妄想:同盟国が追い付かないT大統領の工作

***** 就任直後から動き出すのが「鉄壁の境界作戦」だろう。CIAを使って世界に「超えてはならない一線」づくりをする。対峙する強権政治のリーダーがいる "領域線" に「鉄壁」を作り上げるのだ。

第一弾がウクライナだろう。強権のモスクワ政権に対して、広い競技場に棒できっちり線を引くように、ウクライナのモスクワ政権実効支配境界線に「鉄壁」を張り巡らせる。「地上戦術ではこれを越えてはならない」と、明確なディスプレイを発信するのだ。これは、「停戦」ではない。核戦争の境界線として明確に線引きをするということ。空中戦に関しては相変わらず関与しない。ウクライナの政権は強靭な「鉄壁」を受け入れると同時に、強力な空軍(宇宙軍)を欧州の拠出により作り上げることになる。

第二弾は、バルト三国とフィンランドの国境に「鉄壁」を張り巡らせる。これも「世界戦争の境界線」としてモスクワ政権に知らしめる。これも欧州の拠出により完成を急がせる。T大統領の国は直接には関与しない。

これにより「有言実行のT大統領」として世界に誉をもとめ、予想に反してそれに呼応するようにモスクワ政権も「納得」で反応する。民主主義を旨とするメディアは「茶番」と書き立てるが、SNS上では評価の高い書き込みが増産される。

有頂天になったT大統領は中東にも「鉄壁」工作を展開しようとするが、これは失敗する。CIAが思ったほど動かない。同じく、アジアに対しても「鉄壁」を展開しようとして挫折する。これらの地域はT大統領の理解を超えた「文化圏」にあるからだ。欧州やモスクワ勢力とのディールに属さない。

T大統領にとってアジアや中東は厄介なところだ。押し込んでも引いても思ったようなディールに落ち着かない。よって、この地域への "工作" は放置する。もっとも、苛立つ国は日本なのだろう。「Abeの時ははっきり言いあえた」と感慨深げに思い出す。あのリーダーシップだからディールが成立した。

「今の東京政権はなんだ。北京政権にもモスクワ政権にもいい顔をしやがって。おれのメンツを立てるような話はおべんちゃらばっかりだ。けしからん。」と立腹する。

世界の文化に興味を示さないT大統領。同国の有権者の強烈な支持が得られればそれでいい。面倒なことには手を付けない。だから、北京政権は徐々にその影響範囲を周辺国に広げていくことができる。モスクワ政権も南下政策の一環として中東や南アジアと極東に浸食していく。

東京政権は北京政権とモスクワ政権の勢いを感じ取って、T大統領のいうことを「聞いているようで聞いていない」あいまいな態度をとるのだ。結局、「アジアと中東は、モスクワ政権と北京政権が自由にしていい地域」としてT大統領は頭に焼き付け、故にCIAの活動も低下していく。

世界にアピールできるのは欧州でのT大統領の影響力でありその誉を強要するような行動をとる。だが、ポーランドからバルカン半島に至るスラブ民族の国々だけは思うようなディールに乗ってこない。モスクワ政権の暗躍で「欧州の日本的反応」を示す地域となる。やがて、第一次世界大戦の火薬庫のような地域になっていく。

そして、北京政権が「太平洋への海道」を押し開けることに成功する。台湾から日本の南西諸島に関して「平和的な海道貿易圏」を作り上げたのだ。最早、軍事侵攻を行う必要もない。沖縄の米軍が縮小され即応能力が減退したからである。朝鮮半島においてもフィリピンにおいても米国駐留軍は縮小され、「治外法権としての軍事基地」となっていった。同様にモスクワ政権も「オホーツク貿易圏」をチラつかせ、北海道経済への協力を申し立てる。東京政権への資源割り当て工作も仕掛け、日本への影響力を高めていく。これも、日本国内の米軍基地の縮小による反動である。

ここにきて、T大統領は焦り始める。「グアムを取られる恥」を掻くわけにはいかない。マリアナ諸島からパラオに至る「海の鉄壁」を構築するようにCAIへ工作指令を出す。再び、民主主義を旨とするメディアは「茶番」と書き立てるが・・・SNSでは「どうやって海に鉄壁をつくるんだ?」というスレッドで盛り上がる。その都度、T大統領がコメント入れSNSで支持を増やしていく。

同時に、東京政権への批判が広がっていく。「なんでこんな状況になるまでほっておいたんだ!無責任政権だ!」と喧しい。それに乗じて日本では右翼が力を増していく。国内は「北京政権とモスクワ政権に抵抗しない」勢力と「アメリカ合衆国大統領に忠誠を誓う」勢力に分かれ、大混乱が発生する。

T大統領は「俺に忠誠を誓う東京政権なら米軍を拡張してもいいぞ」とディールを投げかけてくる。それを聞いた北京政権もモスクワ政権も東京政権へ強烈な圧力を仕掛けてくる。T大統領の国も北京政権もモスクワ政権も経済圧力を仕掛け自陣営への引き込みに余念が無くなる。日本はかつてないほどの経済危機に見舞われ、日本文化の底流である何千年と続けられてきた「あいまいな合議制」の終焉を迎えることになる。

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