い、食糧危機が目立つようになり、あわせて生活必需品の物価の変動が激しくなっていた。感染症は、毎年、新しい何かが発生し広がりを見せ、全体として閉じこもり気味の雰囲気に包まれていった。

今までの、男性リーダー同士の「どちらが強いか」的政治では緊張が耐えることがなく、また、格差や差別が治まることもなかった。先進国での少子高齢化や、途上国での子供や女性の権利の侵害や健康問題に、男性リーダーは無頓着か過剰反応を示すだけで真の問題解決にいたらなかった。

「世界の戦争が止まる日」制定に向け、国連でのロビー活動が活発化し、日本も積極的に参加する流れの中で、男性リーダーの国や国家資本主義の国々とどう向き合うか、どのようなやり方で賛同と協力を得られるかが課題となっていた。

日本の与野党党首の討論が始まる。「戦争を止めるのは、私たち女性リーダーしかいない」という自負の下、その手法を競う場で何が話し合われるのか、受像機の前で日本国民が固唾をのんで見守っているのだ。

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以上、妄想暴走でした(笑)。

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