妄想:クラスター弾と焼夷弾

先の大戦で、焼夷弾が多投され多くの民間人が犠牲になっています。そのイメージとクラスター弾が重なるのは、私だけでしょうか。(以降、妄想)*****

薬物に依存しなければ勝てないアスリート。勝てないのなら、薬物禁止ルールの外側に居て王者となればいい。

戦争はスポーツではない。勝たなければならない。地域や国々がルールを定めたとしても、勝たねばならない。ルール外に居て勝つ。その選択肢しかない。戦後に悪評を広められたとしても戦争に勝って平和を取り戻すことが最優先だ。平和の中で悪評は日常の中で消えてく。

わが軍も敵もその最大支援国も、戦争に勝つためにルールの中にはいなかった。

最初に敵支援国の大統領がクラスター弾使用の許可を出した。

敵がクラスター弾を使ってわが軍の陣地に壊滅的な打撃を与えた。その悲惨な状況を世界に発信し、「あれが、正義の軍か?あれが、正義か?」と問いかけた。特に西側のメディには詳細に伝えた。

士気が下がっていたわが軍も「正義は我にあり!」と猛然と立ち向かう。割れ欠けた国内世論が急速に団結へ向かっていった。

猛烈に戦うわが軍に押された敵は、劣化ウラン弾で反撃を開始する。その惨状も西側メディアが拾って広める。わが国のメディアはあえて西側メディアの情報を国民に流すようになる。「真実はこうだ」とわかってもらえるように。どんな悲惨な状況でもわが軍はひるまず進む。その姿も西側メディアから同時に配信される。

敵支援国大統領は、選挙に有意に働く決断として「きわめて限定的な極小核兵器の供与・使用を許可した」と演説をした。慣れない科学的な根拠を説明するのだが、高齢の所為か、ろれつが回らず失態をさらけ出した。

「この兵器を使用することで和平に向けて戦局が変わる」とも演説した。

戦場の一角に核兵器がさく裂した。説明されていたよりも威力のある爆発だ。あえて、その炎の中にわが軍は次々と飛び込んでいき、突き抜けて敵の首都へなだれ込む。わが軍は一個たりとも核兵器もクラスター弾も使わなかった。

首都へ向かう途中、西側メディアが同行し住民の状況をつぶさに撮影し世界へ発信した。核兵器炸裂後の残留放射線による健康被害が著しい。「だれが、こんなことをしたの!」と住民は憤りをあらわにする。街は、核兵器が使われる前の戦闘で破壊されつくされていた。住民の怒りは敵の現政権に向けられ、わが軍は解放軍として受け入れられた。

敵の首都にたどり着いたわが軍の兵士は残留放射線の影響により次々に病に臥せっていく。わたしは、彼らを見舞いながら、同行する西側メディアに、こう伝えた。「」。

*****

最後は、何を言わせるか悩んだのですが、みなさまの頭の中で言葉を紡いでいただければと思っています。

当初、西側メディアは "東側が引き起こした戦争" として配信していましたが、配信内容が "西側大統領の戦争" に置き換わっていったというストーリィで妄想をしてみました。

焼夷弾で街を焼き尽くし、それで敵国の戦意を挫こうとして成功せず、最後は核爆弾を二回使用して終戦を押し進めた、あの戦争とどうしても重なってしまったのです。当時も、大統領の苦渋の決断がありました。あの大戦では終戦の後、世界で様々な紛争を抱えながら "先進国の平和" が訪れました。

今回は、どうか。

西側同盟国が眉をしかめる武器を使用した途端、歯止めが効かなくなる。核兵器使用が西側から行われる。そんなことになりはしないか。心配でしようがない、そんな、妄想をした次第。

#日経COMEMO #NIKKEI

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